第9話

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2024/05/28 14:59
8月10日夜

練習生全員で宿舎に移動した

バスは5台あり、席は自由

バス一台で20人だからそんなに詰め詰めじゃなかった

私は正直早く寝たかったのでどこでもいいやーと思って一番最初に1番後ろの窓際の席に座った。

ぞろぞろと練習生が入ってくる

『ここ座る??』

隣の席に座る約束をしている練習生達は多いみたい。2人席に座って行くので後ろの5人席はガラガラだった



あ−。まじヘッドホンとスマホ使いたい

私の移動にはいつも音楽が隣り合わせ

人と話す時以外ヘッドホンをつけて音楽を聴いているのが日課だった

周りの人の日常会話も正直興味がないから音を掻き消すためにもつけてたのに今は耳丸出しで会話は丸聞こえ

耳栓持ってこればよかった、泣

自分に呆れてため息をついて

窓の外を見た



『あの!…あの!!!すいません..』

「ハッ…はい!!」

何回声を掛けられたのかはわからないが、ボーッとしていたので耳が遠くなっていた

気持ちを切り替えて対応する

『もし宜しければなんですけど、お隣いいですか..?お話ししてみたくて…!』

「あぁ、びっくりした。何かやらかしたのかと」

『全然!全然!笑』

本当は1人でいたかったけど断るのは申し訳ない

「隣空けますね」

そういうと私は隣に置いていた荷物を上に乗せた

初めて見る顔。いや、どこかで見たことある?

頭の中で記憶を探る

「初めまして、ですよね?お名前伺ってもよろしいですか、??」

慎重に名前を聞いた

『あ、!!すいません』





『石井蘭といいます』



どっかで聞いたことあるよなぁ、

蘭『私もあなたの下の名前さんと同じで2004年生まれなんです!』

「同級生なんですね。何月生まれですか??」

蘭『8月です』

あら。

「私もです笑」

蘭『じゃあせーので日付言いません?笑』

「いいですよ」

《せーの》

 「20」

蘭『7!』

さすがに揃わないか笑


蘭『でも2週間違いです!笑笑近いですね』

「そうですね笑」

笑いながらポジティブ発言をする彼女

めちゃめちゃかわいい。

感情は顔に出ないのが唯一の救い



蘭『実はIZ*ONE時代から応援してて、しかもあなたの下の名前ちゃん推しでした!』

「私のうちわとかトレカとか持ってるってことですか?」

蘭『ファンなので一応!一年目しかライブ行けてないんですけどね。』

「1年に何か理由があったんですか?」

『…実は私、前girls2っていうグループで活動してたんです。でもグローバルに活動したいと思って一年前にグループを卒業して、今この状況です!笑』

girls2って…LDHの!?

てか途中参加した蘭ちゃん??

「えぇ…そうだったんですね、もしかしてLDHの?」

蘭『そうですそうです!』

「じゃあ得意分野も、?」

蘭『ダンスですねー』

「ですよね」

頭の中のもやもやがとけた

LDHという事務所はダンスがハンパなくてEXILE、EG、FANTASTICS..と日本で活躍しているグループを多く輩出している。


「私蘭さんのことテレビで見かけたことありました。既視感あるなって思ってて笑」

蘭『もしや軽く認知されてますか??気持ちが昂っちゃいます笑』

微笑み返した時、彼女は目を逸らして顔を真っ赤っかにしていた

「ダンスで張り合える事、楽しみにしてますね」

蘭『はい、!!』

『あと、もしよければこれからも話しかけに行っていいですか??』

『名前で呼ぶのを許可してもらえるまではガツガツ行く準備できてます』


「そんなこと考えなくても、もうあなたの下の名前って呼んでいいですよ笑」

蘭『ほんとですか??』

「はい!笑あと、タメで話しましょ」

蘭『いいんですか、あなたの下の名前!!』

「もちろん笑」


ぎこちない会話から他愛のない会話を続け、いつのまにか宿に着く頃には仲良くなっていた

降りる時

「ウォニョン並に性格似てる人は久しぶりだった、また話そうね」

蘭『すぐ話しかけに行くからね。いつか蘭のあなたの下の名前にするから』

がちっぽい口調で宣言して蘭は降りて行った

とりあえず友達増やさんとな

バスから降りて私達101人は宿舎に入っていった

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なんで、。、






なんで私、


1人部屋なのー!!!!

2人組はぴったり他の2人組と部屋を組んでいて

5人や6人はもちろんそれで一部屋

1人がいないのはわかってたけどシングル以外なかった、?

残念だなとか思いながらベッドにダイブ

あー。疲れた

壁には禁止事項とごついカメラが設置されている


机の上にはAクラスTシャツとビブス、そして練習着が置かれていてダンボールには無料で支給されたメイク用品が入っていた


今頃他のグループはわぁ〜!これすごい!とか言ってわちゃわちゃ楽しんでるんだろうなぁ〜

もちろん楓恋も蘭も。


友達と同じ部屋にいることに羨ましくなって枕に顔を埋めた

ズワン時代は毎日ウォニョンと一緒に寝てたし7人でリビングでくつろいだり遊んだりしてたから

静かでつまらない気持ちで山々だった


すると

コンコンとドアをノックする音が聞こえた

「はーい」


ガチャ

『あなたの下の名前ちゃん!』

『あなたの下の名前さん、!』



『あなたの下の名前!』

10人くらいかな??

ドアの前に溜まっていて誰が喋っているのかはわからなかったが最後に蘭が私の名前を呼んでいた

「蘭!なにしてんの。」

困り声で問う

何この状況??

佇んでいると蘭が人をかき分けて出てきた


蘭『ごめんね、会いにきちゃった。いやまあ、あなたの下の名前のファンクラブリーダー蘭だし、会えるうちに会っときたいなって思って!』

いつリーダーなっとるんよ。

蘭『ファン仲間とか、蘭のファンもいるし、話してみたいって言ってた子、』


いやいやなんで連れてくるん。。


『そして、あなたの下の名前の友達』

蘭は視線をうつして端を見た

私もそっちに視線をうつす



目が合ったのは3.4年前に友達になった〝加藤心〟



心『あなたの下の名前…』



久しぶりに会った。心はCherryBullet というグループで2019年にデビューした。
だが1年も立たないうちに脱退
ズワンとチェリバレは音楽番組でよく共演していていて、心とは年齢差は少しだけあったけどすぐに仲良くなった。

心が脱退した後でも一年くらいは連絡取り合ってたかな、。でも私達の活動が忙しくなってスマホ自体も見る時間が少なくなって。

いつのまにか3年たった。

「心、」

心の目には涙が浮かんでいた



いつのまにか2人とも

〝おかえり〟と〝ただいま〟

を求めているようだった


「みんな中入ってて」

一同『お邪魔します〜』

『めっちゃいい匂いじゃん』

そう?笑と微笑むとドアを閉じて心と2人きりになった

「なにしてたの」

心『練習してた』

『会いたくてしょうがなかった』

『でも性格は猫あなたの下の名前のままだね笑』

「当たり前でしょ。!3年しか経ってないんだから」

涙を拭いながらお互いが笑い合う

みんな中にいるから2人で居れる時間はとても短く、少しだけ雑談をして最後には

「おかえり」

『ただいま』

といって泣きながら抱き合った。


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私達は中に入ると、

「遅れてごめんなさい。みなさん名前教えてくれませんか?覚えれるかはわからないですが」

『安藤佑唯っていいます!あなたの下の名前さんの歌声が本当に好きなんです。これからゆっくりお話しできたらなぁー。って笑』

あー。、Automatic の!

『桜庭遥花っていいますッ。蘭ちゃんとお友達になりました!』

声可愛い

『海老原鼓です!!!!!!本当にIZ*ONEさんが大好きでまさか出会える思ってなくて、泣泣泣』

泣きだしじゃった笑

みんなが笑いながら慰める

この子は私と同率の一位の子だったよね、?

『神尾彩乃です!猫顔代表ですッ』

関西弁ごりごりの猫って感じがして少し面白い

くすりと笑った。


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その後も数人自己紹介してくれて、名前は覚えきれてないけど、私と仲良くなりたいっていう人が多くてとても嬉しかった

蘭情報では他にも会いに行きたいって言ってる子が多かったらしいけど、蘭が

『迷惑になるからじゃんけんの上位10人ね!』

『蘭と心は用事があるからある意味シード?笑』

とか言ってがちなじゃんけん大会してたみたい。

何勝手にまとめてんのよ。笑

でもありがとうね

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コメントしてくださった練習生は今後登場させたいと思います!

みなさんいつもお気に入り・いいね

ありがとうございます!













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