もう、帰らなきゃいけないのかぁ…楽しかったなぁ。
……なんて、荷物を全てバスに乗せた後に考えていたりするうち。
せっかくマネージャーさんや他校の方々と仲良くなれたのに、もうお別れなんて。
うちはそれぞれの高校の監督達にお礼を言いに行った後、赤葦さんと雑談をしていた。
出発する前に先生達でまだ話し合っているようだったから、皆でバスの前で溜まって戯れているのだ。
これで会えるのが最後かもしれないし、でももし次会えるのなら____________春高、だ。
もうすぐそこに近づいている春高予選で、うちらは勝つ。
そうすれば、全国で皆と会える、かもしれない。
いや、勝たなきゃだな。
勝たなきゃいけないんだ、うちらは。
赤葦「…難しい顔してますけど。何か?」
あなた「うぇ?あ、いや、何も……あ、そういえば」
ちょうど近くを通った木葉さんのシャツをつかんだ。
木葉「ん?…ってあなたちゃん?どうしたの?」
あなた「うちがこの前寝ちゃったとき…運んでくれたらしいので。ありがとうございます」
木葉「あぁ、記憶戻ったんだ。良かった」
あなた「いや……その時の記憶が、全くないんですよね」
木葉「え?」
赤葦さんにさっき教えてもらったから知ったんだけど、実はあれから全く記憶がなくて…。
ちょっと怖い。
あなた「まぁ、何もしてないようでしたので、良かったです。木葉さんに何か嫌なことでもしてしまっていたら、…って、心配になっちゃったんですけど」
木葉「あぁ、何もなかったけど…本当に覚えてないの?」
あなた「……(コクッ」
木葉「そっか。じゃあ俺も、あの時のことは忘れ_________」
木兎「あなたヘイヘイヘーイ!!」
あなた「あぎゃっ!!」
木兎さんに唐突に抱きしめられ…いや、突撃され?うちは体制を崩した。
木兎「また会おうな!あーあ、俺寂しいっ!!」
あなた「は、はい、会いましょう。あの、離してくだ__________」
黒尾「木兎ぉ。それは困るなぁ」
あなた「えぇ!?」
木兎さんと黒尾さんに抱きしめられ、うちは完全にサンドイッチ状態。
恥ずかしいの前に、苦しいので出してください!!
あなた「あのー!聞こえてますかー!!」
黒尾「聞こえなーい」
あなた「聞こえてるじゃないですか!!」
くうっ、こうなったら……!!!
あなた「澤村先輩っ!!」
澤村「はーい。君達ぃ。うちのマネージャーに、何かご用で?」←鬼スマイル
黒尾「…何でもないです」
木兎「…じゃあ代わりに赤葦抱きしめr」
赤葦「嫌です」
山口「…あなたちゃん、先生たち帰ってきたし、帰ろっか」
あなた「…はい」
どこまでも騒がしい彼らにお別れをし、うちらは烏野高校へと向かった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。