第23話

逃亡
188
2020/08/30 03:33
セオドール
姫様!
セオドールもこちらを探していたようで、
教室にたどり着くまでに出会うことができた。
ジルエスタ
いいか、お前ら……よく聞けよ。
裏門にはまだ騎士団も来ていないはずだ。
裏門からなら逃げられる!
ジルエスタ
だから、裏門から逃げたら西へ──俺の親父が治めている領地へ行け!
足がつかないように馬車は乗り継げよ。ほら、金だ
逃げる?
でも。
ニア
きっと話せばお父様はわかってくれ…
ジルエスタ
殺されるぞ!
王命反逆罪は処刑だからな!
ギャー!

な、なんつー罪を負わせてるのよ!
実の娘に!……いや、もう娘じゃないんだっけ。
ジルエスタ
…セオドール
セオドール
ジルエスタ
姫さんを頼んだ
セオドール
頼まれました
二人はなぜか私を頼むだの頼まれるだの言った後。

セオドールは私の手を引いて裏門へと走り出す。
ジルエスタ
騎士団は俺が抑える!急げ!
ジルエスタの声を背中で受け止めスピードを上げる。

速く速く速く。
私とセオドールは夢中で走った。


風を切って障害物を避け、地面を蹴って。



遠くへ。


✳ ✳ ✳
ニア
んん…
セオドール
姫様、つきました。
西の領地です
馬車に揺られてしばらくすると、


王都とは一変した港町へと到着した。
もう空も暗くなりかけている。


馬車での長時間の移動で体は疲労していた。
ジルエスタ
乗り継ぎご苦労さん
ジルエスタが屋敷で出迎えてくれた。

彼の馬車の馬は立派だし、乗り継いでなければすぐにつくのだろう。

プリ小説オーディオドラマ