屋敷の中は暖かく、出されたお茶とお菓子をつまみながら
疲れを癒していた。
そうしてジルエスタはゆったりと話し出した。
私の幸せな未来は、
死ぬまでセオドールと一緒に愛し合うこと。
そのための課題が二つ。
一つ目、身分差。
道楽としては良いが、本気で従者と結婚することはできない。
将来、セオドールが死んだ後私はジルエスタと一緒になる予定だった。
二つ目、寿命。
私の寿命の十分の一しかセオドールは生きられないのだ。
セオドールと私は目を合わせた。
そう学校で習ったよ?
ジルエスタはふー、とため息をつく。
さっと体温が低下する。
暖かい部屋なのに。
血を飲む。
そう考えただけで気分が悪くなってしまった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!