町の小さなパン屋さん。
名前は『セオニア』。

優しい甘さのパンを売っている。



一家でやっているんだけど、特に奥さんの働きぶりはすごい。
物凄い美女なんだが、『学生の時は冷血って言われてたのよー』という冗談を言う。
あんなに表情の豊かな人がそんなわけがないのにな。

経営を学んでいたそうで、不況の時でも地元の人々と協力して乗り越えていた。
朗らかで優しい人だ。

その旦那さんもいつも幸せそうで、奥さんとはラブラブだ。
パンを焼くのと雑巾がけが異様に上手い。腕もたつから、騎士団から勧誘を受けているそうだ。

二人とも吸血鬼の国からやって来た吸血鬼らしい。
そうすると、子供も吸血鬼だ。


七歳になるエトワールと五歳になるリュンヌという子供がいる。
星と月という意味らしい。綺麗な名前だよな。


二人とも元気一杯で、町の子供たちと駆け回っている。




え？
あぁ、このパンを売っていたところの話だよ。
美味しいだろ？

そうだ、お前記者だったよな。
今度あそこのパン屋を記事にしてくれよ。きっと客が増えて奥さんが大喜びするから。