ヴァッハフント「ただいま。」
シーン
?、おかしいな。いつもなら返事が来るはずなのに。
俺は静かに家に上がり、リビングに向かった。周りを見渡すと、ソファーで寝ているシュピンネがいた。
ヴァッハフント「…寝てる……。」
こう見るとまだ幼い子供なのだが……。
あったバスケットを掛け、その横に腰掛けた。
俺はゼロさんと別れた後、レーヴェさんのところに寄った。俺の過去の清算をするために。
ヴァッハフント「ボス。今…いいですか?」
レーヴェ「あぁ。どうした?」
ヴァッハフント「あの話、俺にやらせてください。」
レーヴェ「……正気か?」
ヴァッハフント「はい。俺の…忌々しい過去の清算をしたいんです。」
レーヴェ「そうか…知っていたのか。」
ヴァッハフント「……はい。」
そう、俺はこの組織に入った時あるファイルを見つけた。そこには母の…レルヒェのことが書かれていた。
ファイルを見ていると、母がある組織と関わりがあることが見えてきた。名前は黒ずくめの組織。そう、コナンくんや哀ちゃんを子供にしたり、明美さんを殺そうとした組織。
そしてそのボスは………俺の親父だった。
俺はずっと疑問だった。母ほどの人なら、男1人簡単に殺せたはず。なのにそれをしなかった。そして、葬式で何故母の遺体が無かったのか。それはきっと、黒ずくめの組織によって処分されたからだろう。
母は黒ずくめの組織に潜入、父を関係を築き、情報を盗むスパイだった。だから母の仕事の日を把握しており、俺達に会いにこれた。
きっと母は、潜入調査中にバレ、殺されたのだろう。
俺はこれを知った時、はらわたが煮え繰り返りそうなほどの激しい怒りに飲まれた。
そう、俺は初めから復讐の為だけに生きてきた。そして今、アイツを殺せる絶好のチャンスが回ってきた。
ヴァッハフント「お願いします。」
レーヴェ「…これはいうつもりはなかったんだが、生前君の母はよく、
『この世界の汚れは私が引き受ける。だから子供たちには綺麗な、暖かい世界に居てほしい。幸せに育ってほしい。』
と、言っていた。そして最後の任務の前には
『もし私が死んでも…子供たちには真相を話さないでくれ。私は復讐なんて望まない。ただ、幸せに生きてほしい。そう伝えてくれ。』
と。」
ヴァッハフント「ボス…遅いよ。もっと早く言ってくれたら…引き返せたのに。」
レーヴェ「…。」
ヴァッハフント「…ごめんね。俺は行きますよ。きっと…アイツを殺します。」
レーヴェ「…お前の選んだ道は修羅の道だ。もう後戻りはできない。進め。ただ、目的のために貪欲に。これが私からの命令だ。」
ヴァッハフント「はい。ありがとうございました。」
俺は振り替えらずに部屋から出た。
レーヴェ「また…救えないのか。」
シュピンネ「ん……ヴァンさん?」
ヴァッハフント「起きたか。」
シュピンネ「すみません!つい…」
ヴァッハフント「…構わない。」
シュピンネ「今ご飯を作りますね。何がいい…」
ヴァッハフント「シュピンネ。」
シュピンネ「どうしましたか?」
ヴァッハフント「……もう、いい。」
シュピンネ「…え?」
ヴァッハフント「今日までご苦労だった。」
シュピンネ「ま、待ってください!急になんですか!?」
ヴァッハフント「俺は明日、最後の任務に行く。これは俺の過去の清算だ。だから1人で行く。」
シュピンネ「…もしかして…お母様の復讐ですか?…お供します。」
ヴァッハフント「聞いていたか?これは俺の問題だ。俺が解決しないと意味がないんだ。」
シュピンネ「……お願いです…せめてお手伝いだけ…させてください。」
ヴァッハフント「……。」
シュピンネ「…分かりました。俺は関わりません。」
ヴァッハフント「あぁ、ごめんな。」
シュピンネ「…謝らないください。いつかこうなることくらい予想済みです。ただ……あなたを救いたかった…。」
ヴァッハフント「…俺はもう、十分救われたよ。ありがとう、さようなら。」
俺はそう言って家から出た。
もう後戻りはできない。きっと俺はこの任務で死ぬだろう。でもアイツだけは…絶対に殺す。
その後、ホテルを転々としながらアイツのいるビルへの侵入経路を模索しながら毎日を過ごした。
準備は整った。俺は明日、アイツのアジトに潜入をする。
俺は自分の生に意味をなせなかった。しかし、今は違う。俺はアイツという人間を殺す為に生まれてきたんだ。
きっとこれがこの街を見る最後の日だろう。最後に一目見ようと街を歩いていると
江戸川コナン「!、お兄さん。」
市川薙「コナン君……分かったかい?俺の正体。」
江戸川コナン「…最初は公安の人かと思った。でも安室さんの言動、そしてお兄さんの年齢からして違う。黒ずくめの組織の戦もあったけどそれにしては毛嫌いがずぎる。」
市川薙「じゃあ?」
江戸川コナン「…殺し屋。」
市川薙「……正解。俺は殺し屋だ。この世に必要ないクズを殺す。」
江戸川コナン「……僕にお兄さんを救わせてよ。」
市川薙「……遅いよ。もう…俺は後戻りできない。」
江戸川コナン「うん…きっとそういうと思った。だから……」
松田「俺らもいるんだな。これが。」
萩原「やぁ、久しぶりだね。」
市川薙「……で、どうするの?」
江戸川コナン「…お兄さん、今日何するつもり?」
市川薙「最後の殺しを。」
灰原哀「それは、貴方のお父様かしら?」
市川薙「あぁ…哀ちゃんは知ってるんだっけ?」
灰原哀「昔話してくれたじゃない。父親のこと。」
市川薙「……そうだったね。」
灰原哀「……貴方、今からあの組織に行くんでしょ?」
市川薙「あぁ。でも俺の目的は父親を殺すこと。あの組織を潰すことじゃない。だからコナン君、俺の後は頼んだよ?」
江戸川コナン「させないよ。お兄さんが行くなら僕も行く。」
市川薙「…ダメだ。」
江戸川コナン「じゃあ何であの時助けてって言ったの!?助けて欲しかったんじゃないの!?」
市川薙「…前はね?今はいらない。」
灰原哀「ダメよ、あそこに行ったら。死ぬわよ。」
市川薙「分かってるさ。俺はアイツを殺せるなら…死んだって構わない。」
灰原哀「お願い、行かないで。」
市川薙「ごめんね。」
灰原哀「嫌よ…どうして貴方なの?何故この世界は貴方のように優しい人が酷い目に合わなきゃいけないの?」
市川薙「はは…俺は優しくなんかないよ。何百人も殺した俺が…生きてていい訳がない。」
灰原哀「貴方がいなくなったら貴方の弟はどうなるの?」
市川薙「…竜はもういない。……殺したから。」
灰原哀「っ!!」
市川薙「だから言ったろ?俺はもう、戻れないところまで来ているんだ。」
驚愕したような顔で見つめてくる。
まぁそうだろう。あれだけ大事にしていた弟を殺した、と言ったのだから。
もうこれで終わりだ。
ここで、助けて、といえばきっと、この人達は助けてくれるだろう。
でもダメなんだ。絶対に、俺はもう1人でいい。もう十分だ。
市川薙「…ごめんね。バイバイ。」
松田「待て、」
市川薙「……何ですか?」
松田「この話を聞いて俺らが黙ってると思うのか?」
市川薙「いいえ、思いませんね。でも…もうダメなんです。今日、俺は行きます。」
萩原「ダメなら俺たちも一緒に行かせてよ。」
市川薙「それはダメです。」
萩原「何故?」
市川薙「ほっといてくださいよ。俺は助かりたいと…行きたいと思ってないんです。」
松田「……お前は死ぬつもりなのか?」
市川薙「はい。………やっと、解放されるんです。」
空を見上げた
今日は雲が空を覆い、太陽の光が一切こちらに届いていない。最高の殺し日和だ。
市川薙「今までお世話になりました。松田さん、萩原さん。俺を……普通の人として接してくれてありがとうございました。……本当に…。楽しかったです。とても。」
萩原「そんなこと言わないでよ。もっと色んなことお兄さんとしようよ。」
市川薙「人殺しの俺には十分なくらいです。じゃあ、さようなら。」
そいつは…最後に今までに見たこと無いほどの満面の笑みで立ち去っていった。
その顔には今までとは違って悲しみや後悔はなかった。ただ…憎悪や怒り、負の感情が見えた。
もっと早くあの闇に気づいてやれれば…まだ、助けられたかもしれなかったのに。
いや、今からでも間に合う。
せめてアイツを死なせない。きっと生きてこっちに連れ戻す。
松田「萩原。」
萩原「分かってる。やるんでしょ?」
松田「あぁ。」
灰原哀「私も協力させて。」
松田「あ"?子供は家に帰って寝てろ。」
灰原哀「…私だったら彼の行く場所が分かる。何をしようとしているのかも。」
萩原「それは本当?」
灰原哀「えぇ。私は彼に借りがあるの。だから私にも協力させて。」
松田「……分かった。でも危険なことはさせねぇ。」
灰原哀「……分かったわ。」
江戸川コナン「…松田さん、萩原さん。僕、いい助っ人知ってるよ?ねぇ、安室さん。」
松田「安室…?誰だそれ……って…ゼロ?」
降谷「今の話は全て聞かせてもらった。俺も全面的に協力しよう。」
萩原「今までどこに行ってたのかとか色々ツッコミどころが有るけど……今は凪くんが優先だからね。」
降谷「薙君は今日の夜、行動すると思う。だからそれまでに準備をしよう。」
ヴァッハフント「さぁ…最後の晩餐を。」












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。