第34話

33:大切な人
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2025/12/07 10:00 更新
どうにか教室まで辿り着いた惣助とあなたが机に

ある依代になっている紙を手にしようとすると

追いついた後輩が強制送還を阻止するべく獣のように

勢いよく飛びかかってきた。

危機一髪のところで机に突っ込んだ後輩を庇いながら

依代になっている紙を口で破った惣助は勢いを殺しき

れずに机に突っ込んでいった。
(なまえ)
あなた
そっ惣助くん!?大丈夫!?
三葉 惣助
三葉 惣助
いてて…なんとか。僕達助かったの?
(なまえ)
あなた
多分…?

依代の紙が破られたことで憑依されていた後輩は元に

戻っている。危ないところだったがなんとかなったよ

うでふたりはほっと胸を撫で下ろした。
三葉 惣助
三葉 惣助
あっ源くん!お疲れ様!終わったよ!僕大活躍だったんだから

そこにちょうどタイミングよく戻ってきた光を出迎え

た惣助の首をあろうことか光は乱暴に締め上げた。
つかさくん
つかさくん
そーすけくんあーそーぼ
三葉 惣助
三葉 惣助
うそ……ぐっ。ちょ……やめ
(なまえ)
あなた
惣助くん!?惣助くんを放して…っ!!あなた一体なんなの!?源くんの中から出てって!!
三葉 惣助
三葉 惣助
あなた先輩……逃げ、てっ
(なまえ)
あなた
何バカなこと言ってるの!!惣助くん達を置いていけないよ…っ!!

もつれる足に鞭を打って必死にあなたが落ちている

錫杖を拾おうとした時、ふいに優しい声があなたを

真綿にくるむようにあたたかく包み込んだ。
源 輝
源 輝
君がその重荷を背負う必要はないよ。僕に任せて
(なまえ)
あなた
え…?

あなたの代わりに錫杖を拾い上げたのはちょうど

学園の見回りをしていた輝だった。
源 輝
源 輝
騒がしいから何かと思ったらまさかうちの弟とはね。こんばんは三葉くん…あなたの名字さん

そのまま輝は首を絞められて意識を失いそうになって

いる惣助に微笑みかけた。
源 輝
源 輝
祓い屋が怪異に憑かれるなんてまだまだ修行不足だね。光

まともに錫杖から放たれた電撃を喰らった輝から憑依

していたつかさくんが抜けていき輝は力なく崩れ落ち

そうになった弟をキャッチした。
(なまえ)
あなた
惣助くん…っ!!

輝の横をすり抜けて今にも泣き出しそうなあなたが

震える声で大切な人の名前を呼びながら惣助に

駆け寄っていき勢いそのまま抱きついた。
三葉 惣助
三葉 惣助
わっとと。急に飛びついたら危ないじゃん
(なまえ)
あなた
ぐす…わた、わたし…もうふたりともダメかもしれないって…怖くて

惣助は大切な人を失ってしまうかもしれない恐怖と緊

張から解放されてグズグズ泣き出してしまったあなた

を抱き締めながら優しく背中を擦って慰める。

惣助が慣れた手つきでぽんぽんと頭を撫でる仕草を黙

って眺めていた輝は腹の底で煮えたぎる怒りの手綱を

握りながらそっと目を閉じてあなたを脅えさせない

ように柔和な笑顔を作った。
源 輝
源 輝
…危ないところだったね。大丈夫?
三葉 惣助
三葉 惣助
ありがとうございます。えと…源くんのお兄さん
源 輝
源 輝
もう一人いるよ
蒼井 茜
蒼井 茜
どーも。ごめんね。助けるのが遅くて

ひょっこり現れた茜が先輩である輝の分も謝罪した。

どうやら輝は茜とふたりで校内の見回りをしていたら

しい。電撃を喰らって伸びている光を見ながら茜は

呆れ気味に口を開いた。
蒼井 茜
蒼井 茜
…毎度思うんですけどアンタ怪異の対処する時もうちょうと優しくやれないんですか?
源 輝
源 輝
優しくしてるでしょ、いつも
三葉 惣助
三葉 惣助
ほらほら。もう泣かないでよ。僕も先輩も源くんもみんな無事だったんだからさ

泣きやんでくれないあなたの頬に伝う涙を袖口で

拭いながら惣助は安心させるために笑ってみせる。

そんなふたりのやりとりを横目に捉えながら輝は

無意識にあなたに伸ばしかけた手をぐっと握り締めた
蒼井 茜
蒼井 茜
大切な人を危険な目にあわされて腹立つ気持ちはよぉーくわかりますけど怪異に当たらないでくださいよ
源 輝
源 輝
別に八つ当たりなんてしてないよ。それより――

目前で泣いているあなたにかけてあげたかった言葉を

飲み込んで輝は柚木司について茜と話し合いを始めた

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