カルマside…
その日の夜もまた公園で話していた
意味のない適当な会話
学校の話をするのは少しだけ気が引けるけど
教師の話くらいは
意外にもあなたちゃんは甘党らしい
嫌い
って端的に返ってくると思ってたから
なおのことだった
そう聞いた時
あなたちゃんが黙ってしまった
嫌いなものって簡単に出てくる気がするんだけど
あなたちゃんなりに思う所があるのだろうか
深くはなさそうだけど沼を感じたから
そっかとだけ返した
それにしてもあなたちゃんは
飽きそうなくらいナイフを回してる
常に持ってるから持ってない瞬間を見たことがない
やっぱり気になることは色々出てくるもので
少し考えてるうちに
聞いてしまっていた
そう言って一瞬の迷いもなく差し出してくる
警戒心ゼロ?
ナイフだよ?
なにかされるかもしれないのに
無防備すぎるよ、それは
ナイフを受け取って重さを確かめてみる
ナイフにしては軽いけど
重心があって
本当に自作なんだろう
そして試すように
ナイフを回してみる
ペン回しの要領でできる気がする
あっさりできた
あなたちゃんの方を見ると
僅かに目を開いて驚いていた
表情筋使ってる…
そう言った直後
右手の人差し指に違和感を感じた
少しかすってたんだ
このくらい大したことないし
平気と言おうとした時
あなたちゃんが立ち上がって
なんて笑って言うから
あ、やば
だめだよ
そんな顔しちゃ
声も少しだけ柔らかかった気がした
ずるいよ
あなたちゃんは俺の前でしゃがんで
ポッケから消毒液と絆創膏を取り出した
え、
あなたちゃんは返事をせずに
当たり前みたいに俺の手を取って
手当をした
あなたちゃんの指は綺麗で細長くて
爪も手入れされてて、肌はすべすべで…
ははっ、何これ(笑)
あなたちゃんは立ち上がってナイフを受け取り
パタンと折りたたんだ
気になったから聞いてみると
あなたちゃんは少し静かになり
言った
普段怪我なんてしていないでしょ
あなたちゃん…
それだけで絆創膏と消毒液を持ち歩いてるなんて
少し想像がつかない
あなたちゃんもこの程度どうでもいい
って気にしないタイプじゃん?
一瞬思考が停止する
それは俺のことを思って持ち歩くようになった
って言うようにしか聞こえなかった
いつもの無気力な声はどこにいったの?
無自覚だったんなら
末恐ろしいよ
そういつもの調子に見せる
内心はしっかり焦ってるのに
勘違いするよ?
してもいいの?
ねぇ、煽り逃げは絶対だめだからね?











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。