重岡side
ちょっと離れた自動販売機に
あなたちゃんを抱っこしながら歩いていたら
後ろから着いてくるメイキング用カメラ。
あなたちゃんはカメラを指さして
あんなにニコニコな笑顔から
ちょっと怖がった顔に変わったから
俺は空いている手であなたちゃんの顔を隠した。
歩く速さをちょっと早めにして
離れた自動販売機に向かった。
3つ並んでいる自動販売機。
1個1個前まで行って飲めそうな飲み物を
あなたちゃんと探していた。
2つ試したけどどれもちょっと大人向けの
ジュースや缶コーヒーばかり。
最後の自動販売機の前まで立って
俺がちょっとあなたちゃんを浮かして
抱え直した時あなたちゃんが指を指した。
あなたちゃんが選んだジュースの値段を見て
後ろポケットに入れていた財布を片手で出して
お金を自動販売機に入れる。
ちょっと低い所にあったから
俺も抱っこの高さを変えて一緒に屈んだ。
あなたちゃんはボタンを両手で押して
そしたらそのまま勢い良く落ちてくるジュース。
あなたちゃんを下ろして
取り出し口を開けてあげれば
あなたちゃんはジュースを取った。
俺にペットボトルを渡したから
キャップを開けてあげた。
両手でペットボトルを持ったあなたちゃんは
めちゃくちゃ喉が乾いていたのか
勢い良くジュースを飲み出した。
飲み終えたら俺にペットボトルを渡してきたから
俺は受け取ってキャップを閉める。
キャップを閉めている時あなたちゃんは
俺の足に捕まってた。
腕を伸ばしてきたから俺も直ぐに抱っこして
着てきた上着の中にあなたちゃんを包み込んだ。
首に強く回ったあなたちゃんの腕。
エレベーターの中で優しく背中を撫でれば
ちょっとだけ弱まった。
控え室の階に着いて扉が開いた瞬間
ちょっと離れた所に流星がいた。
流星の方に指さしたから俺も流星の方に近付いた。
腕の中で勢い良く流星に向かって腕を伸ばした。
そんな姿を見た流星も直ぐにあなたちゃんを
抱き上げて抱っこした。
別に呼ばれてないけど
何か恥ずかしくって逃げた。
ちょっと離れた所から2人を見守れば
目を合わせてニコニコ笑ってた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。