第9話

2人の旅路
364
2024/06/29 10:00
爽やかな風が頭上を遮る、のどかな村の狭い小道
そこを2人の少年少女がゆっくりと歩いていた
花奏 藍音
ねぇ、なんで亥来馬が居るの?
百合の花が描かれた夏らしい小袖に小花があしらわれた市女笠を被った美しい少女
いや、少年の花奏藍音だ
闇奏 亥来馬
なんでって、、、酷いな
千草色の着物に濃い藍色の袴を合わせた姿で藍音の隣にぴったりと寄り添う少年
闇奏亥来馬だ
なぜ、2人が大塚村外れの小道を歩いているのか?
花奏 藍音
酷くないもん、疑問に思った事を言っただけでしょ?
闇奏 亥来馬
充分酷いからな?
花奏 藍音
ねぇ、なんで?
闇奏 亥来馬
お前の監視兼、俺の公方様への挨拶
花奏 藍音
監視、、、もしかして終わったら連れ戻す?
闇奏 亥来馬
大丈夫だ、何とか逃がすから
花奏 藍音
うん、ありがと、、、
公方とは、時の鎌倉公方である足利成氏の事である
話の内容的に、2人は足利成氏が居る武蔵の国の滸我に行くのであろう
しかし、なぜ足利成氏の元へ行くのだろうか
闇奏 亥来馬
それで?公方様のところに行く理由は?
花奏 藍音
あれ?亥来馬聞いてなかったの?
闇奏 亥来馬
お前が言ってないんだよ
花奏 藍音
え、ごめん、、、
闇奏 亥来馬
そんな( ´-ω-)って顔すんな
花奏 藍音
( ´-ω-)
闇奏 亥来馬
止めろ
花奏 藍音
は~い、んで、理由でしょ?
花奏 藍音
“これ”だよ!
藍音が亥来馬に見せたのは、立派な刀である
闇奏 亥来馬
お前、こんな立派な刀どこから、、、
亥来馬も目を見開く程に立派な刀だ
花奏 藍音
ん、お父様の
闇奏 亥来馬
え!?
藍音の父・華奏番作は元武士である
花奏 藍音
えっと、お父様がお母様と結婚する前にお爺様と合戦に出たらしいの
闇奏 亥来馬
合戦?
花奏 藍音
確か、、、今の公方様のお父上、前の公方様が関係した合戦だったらしいよ
闇奏 亥来馬
、、、あれか、結城合戦
花奏 藍音
そう!それ!
花奏 藍音
それでね、その時、お爺様は前の公方様の側近でね、この刀を預かっていたの
花奏 藍音
でも、その合戦で前の公方様は死んでしまって、お爺様もそこに残った
花奏 藍音
お爺様はお父様にこの刀を渡して、お父様はこの大塚村に帰ってきた
花奏 藍音
そしたら、村長の地位を知らない男と姉が引きついていたからびっくりだよね
闇奏 亥来馬
、、、そうゆうことか
闇奏 亥来馬
じゃあ、その刀は結構な代物になるな、、、?
花奏 藍音
うん、凄い刀だよ
藍音は刀の柄に手を掛けて刀身を見せる
すると、刀から水が滴り落ち、霧が広がった
闇奏 亥来馬
藍音、その刀って、、、
亥来馬はその刀を凝視しながら震える声で尋ねる
花奏 藍音
そう、足利家に代々伝わる家宝
藍音は刀を丁寧に納める
花奏 藍音
妖刀『村雨丸』だ
『村雨丸』から滴った水と、霧は
いつの間にか消えていた
このまま100位以内を目指したい!!

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