第10話

村雨丸
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2024/07/02 10:00
妖刀『村雨丸』
この時代の武士ならば誰しもが知っている名刀だ
鞘から刀身を抜けば、雫が滴り辺りに霧が発生する世にも不思議な刀である
この刀が原因でいくつもの争いが起きたというのだろうか、、、
闇奏 亥来馬
早くそれしまえ!!
花奏 藍音
分かってるよ、亥来馬
闇奏 亥来馬
で、、、村雨丸をどうするんだ?
花奏 藍音
ん?公方様に返すんだよ?
闇奏 亥来馬
はぁ!?
花奏 藍音
だって、もともとは公方様の一族の家宝なんだよ?
花奏 藍音
それを、俺のお父様とお爺様が預かってただけだし
花奏 藍音
返してさしあげないと、、、
闇奏 亥来馬
それはそうだが、、、
闇奏 亥来馬
公方様は村雨丸の存在は知っているが、見た目は知らないはずだろ?
闇奏 亥来馬
偽物だって言われないか?
花奏 藍音
何言ってるの亥来馬?
花奏 藍音
村雨丸は、抜刀しただけで分かるでしょ?
花奏 藍音
もう1回見せようか?
闇奏 亥来馬
分かったから止めろ
花奏 藍音
は~い、、、
花奏 藍音
まぁ、これだけが理由じゃ無いんだけどね
闇奏 亥来馬
、、、というと?
花奏 藍音
お父様がね、亡くなる前に俺に村雨丸渡して遺言みたいに言ったんだ
花奏 藍音
「村雨丸を使い、花奏家を再興させよ」
花奏 藍音
、、、だってさ
闇奏 亥来馬
、、、
花奏 藍音
俺、もう花奏家を再興したって意味無いと思うんだよね
花奏 藍音
家も、家族も、何にも俺には残って無いからさ?
花奏 藍音
今さら?、、、って感じだよね?
花奏 藍音
まぁ、一応、村雨丸は公方様に返すけど
花奏 藍音
、、、そしたら、俺は何にも持たない価値の無い子供になっちゃうね
花奏 藍音
しかも、男なのに女の子の着物着てるし、俺はやっぱり、、、
闇奏 亥来馬
もう喋るな!!
亥来馬は、永遠と自己嫌悪を感じられる言葉を吐く籃音に痺れを切らしたのか、籃音の口を塞いでしまった
花奏 藍音
ムグッ、、、ンン~!!
闇奏 亥来馬
止めてくれ、、、
闇奏 亥来馬
自分で自分を貶めるようなこと言うなよ、、、
籃音は、亥来馬が悲しそうな顔を見て反省の意を表した
亥来馬が手を離すと、籃音は口を開く
花奏 藍音
ごめん、、、
闇奏 亥来馬
、、、良いよ、俺も悪かった
お互いに反省の言葉を言い、仲直りした
闇奏 亥来馬
、、、てか、立ち話してる場合じゃ無くね?
花奏 藍音
確かに!早めに宿につかないと!
闇奏 亥来馬
野宿は嫌だからな?
花奏 藍音
それは俺もだよ!!
闇奏 亥来馬
ほら、走るぞ!!
花奏 藍音
亥来馬、待って!!
闇奏 亥来馬
たっく、ほら荷物貸せ、持ってやる
花奏 藍音
ありがと!
夏の昼下がり、2人の少年が颯爽と走り去っていった

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