息が苦しい
苦しい
苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい
なんでわたしだけ…
私は昔から人に愛を伝えることができなかった。
大好きだった彼氏と別れた後
いろいろ調べていたら
“愛難症候群”というのが出てきた。
それは人に愛を伝えると頭痛や吐き気がして、それがストレスで自殺する人も少なくない。
発症原因は、とても愛していた人に振られ、その時に愛を伝えること。
普通は大丈夫な人が多いが、振られた時過呼吸になる、倒れる、この症状が起きた場合、愛難症候群である可能性が高い。
症状は不定期で、いつ発症するか分からない。
なお、公式な病気ではないので治すことは出来ない。
あれから私は人を愛することをやめた。
愛しても愛を伝えられないし、辛い思いをするだけ。
だから私は、一人で生きていくことを決めた。
けど、それは前の話だ。
最近、症候群のせいか、変な化け物が見える。
そいつは町、学校、いろんなところにいる。
それが嫌で、いつしか学校に行かなくなった。
だから私は、ネットで愛難症候群についての情報を集めることに1日1日をついやしていた。
唯一外に出るのはご飯をコンビニに買いに行く時だけ。
親は昔に強盗が入ってきて死んでしまったらしい。
その時なんで一緒に殺してくれなかったんだろうと思う。
上着を羽織り、外に出る。
またいつもの場所にあいつがいる。
化け物は別に危害をおよぼすわけではないから特に気にはしていない。
ただ、いつもとは様子が違った。
それに早く気が付くべきだった。
ピロリロリロリーン
いつもと同じ、おにぎりを買って帰る。
はずだった。
家に通じる裏路地に入ると、あの化け物が襲ってきた。
腰が抜けた。
立てない。
これで終わりだと思った。
赤い光が広がって、あまりの眩しさに目を開けられない。
気がつくと、化け物は居なくなっていた。
助けてくれた?
そんな言葉を言われたのはいつぶりだろうか。
そう言うと彼は姿を消し、いつの間にかあの路地裏に戻っていた。
あまりにも一瞬でいろいろな事が起きすぎて、私はフリーズしていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。