第26話

24話 パンとスープと黒い煤
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2026/03/01 07:02 更新
リビングへ戻り、机を囲む。
窓の外に目を向けるとちょうど太陽が真上に上がったところで、雲一つない青い空が広がっていた。
おらふくん
あー、自覚したらほんっとにお腹空いてきたぁ……
そんな事を言いながら机に突っ伏すおらふくんに、僕らの笑みは深くなる。
おじいちゃん
おらふくんは起きたばかりじゃしな、パンとスープにしてみたよ
そう言いながら、机の上に皿を並べていく。
出来たてのようで、目の前でほかほかと湯気をあげるそれらに、おらふくんの目が輝いた。
おらふくん
え、何これ!めっちゃ美味そう!
ぼんじゅうる
ジャムは?
おじいちゃん
今朝の余りがそっちに
ぼんじゅうる
っしゃあ!
ドズル
ほんと好きですよね、ジャム
ぼんじゅうる
まあ毎朝食べてたし
ドズル
それもそっか
おらふくん
何してるんですかー?
ぼんじゅうる
ジャムをパンに塗ってるー
おらふくん
じゃむ………よく分からんけど美味しそう!
ぼんじゅうる
ここ置いとくね〜
おらふくん
ありがとうございます!
ぼんさんが机の真ん中に置いたジャムの瓶をかっさらうと、パンに少し塗って齧り付いた。
おらふくん
!なにこれ、美味しい!!
ぼんじゅうる
だろー?
ドズル
なんでぼんさんがドヤるんですか
ドズル
作ったのはMENでしょ?
ぼんじゅうる
まぁまぁ
おじいちゃん
パンとスープ、おかわりがあるよ。
いる人ー?
おらふくん
はい!
ぼんじゅうる
はーい!
いつの間にか手元の皿が空になっていた2人が元気よく手を上げる。
笑顔で頷いたおじいちゃんが、キッチンへ向かうべく立ち上がった。
2人の食べる速さを実感しながら皿に手を伸ばすと、コツンと指先が皿に触れる。
ドズル
…………
ドズル
僕もおかわりお願いしまーす!
おじいちゃん
はいはーい!

僕も人のこと言えませんでした。
出来たてのパンを頬張りながら、ぼーっと机を見る。
そのうち思考は、数分前の治療へと戻っていく。








平和な朝の空気を突き破るように、おんりーが戻ってきて。
傷だらけのおらふくんを見た瞬間、僕のなかでスイッチが入る音がした。
久しぶりに医療の知識を引っ張り出したが、なんとかなって良かった……本当に。
おらふくん
わぁっ、熱っ!!
おじいちゃん
焼きたてじゃからなぁ
あんな怪我をしていたおらふくんが元気にはしゃぐ声を聞きながら、僕は背もたれに身を預けた。
前からも横からも、楽しそうな話し声。
おらふくん
雪だるまくんも、このパンいる?
めっちゃ美味しいよ!
ぼんじゅうる
いや、それだと雪だるまくん溶けちゃうよ?
おらふくん
あ……そうやん
本当に気づかなかった様子のおらふくんに、思わず吹き出してしまう。
それにつられて、ぼんさんもおじいちゃんも、おらふくん本人も笑いはじめた。
明るい笑い声が、食卓に広がる。
笑いだしが早かったことからみんなより早く落ち着いた僕は、おかわりしてもらったスープを飲んだ。
ドズル
あたたかい………
その温かさに、思わず声が漏れる。
……いや、温かいのは、スープだけじゃない。
今、大勢で食卓を囲み、笑っている。
その輪のなかには、僕らが命を救えた子の笑顔もある。
この事実がどれだけ、僕の心を温かくしたのか。
ドズル
みんなで食べるご飯って、こんなに美味しいんだ
スープを飲み込み微笑んだ僕に、ぼんさんが優しい視線を向けていた。
片付けの途中、僕はおらふくんに声をかけた。
本当は片付けのあとでも良かったのだが、全てを察したおじいちゃんとぼんさんが残りの片付けを引き受けてくれたので、早速リビングへ向かう。
ドズル
念の為、しばらく診察は続けるよ。目が覚めたとはいえ、傷は完治してないわけだし
おらふくん
分かりました!あと、実はさっき片付けしてた時に、包帯とかがズレちゃったみたいで……
おらふくん
ついでに取り替えてもらってもいいですか?
ドズル
もちろん!じゃ、そこに座ってねー
おらふくん
はーい
ソファに座ってもらい、包帯やガーゼを取っていく。
相変わらずひどい傷だが血は止まっているようで、ほっと一息つきながら新しい包帯を巻いていく。
そうして、古い包帯を処理しようとしたところで、その違和感に気づいた。
ドズル
あれ、この汚れ……
包帯に付着している、黒いすすのような汚れ。
血ではないようで、軽く擦ってみても消えない。
皮膚が取れたのかと一瞬思ったが、質感が違う。
それに………
ドズル
変だ。ゾンビとかに襲われたのなら、こんな跡は残らないはずなのに………
しばらく固まっていると、不安げにこちらを見つめるおらふくんに気づく。
ドズル
………うん、順調に治ってるね。もう少ししたら、傷もふさがると思うよ
おらふくん
ほんとですか!?よかったぁ………
そこで、外から足音が聞こえてくる。
おおはらMEN
ただいま帰りましたー!
おんりー
湧き潰し、完了しましたよ
静かに扉を開けて、おんりーとMENが入ってきた。
ぼんじゅうる
あ、おかえりー!
おじいちゃん
お疲れ様、二人とも
食器洗いも一段落したようで、2人もキッチンから顔を出す。
おじいちゃん
パンとスープがあるんじゃが、お腹は空いてるかい?
ドズル
まだ余ってたんですか?
おじいちゃん
おんりーチャンとMENも食べるかなと思ってな
おおはらMEN
あざっす!俺もう腹ペコですよ……
おんりー
俺も……あ、その前に
おんりー
これ、ゾンビが落としたんです
そう言いながら差し出したのは、指先ほどの小さな結晶体だった。
一見すると紫色の水晶のようなそれは、リビングの灯りを反射して鈍く輝く。
僕が受け取った瞬間、バチっと静電気のような痺れを感じ、耳の奥でキィィンと高い電子音のような音が響いた………気がした。
ドズル
……おんりー。これ、本当にゾンビが落としたの?
手の中の破片は、生き物のように震えている。
向こうで見たどの宝石とも違う。
これは「物質」の形をした、「何かの概念」のように思えて仕方がなかった。
おんりー
はい。……変なアイテムですよね。
まあ俺は使うことないので、ドズルさんにあげます
おんりーから受け取ったそれを、僕はとりあえずポケットにしまった。
一足先にパンを頬張っていたMENが、ふと声を上げる。
おおはらMEN
なぁおんりー。あの場所だけ、なんか松明の光を吸い込んでるみたいじゃなかったか?
おんりー
うん。おらふくんが倒れてたところだけ、どれだけ松明を置いても、真っ暗なままで……結局そのまま帰ってきたけど
おらふくん
へー……不思議やな
みんながその話題について話す中、ぼんさんは違う方向をじっと見つめていた。
その先では、おじいちゃんは一人背を向けて、お茶を淹れている。
ぼんさんだけが気づいていた。
その手が、わずかに震えていることに。
風月(主)
風月(主)
なんとか2週間空きを防ぎました、どうも主です
風月(主)
風月(主)
そして、現在進行形で昨日のマラソン大会による筋肉痛と格闘中です
風月(主)
風月(主)
更に、あと5日ほどで学年末考査です
風月(主)
風月(主)
終わった、何も勉強してない←
風月(主)
風月(主)
インフルで延期になった結果、なんと学年末考査の一週間前にマラソン大会が来るという、なんとも地獄なスケジュールとなりました
風月(主)
風月(主)
運動と勉強のダブルパンチです、殺す気でしょうかね
風月(主)
風月(主)
あ、マラソン大会は満面の笑みのドベです✌️
(運動神経皆無)

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