そして、今日は樹の家に向かう日
俺はなかなか寝付けなくて、何回か起きたり寝たりを繰り返してた
樹の家の近くにパーキングがあるらしいから、そこまではマネージャーが送ってくれるみたい
そこからは、歩きでゆーごが教えてくれる
そんな感じらしい
樹は、俺と話してくれるのかな…
あの時、俺は何もしてあげられなかった
信じる事も何も…
かける言葉が見つからなくて、ずっと頭の中でぐるぐるしてた
それから、樹が俺らの前から消えた
しょうがない事だと思った
けど、俺ららしさっていうのが無くなった気がした
歌には樹のラップがない
バラエティとかYouTubeの撮影の時には、樹のツッコミがない
スタッフさんと打ち合わせとかしてた樹
樹が居なくなったことで、進行が遅くなった
毎回、時間過ぎて次の仕事がギリギリって事がよくある
1つの音が消えただけで、こんなにも変わるんだって
あの時、ゆーごが活動休止するって言ってくれて良かったのかもしれない
こんなの、SixTONESじゃないからね…
やっぱり、6人じゃなきゃダメなんだよ…
樹の家に着くまで、誰も喋らなくてそんな事思ってた
ゆーごがチャイムを鳴らす
覚悟、心の準備しないと…
そうして、開かれた扉
もう少しで会えるんだ、樹に…
ゆーごは2回も来てるからか、リビングまですんなり案内してくれた
そして、扉を開けるとそこには…
あの時とは違う、無表情な樹がいた
あの頃のような笑顔をもう一度みたい
そう思ったけど、でも、今は
樹に会えた事が何よりも嬉しくてッ
涙が止まらない
本当は、樹が怖がるかもしれないから抱き着くのはやめようって決めてたのに
樹を見たら消えちゃった
ゆーごや樹に慰められて少し落ち着いた頃
俺は、樹に謝った
こんな風になった今も、樹は樹なんだね…
だってさ、樹の手震えてるよ?
ゆーごが見ててくれるから、何かあったら止めてくれると思うけど
…本当に、変わらない
樹の自己犠牲
でも、樹が自分より俺らの事を優先するのを分かってたのに何もしなかったのは俺ら
俺の気持ち、少しでも樹に届けば、それでいい
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。