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『 なんでそんなん思うん? 』
誠也くんは、んー、と考えてから
「 男の勘ってやつ? 」
『 それ答えになってへん 』
正門が私のことを好き?
まさかね、今まで何年も一緒に居って
そんな風に思った事は1回もなかった。
「 気ぃつけてな? 」
『 そんなん誠也くんの考えすぎやって 』
私と正門はそんな関係では無い。
確かに幼馴染だし、発展しないかと言われたら
1番発展するポジションなのかもしれないが、
今までずっと幼馴染、友達としてやってきた。
もし仮に発展するのであれば、もっと早く
展開していたはず。
まあまず、正門が私の事を好きになるなんて
有り得ない。
だってこの前聞いた時好きな人おる言うてたし。
「 そうなんやろかあ 」
『 そうだよ、誠也くん正門嫌いやん笑 』
「 当たり前やん、実質俺よりあなたちゃんの
こと沢山知ってんねんもん 」
『 なにそれ笑 』
「 とにかく正門には疑いがあるから、
ほんま俺だけ見てて欲しいねんけど 」
『 もうとっくに誠也くんしか見えてへんで? 』
「 んぇ、ほんまに!? 」
子犬、、笑
『 ほんまほんま、
正門、好きな人おる言うてたし、心配せんでも
大丈夫やで? 』
「 え、正門が言うてたん? 」
『 うん、前ね 』
いつの間にか家の前。
『 鍵、鍵… 』
鍵が鞄の底の方に落ちてしまい、中々取り出せない
「 どうしたん? 」
『 鍵が…底に… 』
やっとの事で鍵を取りだしたと思った途端、
正「 あなた? 」
…え?
『 …正門? 』
正「 これ、スマホ置いてったから… 」
『 ああ、ごめん、ありがとっ 』
謎の気まずさの空気が流れたあと、
ども、っと誠也くんが会釈した。
正「 初めまして、」
初めましてではないけどな、と内心で思いつつも
『 わざわざありがとね 』
正「 あ、いや、全然。」
そのあとも正門はなんか喋りたそうにしていたが
じゃ、また明日とすぐ行ってしまった。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。