この手を離せば君たちはそれぞれ幸せになれる。
神様は僕達にこう言った。
だから僕はこう言った。
彼女が隣にいない幸せなんて考えられない。
そうか。
と、神様は考えた。
彼女は僕の手をぎゅっと握る。
僕も彼女の手を握り返す。
やっぱりダメだ。
神様は険しい顔をしていた。
首を縦に振らない僕たちに、神様はついにお怒りになった。
そのまま深い深い水に突き落とされる。
気泡とは逆に進んでいく。
彼女と繋がったまま、落ちていく。
ふたりで、ひとつ。
まどろみの中でただ愛を紡いでいた。
目を覚ますと、彼女は隣にいた。産声をあげて一生懸命に呼吸をしていた。
その時、悟る。
_______________絶望
悲しみのあまり僕はひときわ大きな声で叫んだ。
「元気な男の子ですね。」
「ええ、とても。」
「女の子の方も負けてはいませんよ。本当に可愛らしい。」
おお、神よ。僕たちのあやまちを許してはくれないのですね。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!