荼毘side
『ここにいて...』
『燈...矢兄...』
『どこ、行ってたの?』
『してない、よ』
呼吸も、涙も、熱も、あいつは昔から俺に縋るみたいに向けてくる。
昔は、あいつの味方で信頼出来るやつが俺しかいなかったからだっただろう。
それが依存だと言い切れるようになったのは俺が瀬古杜岳で焼け堕ちて、その炎にあなたの下の名前が呑まれてからだった。
瀬古杜岳で燃えて3年後
俺が目が覚めた時にはあなたの下の名前は俺のベッドの横で目を腫らして眠っていた
周りの連中に聞けばあなたの下の名前は誰にも心を開かず、俺の隣から離れないと聞かなかったらしい
それからずっと、今まであなたの下の名前は俺の傍を離れようとしなかった。
俺も不安定な弟を置いていくこともできず、必ず一緒に行動した。
連合に入ってからは、あいつが不安定な状態でも、アジトには誰かいる。と一人行動も増えた。
だがいつも帰った時にはあいつは年齢に見合わない子供のような声で俺に縋り付く。
やっと最近その行き過ぎた依存に気づいた。
気づいたところで俺はそのあなたの下の名前の重さは背負えない。
救えもしない。俺はヒーローなんかじゃねぇから。
だから少しずつ離すしかなくなる
離れた先であいつが燃え尽きるなら
今度は俺がその炎に飲まれりゃいい。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!