えっと、みなさんこんにちは。
ルティルスです。誰に向かって言っているのかは分かりませんが、とりあえずはいいのかな……?
ボクはバビルスに通い始めてから毎日やっていることを1限のチャイムと共に開始します。
今いるのは職員室の奥の方です。いつもここで授業の予習や復習、小テストなどを解いています。小テストがなかったり予習などが終わって暇になったときは清掃員さんたちの手伝いをしていたりもします。そのときはちゃんと誰かに言ってから手伝いに行っているので帰ったら、魔茶やお菓子があったりもします。
っとと、話が逸れてしまいました。
そんな毎日を送っていたのですが、この前あった師団披露から少し変わったことがあります。
それは──────────
そう。問題児クラスの人たちが時間が空けば毎時間の授業終わりに必ず手紙を渡しにくるんです。1番最初は問題児クラスの全員できていたけど、カルエゴ先生に追い出されてからは毎時間違う人が職員室に手紙を届けにくるようになった。受け取らずに追い返すのは申し訳ないけど、読むのも怖いし、返事を書くのも無理だ。
ボクは先生たち相手なら手紙だろうがなんだろうが返事はできる。けれどどうしても知らない人が相手では怖さが勝ってしまう。ロイたちもボクに合わせてか、魔インで連絡をとってくるし。ただ、魔インでのやり取りを見せること自体には同意しているから、クラスの人も見ていると思う。時々元気な女の子が来るけど、いつも先生たちに止められている。
ボクの様子を見ていたエイトさんが声をかけてくれる。心配そうな声で心配そうな目で聞かれた。
「うん。お返事も、読んでもないのに返すのは申し訳ない」
正直に紙に書いて答えたボクにエイトさんは苦笑した。どうしようもないって分かってはいるけど、開くのはどうしても怖い。何かトラウマがあるわけじゃない。ただただ怖い。他人が怖い。知らない人が怖い。今までろくな人に会ったことがなかったから、それも相まっているのだろうとこの前ツムさんに言われた。
ロイとローラが手紙を持ってきたことは今までない。彼らは魔インで繋がっているから。今日あった事、誰が職員室に行ったかなどの報告。ボクはそれに既読をつけるだけ。返信は特にしない。ロイたちもそれでいいと言ってくれた。先生にたちにボクはある意味の依存をしているのではないかと最近になって思いはじめている。
ロイとローラが手紙をくれたら、何か違うのかもしれない。
そんなことを考えながら、エイトさんと一緒に勉強をしていると、授業終わりのチャイムが鳴り響く。それと同時に、ロイから連絡が入った。
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〈 ロイ
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痺れを切らした、か。まぁ、いつかは来ると思っていたから特に驚きはしないが、まさかロイが手紙を書くとは思っていなかった。
連絡をもらってから数分。職員室の扉がノックされた。いつも通りダリさんたちが声をかけ、入室を許可する。何日も続いているので流石にダリさんにも呆れの色があるらしい。
職員室の入り口付近で話しているのだろう。ボクはもともと五感がいいから、話している内容が聞こえる。だんだんと足音が大きくなっていく。ロイが近づいているのだろう。それ自体は問題ないし、別に構わない。けど────
向こうで何か話している。ここまで聞こえるものなの?あと女の子、元気だなぁ……。
少し入り口の方の会話に気を取られすぎていたらしい。いつの間にかロイが立っていた。
無言で腕を伸ばしたかと思うと、四角い長方形のものがこちらに向かって垂れ下がっている。手紙だ。読め、ということだろう。
大人しく腕を伸ばし、手紙を受け取る。ロイの目の前で開封し、中の文章を読んでいく。どうやら寄せ書きのように書いているらしい。文字や言葉で大体の性格がわかってしまうのも少し面白かった。
読み終わった合図として顔をロイに向けると、ロイが口を開きこう言った。
・・・・・・・・・・・・・・・・クラスのみんなに会わせたいのかな。先生たちもやろうとしていたようだけど、結局、実行に移されることはなかった。ボクが嫌がるのが目に見えていたのだろう。もちろん嫌。そこまでするほど親しいわけでもないし、いく理由もない。クラスの人たちを知らなくてもボクは平気だから。
けど────
・・・・・・・・・・少なくとも、エイトさんは行って欲しいみたい。そんな切望するような目を向けないでよ……。
最大限の譲歩だよ。ボクにしては行くってだけでもすごいことなんだからね!!!
そう返答を返したら、エイトさんは緩慢に首を縦に振った。後からマーさんにもそのことを言ったら、了承してくれたため、2人を連れていくことにした。
翌日のお昼休み────
指定された場所へマーさんたちと行くと、問題児クラスの人が勢揃いしていた。
背が高くて怯んでしまう………。
ちなみに余談だが、ボクはいつもぬいぐるみを抱き抱えている。勉強するときやご飯のときはさすがに抱えていないけど、これは先生たちが教師寮に来て1年目の誕生日の日に買ってくれたぬいぐるみだ。生地は白色で首のとこは緑のリボンがついている、ボクのお気に入り。他にもいろいろあるけれど、持ち歩いているのはこの子だけ。教師寮にある自分の部屋に行ったら、猫さんとか鳥さんとかいろいろいる。この子の名前はホワイト。
っとと、今はそれどころじゃない。

画像:NatLil
名:ホワイト
マーさんの間延びした声に顔を上げたのは全員だった。
ちなみにボクは身長が低いので、マーさんの影になって姿もあまり見えない。
特待生さんの言葉にマーさんが返事をする。
特待生さんはベンチに座っていて、その周りをクラスの人で遠巻きに囲ってる感じ。遠巻きだとしても怖い……。
マーさんが振り返ってベンチを指差す。けどマーさん。ボクには無理だよ?実質はじめましての人が多い中で1人でベンチに座るなんてことできないよ。
せめてマーさんかエイトさんの膝の上じゃなきゃ……。
マーさんが代替案を提案してくれた。本当なら先に座って欲しかったけど、マーさんとエイトさんもここに来る前にダリさんから何か言われていたようだし、それくらいは我慢しなきゃ………。
これは許してほしい。手を握ってない方(ホワイトを抱きしめている方の手)は怖さからか、少し震えてしまっている。エイトさんもそれが目に入ってのか、何も言わずに少しベンチの方によって手を握り返してくれた。
特待生さんたちは少し驚いたようだけど、ローラの声にみんなが我に返った。
ホワイトを抱きしめる手に力を込めて会釈を返す。ピンク髪の人は眉を顰めたけれど、この間の金髪さんたちが宥めていた。
首席さんの大きな声に肩が跳ねてしまった。喉が引き攣ってしまって呼吸が一瞬できなくなる。マーさんがいつも通りの声で首席さんに注意をするけど、怒っているのだろう。少し語気が強いような気がする。軽い過呼吸になってしまったが、エイトさんが背中を摩って大丈夫だよと声をかけてくれたので、少ししたら落ち着いた。
そのタイミングを見て、ローラが口を開く。
首席さんには地を這うような低い声で。ボクにはいつも通りの声で話しかけてくる。
首席さんは「悪かった」と謝ってくれたので、首を横に振ることで許した。
好きだけど、受け取りたくない。知らない人だし。
「お財布、返して。先生の」
エイトさんとマーさんの隙を見て彼は先生たちのお財布を盗った。ダリさんから彼の家系能力のことを聞いていて良かった。
文字に書いて見せると、黒髪さんは驚いたように目を見開いて、苦笑に変わった。
マーさんに2人分のお財布を渡して一歩下がった彼。ボクは何も盗られていないから問題ないだろう。
カイム・カムイ?って人の紹介を雑に終えて、ア、アロケル?って人の紹介に移ったローラ。当の本人はすごく眠たそうだ。あとで安眠効果のある薬草のブレンドでも渡そうかな……。
緑の子がマーさんに止められている。ありがと、マーさん。失神するところだったよ。
ロイがそう言った瞬間、金髪さんがロイの言葉に強く言い返した。こちらも当然肩ビクッ。帰っていいなら早く帰りたい……………。
また言い合いにも似た話し合いがはじまってしまった。帰りたいのに帰れない、この状況をなんとかしてほしい。
クラスの人たちの話し声を聞いていると、だんだんと呼吸が速くなっていく。そのせいか、ホワイトを抱きしめていた手が緩くなって、ホワイトはいつ地面に落ちてもおかしくないくらいだ。
あっ…………、やばい………………いしき……が………………
エイトさんが気づいてくれて強制的に話題を切り上げてくれた。正直助かったし、また過呼吸になってエイトさんたちに心配かけたくない。ボクの場合、過呼吸はそんなすぐに収まるものではないから結構な時間をそばにいてもらわなくてはならない。エイトさんに横抱きにされ、その場を去る。
落ちないようにエイトさんの教師服を掴む。あまり力が入ってないことが自分でもわかるほどの弱い力だが、別にいいだろう。
マーさんが後ろからホワイトを抱えながら小走りで追いかけてくるのが視界の端にうつる。
・・・・・・・・・・これは相当やばかったらしい。もしかしたら本当に失神していたのではないだろうか。
そのまま寝てしまって、次に起きたときは教師寮で先生たちが泣きそうな顔で体調を聞いてきたのはまた別の話。
スクロールお疲れ様でした。
そして、投稿してなくてすみません!!今回はすごく長かったと思いますが、楽しんでいただけたでしょうか?
次は入間くんが悪周期になる話でも書こうかぁと思っております。多分明日はもう1個の方を更新するので、更新できません。では、また。





























編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。