貴方side
〜現在編〜
あれから3日今日は横山くんがカフェに来る日。
私はあれから考えて崇裕宛の手紙を書くこと
に決めた。
それから今日はその手紙を横山くんに渡して
渡して欲しいとお願いする。
これももしかしたら自分勝手かも知らないけど
横山くんなら分かってくれると信じてるから。
横山くんの大好きなチーズケーキ2つを先に
取っておいて冷蔵庫の中に入れて置く。
コーヒーは横山くんオーダーメイドの
コーヒー。
横山くんの口にあったコーヒーを作るから
かなりの時間がかかる。
コーヒーの準備が大体出来たら
横山くんのいつもの席を確保する。
予約席と書かれたプレートを立てて
横山くんを待っていた。
下準備をしているとエプロンの中に入れていた
携帯が鳴って横山くんから連絡が来た。
返信も終えてまた下準備をして
横山くんを待っていた。
それから丁度1時間後
カランコロンとカフェの扉が開いて
お客様が入店した合図が鳴った。
そのドアから入ってきたのは
横山くんがいつもの席に座るのを見て
先におしぼりとお冷を持っていった。
予約席用のプレートを回収して
その机の上におしぼりとお冷を置いて
コーヒーの準備にかかる。
まだ午前ってこともあってお客さんも全然居ない。
だからのんびり出来る。
そしてこの時間帯は甥っ子の面倒も見ながら
お店も回せる。
甥っ子は多少人見知りがあるけど
常連さんや大倉くん、横山くんが来ると
飛びついたり私の手伝いをしてくれる。
…ほら今だって。
甥っ子「横ちょ〜!!!!」
甥っ子「抱っこ抱っこ!!!」
甥っ子「食べる!!!」
甥っ子「いただきます!!!」
まだちゃんとフォークを使えない甥っ子に
横山くんは自分のフォークで1口サイズに切ってから
甥っ子の口に近づけた。
甥っ子「ん〜!!美味しい!!」
甥っ子は頬に手を置いて美味しいポーズ。
…これがまた可愛い。
甥っ子「あーと!」
私が働くカフェではお子様連れも多く
子供用のジュースもコップも何もかも揃っている。
甥っ子にジュースを置いて
空になったコーヒーのコップを下げる。
それから私は他の接客とお皿洗い等やっていた。
お客様も徐々に帰って行き
店の中は甥っ子と横山くんだけになった。
やっていた皿洗いに区切りをつけて
手を洗って横山くんの方に。
甥っ子も横山くんの膝の上から降りて
私のところに走って抱きついた。
甥っ子「ちょっとだけ。でも横ちょと遊んだ!」
甥っ子「うん!言ったよ!!」
横山くんの隣の椅子に腰掛ける。
すると横山くんは立ち上がってカウンター席から
2つのコップに水を入れ1個を私の席の前に置いて
1つを横山くんの前に置いた。
カフェに来た時大切な封筒だから
濡れないように落とさないように
紫のイヤモニが入っている同じ棚に丁寧に仕舞った
その封筒の中にお守りとして
紫のイヤモニも入れた。
薄紫色の封筒を棚から取り出して
それを横山くんの前に置いた。
「お願いします」と頭を下げると
その頭に横山くんは手を置いて
あの時みたいに優しく撫でてくれた。
…事務所を辞めると関ジャニ∞の皆さんの前に
伝えたくて私が大阪の飲食店に誘った時。
その時も私の前にいたのは横山くんで
「ごめんなさい」と頭を下げた時も
横山くんが優しく頭を撫でてくれた。
あの時は「よく頑張った。」って言ってくれた。
でも今日はなんて言ってくれるんだろう。
ぱぱっと用意して横山くんはお店を後にした。
渡した手紙は丁寧に
資料のファイルと一緒に入れてくれて
ちゃんと綺麗に届けてくれるんだと思うと
本当に嬉しかった。
だからどうか届いて欲しい。
こんな形でずるいかもしれないけど
崇裕に届いて欲しい。
今でも私はあなたを想っていて
今でも私はあなたを忘れてなくて
今でも私たちの思い出は鮮明に覚えている
勝手に消えて 勝手に傷付けて
静かに生きている私のことを…。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。