第23話

No.22 類side
415
2023/11/05 11:12
屋上のフェンスに手をかけて、ぼんやりと行き交う車を見ていた。
 がちゃり、と後ろの方で音がして振り向くと見知った顔があった。
神代類
やぁ瑞希、遅いじゃないか。
暁山瑞希
暁山瑞希
……類。
憔悴しきった顔で瑞希は僕を見る。
神代類
どうしたんだい?
暁山瑞希
暁山瑞希
あなたが居ないの!
瑞希は声を荒げて、そう言った。

 また、あなた。何だか過保護な母親のようだと思った。あんなことをされたのに、瑞希は健気で。

まるで昔の、汚れてしまう前のあなたのようだと思った。
神代類
瑞希。
「もう良いじゃないか」

僕は思わず呟いた。


最近のあなたは、どうも変だった。
僕の所為だと責めるあなたの頬は酒に酔ったように酷く紅潮し、昔は青く透き通っていた瞳はどろどろに歪んでしまった。
 依存されるのが気持ち悪く、そして心地よかった。

 僕もきっと酔っていた、彼女に。
神代類
瑞希はあんな事をされたんだろう。お人好しが過ぎるよ
瑞希の肩に手を置き、そう語りかけると彼女が顔を上げた
暁山瑞希
暁山瑞希
違う!




暁山瑞希
暁山瑞希
全部…
暁山瑞希
暁山瑞希
全部類が悪いんじゃあないか!!!
僕の手を振り払って、瑞希は僕を睨みつけた。

僕は驚きのあまり何も言えなかった。只々手の甲の痛みがじんじんと響く
暁山瑞希
暁山瑞希
あなたはきっと、自分を理解してくれるのは類しか居ないって思ってた。
暁山瑞希
暁山瑞希
それで依存してそればっかりになって……
そんなの、と瑞希は僕をまくしたて続ける
暁山瑞希
暁山瑞希
そんなのショーばっかりな類も一緒じゃあないか!!
暁山瑞希
暁山瑞希
皆から大好きな物ごと人格まで否定されて大好きなものからも否定されて











暁山瑞希
暁山瑞希
類がされた事と同じ事、あなたにやったんだよ!!
はぁ、はぁと、瑞希は息を切らしてこちらをもう一度睨みつけた
暁山瑞希
暁山瑞希
類のこと、ボクは軽蔑する。
先程とは打って変わって酷く冷たい声は、僕の体を硬直させた。

ガチャン、と屋上の扉が閉まる音だけが残っていた。

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