人型怪獣?何を云っているんだ、この人は。
互いに意見を出し合ってみたが、たしかに異能力は全員が持っているわけではない。だから異能力を目にする事自体が極めて珍しい。
という訳だから異能力という存在を知らない線が1番高い訳だ。
おかっぱ頭くんの目の前に立てば、そんな事を云われた。
確かにさっきまでは数十m離れた地点にいた訳だが、私は異能力を持っていないなんて一言も云っていない。
握手の意を込めて右手を前へと差し出すと彼は頭にクエスチョンマークを浮かべフリーズした。
なんてツッコミを入れてきた彼。
うん、うちの双黒と相性が良さそう。
そう云ってウィンクをすれば、馬鹿馬鹿しい、なんて事を思われたのだろう一瞬気が抜けた彼。
その隙に彼の手を取ってゆっくりと指を絡めた。
頬を紅らめるわけでもなく只只冷や汗をかいているような焦ったような顔つきなまま彼は私の手を叩き落とした。
しっかり者だなあ。
そう云えば太宰に聞いてこいって云われたんだっけ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。