♀桃赤 分からない感情
※赤桃が女体化 ※微赤黄 ※学パロ(高校生)
~ なつみside ~
うー…最近ずっとらんのこと考えてる…。
前は全然そんなこと無かったのに、話しかけられるとなんか緊張しちゃうし、身体中が熱くなっちゃうし。らんが他の友達と話してると寂しいし…。別に、そんなのらんの自由なのに…。どうしちゃったんだろう、あたし…
「なっちゃん!?危ない!」
「へ?」
やば…!そういえば今体育でドッジボール中だった…!もうボール、避けられない…!
痛みを減らそうと目を瞑り身構える。
…あ、あれ…痛くない…。
「もーなっちゃん!危なかったんだからね!?」
目を開けると、らんがボールを相手に投げ返してる姿があった。どうやらあたしに向かってきたボールをキャッチして庇ってくれたっぽい。……かっこいい。
「ら、らん…!ありがとう//」
「なっちゃんてばぁ、照れちゃって可愛い!」
「っ……//」
可愛い…!!らんに可愛いって言われた…!……でも、友達同士で言い合うのは普通のことで…。なのに、らんに言われただけで嬉しくて、もっと言われたいと思っちゃう。他の人にも、可愛いなんて言わないで欲しい。
…だめだめ。らんにはあたし以外の友達もいるんだから、あたしがらんのこと独り占めするなんて良くない。
こんな悪いこと考えちゃうなら…しばらく、らんと距離を置こうかな…。
◆◇◆
「なっちゃん、一緒に帰ろ~?」
なんとか体育を終え、放課後。いつもなら一緒に帰ってるけど…。今はらんのためにも距離を置かないと…。
なんて断ればらんを傷つけないかな…距離は起きたい、けど…らんに嫌われたくはないし…。
「えっと…今日は、用事があるから急いで帰らないと…。ごめんね、らん」
無難に用事ってことにしてみよう。うん、用事ならしょうがないよね…?
「そっか~、なっちゃんと一緒に帰りたかったから残念…。他の子と帰るね!また今度一緒に帰ろ?」
「うん!またね!」
あたしはらんに手を振って教室を出る。…一緒に帰りたかったなんて言ってくれるの、らんだけだよ…。
『桃乃ちゃん、良ければ一緒に帰ってくれないかな…?』
扉を閉めようと、教室の方に体を向けると微かに聞こえたクラスメイトの声。桃乃って、らんのことだ…。
盗み聞きは良くないけど…!!
「!……もちろん、一緒に帰ろ~?」
『ほんと!?待って、今荷物準備してくるね!』
「ゆっくりでいいよ?笑」
『ありがと、もも__』
このまま聞いてたらバレちゃう!静かにそーっと扉を閉めて、その場を離れる。…やっぱり、らんと他の子が話してると心が痛くなって、泣きそうになる。
おかしいな、あたしって…。
◇
はぁ、一人で帰るとつまんないな…。なんで、らんにこんなこと思うようになっちゃったんだろう…。
あたしのことをいつも守ってくれるらん。それが当然とでも言うようにらんは車道側を歩いて。今日だって、ボールから守ってくれて。あたしが落ち込んでた時には、らんだけが気づいてくれた。らんだけが励ましてくれた。
あたしは…らんからしたら、どういう存在なんだろう。あたしにとってらんは…?…だめ、考えても分からない。考えれば考えるほど嫌われてるんじゃないかと思ってきた。…らんがあたしのことを嫌いなら、避けた方が……
◇◆◇
次の日の朝。教室に入ると、いつも通りらんが挨拶をしてくる。
「なっちゃん、おはよう!」
「らん…おはよ」
話しかけてくれるのは嬉しい。でも、避けないと…
「…なっちゃん、元気ないね?私で良ければ聞くよ~?」
「え…なんで分かるの?」
「だってずっとなっちゃんと一緒にいるんだよ?当たり前じゃん笑」
「らん…」
「そういえば今度さ、夏祭りあるでしょ?一緒に行かない?良い気分転換になると思うし!」
夏祭り…行きたいけど…避けなきゃだし、傷つけないように断らないと。
「えーっと...暑いし…日焼けしたくないし…」
「なっちゃんは十分肌白いじゃん!じゃあさ、夕方からにしよ?そしたら暑くないし、日焼けもしないよ?」
確かにそう。正論すぎて何も返せない…!
「なっちゃん…私、なっちゃんと夏祭り行きたいなぁ…」
「私にはなっちゃんしかいないんだけどな…」
うるうるとした目で言ってくるらん。その顔にあたしは弱いからやめてほしい。可愛い…
「そ、そこまで言うなら…行く…」
「ほんと!?ありがとなっちゃん!大好き」
だ、大好きって…友達として、だよね…。そう思うと、胸が痛くなってくる。なんで、なんでこんなにらんといるとおかしくなっちゃうんだろう。
「楽しみだね、なっちゃん!」
「うん!」
らんに眩しい笑顔を向けられて、あたしもつられて笑う。やっぱり、らんといると楽しいな…。
…おかしくなる原因をはやく探して、らんとの関係を元通りにしないと…!
誰かに相談…。あめてゃは不思議系だから、あたしの参考にはなんない気がする。刺さる人はいそうだけど…。すちえちゃんは…毎日忙しそうだし、やめておいた方が良さそう。
…あいつなら…。あんま頼りたくなかったけど、仕方ない…!
◇◆◇
「相談って何?お前が相談なんて珍しいやん」
「あたしだってあんたに相談したくなかったわよ…!でもあんたしかいないんだからしょうがないじゃない!」
「相変わらず口悪い…どうせ俺以外の前では猫被ってんだろ」
「それはあんたもでしょ…!あんたに言われたくない!」
「ま、俺を選んでくれたからには解決してやるよ」
小さい頃からの幼なじみ、ひまなつ。最初は相談したの失敗かと思ったけど…頼りになる時は頼りになるし、なんだかんだ優しいんだよね…。
◇
とりあえず、ひまなつに全部話した。らんといると楽しいけど、ちょっとだけ緊張すること。あんまり他の人と話して欲しくないと思っちゃうこと。大好きって言われた時に、なぜか胸が痛くなったこととか、全部。
「…それ、お前が桃乃のこと好きなんじゃないの?」
「え、話聞いてた?」
「みことじゃないんだし…」
なんでみこと君が出てきたんだろ、まぁ後で聞けば良いか…。
それより…
「好きって…友達だし当たり前じゃ…」
「お前、案外鈍いな…だから、なつみは桃乃のことを友達として好きなんじゃなくて、恋愛的に好きって可能性があんの。分かった?」
「れ、恋愛的…?」
「なつみは桃乃と恋人になりたいんじゃないかって言えば分かりやすい?俺的にはそう思ってるけど」
らんと…恋人…!?
「あたしとらんは…女の子同士だよ?恋人なんて…」
「でも、桃乃に恋愛感情を持ってるってのが1番しっくりくるわ」
「あんたに恋を語られるのむかつく…あんた、好きな人とかいたっけ?」
「…っ、まぁ…//」
恥ずかしかったのか手で顔を隠したひまなつ。初めて見た…ちょっとだけ可愛いかも。らんには適わないけど。
「誰が好きなの?」
「…言わなきゃだめ?」
「だって参考になるかもしれないじゃない」
「……………みこと//」
「あ、だからさっきみこと君の話が出たんだ…」
「そうだよ悪いかよ…//」
「偶然とはいえ聞いちゃったし、ひまなつがなんかあったら相談のってあげる」
「それは結構助かるわ…みこと鈍感だし…。まぁ、俺からみことへの気持ちが、今のなつみから桃乃への気持ちと同じ感じだから、なつみは桃乃のこと好きなんだと俺は思ってる」
「…あたし、らんのこと好きだったんだ。」
この気持ちに名前を付けられたら、確かに恋が1番しっくりくる気がする。初めてこんな気持ちになったから分かんなかった。
「なつみは…告白とかするん?」
「こっ、告白…!?//」
「だって桃乃って普通に可愛いし、胸でかいし…モテると思うわ」
「さいってー。モテるのはらんが性格良いからだし。…でも、モテるよね…らん…彼氏出来ちゃうのかな…」
やだなぁ、らんの彼氏なんて見たくない。…らんが彼氏出来て結婚したら、結婚式でスピーチするかもしんないんだあたし。らんの横に立つのはあたしがいいな。
…こんな事を考えちゃうなんて、本当にあたしはらんのことが好きなんだ。
「誰かに取られるくらいならなつみから告ればいいじゃん、桃乃とお祭り行くんでしょ?花火見ながら告るとか定番だし…」
「振られたらどうすんの…?」
「……振られた時考えようぜ?」
「無責任…」
…そうだよね、行動しなきゃ何も変わらないよね。…夏祭り、らんに告白しよう__!
◆◇◆
夏祭り当日。集合は18時30分で、花火が始まるのは20時。遅刻するのだけはやだったから早めに出たら30分前に着いちゃったな…まぁ、SNS見てたらいっか。
あ、この服らんに似合いそう。このカフェ、らんと行きたいな。…この動画らん好きそう。どの投稿も、らんのことを考えてるなぁ…。
「ね、おねーさん一人?浴衣可愛いね~!俺と一緒にお祭回らない?」
肩を叩かれ、顔を上げるといたのはチャラい男。…らんかと思ったのに…
「人と待ち合わせしてるので…ごめんなさい」
「ふーん、じゃあその人も一緒に回ろうぜ?君ほどの美人なら友達も美人そうだし!」
らんと二人で回りたいんだけど。相手にするだけ無駄な気がしてきた…
「おねーさん、無視しないでよ~」
「…………」
「っ痛ったぁ!?なに!?」
「あの、私の彼女に何か用ですか?そこのお兄さん。」
「らんっ…!」
チャラい男が呻き声をあげたので気になって見ると、浴衣を着たらんがニコニコと感情の無い笑みでチャラい男の肩を掴んでいた。
「今から私と彼女のデートなので、邪魔しないで貰えます?」
彼女…!?デート…!?
らんに嘘でもそう言われるのは嬉しい。顔赤くなってないかな。
「か、彼女って…君たち女の子同士じゃん。普通は男と...」
「この時代にそんなこと気にしてるんですね、お兄さん。別に好きなら性別なんて関係なくないですか?好きな人を捨てて普通を取るような男と祭りなんて行きたくないのでさっさと消え…どっか行って貰えますか?」
…らん、かっこいいな。好きなら性別なんて関係ないって…そんなんあたしが期待しちゃうじゃん…っ。
「っ…声かけた俺が悪かったわ」
そう小声で言って去っていくチャラい男。…らん、ナンパからも救ってくれたんだ。いつも助けて貰ってるなぁ。
「なっちゃん、ごめん!来るの遅くなっちゃった…。浴衣、めっちゃ可愛い!なっちゃんによく似合ってる~!」
らんのためにレンタルしたから、可愛いって貰えるのは凄く嬉しい。あたしが着ているのは、赤色をベースに、桃色の模様がところどころ入っている浴衣。らんが桃色好きだから、桃色が入っている物を選んだ。
「あ、ありがとう…//らんも、似合ってて…可愛い//」
らんが着てきた浴衣は、桃色をベースに、桜の模様がたくさん描かれているもので、とてもらんっぽい。帯が赤色で、あたしっぽいなって思ったのはきっと、らんのことが好きだから。
「私が一番最初になっちゃんのこと見たかったなぁ…、ホントにごめんね、私が早くついてればナンパなんてされなかったのに…」
「らんが謝ることじゃ…あたしが早く着いちゃっただけで…むしろ、あたしのほうこそらんに嘘つかせてごめん…!」
「嘘?なんのこと?」
「彼女って…あたし達付き合ってないのに…」
「なっちゃんが彼女なら嫌じゃないよ?他の人だったら嫌だったけどね」
「え、それって__」
「なっちゃん、早く屋台行こ?あたしやりたいのいっぱいあるんだ~!」
「あ、らん…手…っ//」
らんがあたしの手を取り、指を絡めている。らんはこういうさり気ないところがモテるんだよ…勘違いしちゃうじゃんか…ばか。
「だってなっちゃん方向音痴だから勝手にどっか行きそうだし、人も多いから絶対はぐれちゃうと思うんだよね~」
「うぅ…確かにそうだけど…!」
「それとも、なっちゃんは私と手繋ぐの嫌?」
またらんはあたしがその顔と声に弱いのをいい事に聞いてくる。
「い、嫌じゃない…//」
今のあたしはそう答えるのが精一杯なくらい、緊張している。
「なっちゃん、やりたいのある?」
「えーっと…」
らんと恋人繋ぎをしながら、お祭り会場を歩く。屋台を見渡すと、らくがきせんべいや焼きそば、かき氷、からあげなど食べ物を売っている屋台に混じって、射的や金魚すくい、ヨーヨー釣り、ボールすくいなんかの遊べる屋台もあった。んー…特にやりたいのないし、らんがやりたいのを楽しそうにやっているとこのほうが見たいかも。
…というか、周りにカップルが多い…!あたし達もカップルに見えるのかな…!?……ただの仲のいい友達同士にしか見えないか…。
「…らんがやりたいのやりたい、かも」
「ほんと!?私、前から射的とかヨーヨー釣りとかやってみたかったんだ~!」
そう笑顔で言ったらんは楽しそうに射的の屋台に向かう。楽しそうで可愛い。無邪気ながらも気遣いをらんは忘れてなくて、さりげなく歩幅を合わせてくれるところもあたしは好き。
そんな事を考えてたら、あっという間に射的の屋台に着いてたみたいで、らんと屋台の人が話していた。
「お嬢さん達、いくらやる?1回500円で3発ね」
「私やります!とりあえず1回で!」
らんがあたしの手を離してお金を渡す。手、離れちゃったな…寂しい…。
「はい、これ銃ね」
「ありがとうございます!…なっちゃん、どれが欲しい?」
「え、らんが欲しいのあるんじゃないの?」
「銃使ってみたかっただけだから、特に欲しい景品はないんだよね~」
「……あたし、あのうさぎのぬいぐるみ欲しいな」
景品を見ると、箱系のお菓子や、ビーズが繋がってる腕輪など子供向けのものが多かった。その中に、小さい手のひらサイズのうさぎさんのぬいぐるみがあって。それが桃色でらんっぽかったから惹かれて、とても欲しくなった。
「おっけー!」
銃を構えているらんを見る。屋台の景品なんて取れるのか不安だったけど、らんは3発うさぎさんに命中させて景品を落としていた。すご、かっこいい…!
「お嬢さん、やるねぇ!持ってけ持ってけ!」
「ありがとうございます、楽しかったです!」
「はい、なっちゃんこれどうぞ!」
「らん、ありがと。大事にする…!」
「ふふ、取れてよかった。あ、次行きたいのはね__」
◆◇◆
あっという間に時間が過ぎて、気づけば花火が始まる時間になっていた。
らんが事前に調べておいてくれた穴場、古い神社の階段に座りながら花火が始まるのを待つ。さりげなく、らんの上に手を置いたら繋ぎ直してくれて、本当にらんは距離感が無意識で近いなぁ。
「なっちゃん、お祭り楽しかった?」
「楽しかったけど…なんで?」
「うーん、付き合わせちゃったかなって思って。なっちゃん、あんま人混みとか好きじゃなさそうだしさ?」
「そんなことない…!だってあたしは、らんが…」
らんが、好きだから。その一言が喉に突っかえて出てこない。
心臓がこれ以上ないくらいに脈打っていて、息を吸うにも落ち着かない。
「…あたしは、らんがっ……らんが、す__」
その時、ドンッという音がして、辺りが橙色に輝く。…花火が、始まったんだ。
「…なっちゃん?ごめん、花火の音で聞こえなかった」
「あ、あたしはらんがす_」
連続で打ち上がる花火に、あたしの緊張して声が震えて小声になっちゃう告白は声量が花火に勝てなくて。らんに思いを伝えるのは、花火が終わるのを待たなきゃ…!
「…ねぇ、なっちゃん?」
「ら、らん…?//」
「私も、なっちゃんのこと好きだよ♡」
「へ…っ!?//」
急にぐいっと顔を近づけてきたかと思えば、あたしの耳元でそう言ってきたらん。らんの声の方が花火より近くて、鮮明に聞こえて…っ。
「ら、らん…っ//」
「なっちゃん、花火中の告白は耳元でやんないと伝わらないよ?♡」
「な、なんで分かったの?//」
「だってなっちゃんすぐ照れるんだもん、分かりやすいよ。前あたしがクラスメイトと帰ってる時見てたの知ってるよ?」
「の、覗き見してごめん!だってらんが…取られちゃうと思って…//」
「ふふ、なっちゃんったら可愛い。もう私となっちゃんは恋人だから、安心だね?」
「こ、恋人…//」
「もう、なっちゃんのこと離さないから♡」
「らん…//あ、あたしも、らんのこと好き!」
今度はちゃんと聞こえるようにらんの耳元で言う。
あんなに分からなかった気持ちは、恋だったのが分かって。あたしとらんの関係に、恋人という名前がついた。
これからも、この気持ちを大切にしていきたいな__。
END
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この作品は、主が過去に投稿した【両片思い】の世界線であり、前日譚です。これです↓
過去作なのでとても下手な文章で恥ずかしいですが、甘いめでそちらも読んでくださると嬉しいです。
ここまでお読みいただきありがとうございました!












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!