第39話

禪院家
428
2024/04/28 05:09

 あなた side









   「どうして気づいたの?」とそう笑うソレは

  特に気づかれた焦りとかは感じていないみたい。





  正直、僕の変幻は完璧だと思うんだよね  
だから、何故バレたのか気になっちゃう
あなた
  …別に、なんとなくだよ  



         本当になんとなく。

      ただ、直感的にそう感じただけ。



あなた
  ていうか無駄話するつもり無いんだけど  
早く殺さないの?目的は何?
  …殺さないよ。今はね  





   「今は」その言葉に強く念を押したソレは

     もう殺意を隠すつもりもないんだ。




  それに、もう目的は話したよ  
「迎えに来た」って
  禪院家が君を欲しているのは事実  
でもね一人、それを嫌がる人物が居て
  ソイツはお前を迎えに行く使用人に  
裏で逃がすよう小細工していたんだよ
  だから僕は、それを阻止するため  
わざわざその使用人に化けてまで
迎えに来たってこと。偉いでしょ?





       スラスラと言葉を続け、

      満足そうに話しきったソレは

    随分とこの状況を楽しんでいるみたいだ。





あなた
  …あっそ、ていうかどうでもいい  
あなた
  アンタのお喋りに付き合うつもりも無い  
  僕もアンタと
仲良く談笑するつもりは無いよ





     「目的にズレてたね。そろそろ行こう」と

        勝手に歩き出したソレ。

   私が逃げるかも、なんて思考は無いみたい。






    まぁ実際、逃げる理由も生きる理由も

   ふしに拒絶されたあの時から、私には無い。



      …ていうか、この思考すら面倒。






 ー 数時間後 ー









   結局あの後、特に会話を交わすことも無く

   水のように流されるままあの家に辿り着いた。







  相変わらず視界に収まらない程の大きさの門が

   以前とは違い、大きくその扉を開いていた。



   門を越えた先には、石で作られた道を中心に

    砂で敷きつめられた庭が広がっており、

   小さな池や、形の整えられた草木があって

   緑が生い茂っている高専の庭とは少し違った。






  お帰りなさいませ、''桃''様  





      門をくぐり少し歩いたところで、

そんな無機質な声が今度は正面の方から聞こえてきた。





  ぼんやりとしていた視界を前方に集中させると

 私をここまで案内したソレと同じ服装をした人間が

   三人くらい、私に向かって頭を下げている。




あなた
  ( ていうか、桃様って言われた…? )  





      そんな疑問が少し脳裏を掠めたが、

  直ぐに「どうでもいいや」という思考が脳を占拠し

        深く考えることをやめた。





  桃様と呼ばれようと、この家に引き取られようと

       本当に全部がどうでもいい。




  後は私達が桃様を案内するわ  
  はい  






  少しだけ何か話した後に、三人だけ私の元に来て

  「ここからは私共めが御案内します」と言い

     私をここまで連れてきたアイツは

      そのまま呆気なく去っていった。










































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今回は大きな動きはありませんでしたが
ここから夢主の素性が明かされ
価値観がガラリと変わり
この作品の汚さが現れ始めます
_@_
何度でも言います
どんな結末でもいい方のみ見てください










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交換宣伝です!!!
情景、心情描写がしっかり描かれている
だけでなく、序盤から展開が大きく動いて
いるので個人的にとても好きな作品です!
_@_
是非、絶対見てください

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