あなた side
長い黒髪を後頭部に団子で結わえ、
白い生地のシンプルな着物を纏ったソレは
表情ひとつ変えず、厳かな雰囲気で言葉を続けた。
ペラペラと言葉を続けていたソレに
ふしは言葉を遮りつつ、一歩前に出た。
ふしはやっぱり、私の事なんにも分かってない。
ふしの横を通って、ソレの後ろをついて行く。
私が振り返りもせずただただ足を進めても
ふしは特に何も言わず
結局、最後まで何も会話を交わさないままだった。
悟なんてどうでもいい。
ふしが拒んでくれれば、私も拒んだのに。
でも私は、あの子にはなれないみたいだから。
ふしが私を必要とするなんてことは無い。
無機質な声でそう言ったソレは
外の大雨を見て、
予め用意していたであろう傘を私に手渡す。
そのまま高専の敷地外に向かうよう
三歩後ろを歩きつつ、私を誘導する。
高専から出てきた辺りで
暫く続いていた沈黙を自ら破った。
ソレのパシャパシャと雨水を含んだ足音が止まり
私に背中を向けたまま、五秒くらいの沈黙が続く。
こっちに顔を向ける気配すらしないソレに苛立って
また返答も待たずに言葉を紡いだ。
ザーザーと降り続いていた雨が重く
そして激しくなっていく。
靴下に少しずつ水が染み込んでいく感覚がして
なんだかもう全てが気色悪い。
そう乾いた笑いを零し、私に顔を向けたソレは
狂いに狂った鬼のような笑顔をしていた。
【じゅじゅさんぽ】
《 禪院 あなた ? 》
![](https://novel-img-gcs.prepics-cdn.com/prcmnovel-tokyo-prod-converted-images/p/fce1fef048b86e2103e4722bcc448d498b82bfca/illustration/01HW037RZVEKXER1NNE4B94JHB_converted.webp)
・猫背なため、身長(163cm)の割に小さく見える
・食べることへの執着は異常
(幼少期あまり食べられなかったため)
・昔の記憶はあまりない
・髪の長さは肩に少しかかるくらい
・めちゃくちゃ細い
・無表情&覇気が無さ過ぎてよく舐められる
・部屋は綺麗と言うより殺風景
・調伏した式神は結構多い(詳しくは後ほど)
《 禪院 桃 ? 》
![](https://novel-img-gcs.prepics-cdn.com/prcmnovel-tokyo-prod-converted-images/p/fce1fef048b86e2103e4722bcc448d498b82bfca/illustration/01HW0421CD6D809K6GN0XE7SC4_converted.webp)
・めちゃくちゃ可愛い
・元々は黒髪
・実はあなたと同い年
・高専の入学は母親の差し金
・禪院家の中の評価はダントツでトップ
・身長は155cm
・直哉、母親に虐められまくった過去あり
・伏黒くんとは長い付き合い
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。