横たわっている彼に近づくと
まだ息があったようで、モゾモゾと動いていた
ようやくオレと目が合い、名前を呼ばれたが
もう段々と息が浅くなっていた
そう言って、類は力なく笑った
今にも目を閉じて眠ってしまいそうな雰囲気だ
自分に言い聞かせるように、強く言った
そうでもしないと気がおしくなりそうだった
類がオレの言葉を遮った
さらに被せて言う事だって、容易だったが
オレはすぐに口を閉じ、類の声を聞いた
頬を一筋の雫が伝っていく
類は、その雫を拭い取りながら言った
類の心音が弱くなっていく
どうしてもこの場から離れたくなかった
力が弱まっていく類の手を握った
涙と共に、言葉が溢れ出てきた
類は、少し驚いた顔をした後
心底嬉しそうな顔で、笑った
もう、今にも消えてしまいそうなか細い声で
彼が返答をした
そして、そっと手を握り返して
優しい声で、オレへささやくように言った
泣きそうな、消えてしまいそうな目と目が合った
彼は悲しそうな顔をして、言葉を続けた
どれだけ声をかけても、
彼はもう、言葉を返さなかった
救急車が着いた頃には
類の体温は、すっかり冷めていた
次回.酷い隈














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。