今日、るいさんが死んだ
犯人は誰か分からない
お兄ちゃんは、るいさんが死ぬ間際にいたらしい
けど、詳しい事は一切話してくれなかった
もしかしたら、警察に事情聴取を受けたから
それで疲れたのかもしれない
家に着いてすぐ、お兄ちゃんは言った
暗く、決意に満ちた顔だった
そんなお兄ちゃんを見てお母さんは言った
そう、最近のお兄ちゃんは隈が酷い
本人は「ちゃんと寝てる」なんて言うけど
それはきっと心配させない為の嘘だ
心の中でそう呟いて、
少しでも罪悪感を減らすつもりだった
《その日の夜》
お兄ちゃんは一番に部屋へ行った
だから、アタシがお風呂から上がった頃には
既に寝ているはずだった
髪を乾かして、アタシも寝ようとした時
お兄ちゃんの部屋から何かを呟く声が聞こえた
興味本位だった
お兄ちゃんの部屋に寄り、中を覗いた
今まで見た事が無かった兄の泣き顔
それも、あんなに弱々しい⋯
アタシは、なるべく音を立てないようにして
自分の部屋まで戻った
何とかアタシの部屋に着くと
部屋の電気が付いていなくて、真っ暗だった
その暗闇の中からアタシが殺した人たちが
じっとアタシの事を見つめているようだった
言葉が喉に詰まって上手く出てこない
代わりに涙が、嗚咽が、出て来た
ようやく、人を殺したという実感が湧いて
呼吸がどんどんと浅くなっていった
気づけば、お兄ちゃんが隣にいて
優しくアタシの背中をさすっていた
お兄ちゃんは、アタシが落ち着くまでずっと
優しい力でトントンと背中を叩いていた
こんなに優しい人を、アタシは傷つけたんだと
そう思うと、苦しかった
嗚咽するアタシの背中をさすったまま
お兄ちゃんは何にも言わなかった
《翌朝》
太陽が顔を見せ始めた頃
アタシも落ち着いてきて、涙も乾いてきていた
小さく返事をすると、お兄ちゃんは安心して
柔らかい笑顔を浮かべて、頭を撫でた
もし、人殺しなんてしてなかったら
ちゃんと貴方と話せたんだろうか
一晩中泣き続けていたから体は疲れきっていた
お兄ちゃんの目の隈も酷いままだった
次回.全部アタシのせい















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!