《宮益坂女子学園》
言い訳を頭の中でグルグルと考えていると
アタシが言葉を出す前にクラスメイトが言った
クラスメイトが言った事を理解するのに
数秒がかかった
ポカンとした顔で黙り込んだアタシを
不思議そうな顔で、クラスメイトが見ていた
俯きながらそう答えた
知らなかった、そんな事起きてたなんて
《昼》
アタシは一人で、中庭にいた
お弁当を開いて食べようとした時
あいり先輩が苦しそうにしているのを見つけた
駆け寄ってあいり先輩の手を取ると
汗で滲んでいて、微かに震えていた
先輩は、バランスが上手く取れないのか、
アタシにもたれかかるようになっていた
あいり先輩の顔色はとても悪く
ステージに立ってる時には想像も出来ない姿だった
今にも泣き出しそうな、
全部が溢れ出してしまいそうな顔をしていた
しばらくして、水を飲ませたりすると
あいり先輩の顔色はマシになってきていた
木陰にいる先輩の横に座ると
髪を風になびかせながらアタシへ言った
そこから会話は続かなかった
その間が気まづくて、適当に言葉を発した
全部言い終えてから、言うべきじゃ無かったと
気づき、別の話題を考えていると
あいり先輩が小さな声で呟いた
とりあえずテストの話でもしようとしたけど
どうやらタイミングを失ってしまった様だ
それは、随分前のニュースだ
アタシが⋯⋯初めて人を殺した時の⋯⋯
あいり先輩が空を見上げた
それ以上は、言われなくても分かった
罪悪感にいたたまれなくなったアタシは
聞こえるか聞こえないか位の声で言った
あいり先輩の目線が、ゆっくりと
こっちの方へ来ているのが分かった
目を合わせたくなくて、そっと視線を逸らした
「罰を与える」「許さない」「復讐する」
そんな言葉が来るのを想像していたけど
そんな、優しい声が返ってきた
混乱して、あいり先輩の顔を見ると
もうアタシの事は見ていなくて、下を向いていた
仲間を殺されて、しかも
そのせいでもう1人の仲間も死んだのに
アタシがただただ混乱していると
あいり先輩は、手を軽く動かしながら答えた
それは、大体合ってる
アタシが2人を殺したから、るいさんも殺した
アタシが殺しなんかしなかったら
とーやくんも死ななかった
気分がどんどんと落ちていって
今すぐにでも自分を殺したくなっていた
そんなアタシの様子に気づかず、
先輩はそのまま話を続けていた
あいり先輩は、涙声になりながら
膝に顔を埋めて、そう言った
次回.罪の償い方















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。