第12話

第十話 昼休み
18
2026/08/04 03:00 更新
鬼ごっこ昼休みが始まった。
伊織は早速1人に目をつけ走り出した。幸い、その人はあまり足が早くなかった。
すぐに追いつき、タッチしようとした時だ。突如その人の周りに大剣が5本ほど出現した。
その大剣はその人の周りを円状に回転し、守っているようだった。
その姿はチェンソーのようで、触れただけで剣から次の剣へと連続して攻撃されそうだ。
剣人
あれ?びっくりした?
これが僕の能力「守護者ガーディアン」さ
S.P.E.C.T.R.E.の隊員を決める試験だ。能力を使ってはいけないはずがない。
守護者ガーディアンは恐らく相手に不可侵を強制させるものと、近づく敵に対して禍々しい殺意で傷つける二つの面があるのだろう。
今のニャルは近距離での攻撃が前提で、恐らくダメージを与えることはできないだろう。かといっても他の人を捕まえに行ったところで足手纏いになるだけだ。

ならば今できることは何か
伊織
ニャル…
ニャル
伊織!まさか…
伊織
行けるか?
ニャル
ふっ…我に不可能はない
そんな言葉を交わし、伊織は新形態を編み出した。
伊織
シーカー!
探索者の名前を冠するその形態は何よりも怠惰で、何よりも執着する力を持つ。
剣人
なんだ?
伊織
自分の能力の仕組みを敗者に教える義理はないでしょ
その煽りが剣人のプライドを傷つけた。
守護者ガーディアンの剣は本数と回転数が増え、殺意が増したのを感じられた。
剣人
ってやんよ…!
ニャルは変形を終え、伊織の手の中に収まった。
容姿は正にボウガンで、つがえる矢はどこにも見当たらなかった。
この形態は使用者の妖気を矢に変換し、放つ能力だ。伊織は能力で妖気をほぼ使わないため、矢を大量に変換できるという相性面でも強い面がある。
伊織
「装填」
そう唱え、伊織は変換した矢をつがえた。
そして狙いを定め、矢を放った。

狙いを定め、放つ。

それだけで伊織は勝てるのだ。
なぜならば、この名に冠された能力は…
剣人
はっ…この程度の矢
守護者ガーディアンで弾ける
弾いたはずの矢が帰ってきた。
守護者ガーディアンの剣の隙間から矢が入り込む。
剣人
あ゛あ゛っ
新形態の「シーカー」。この名に冠された能力は…追尾である。
伊織
くそっ…キリがねぇな
しばらく続けていくうちに戦況は一変。
伊織が圧倒した瞬間、本来の守護者ガーディアンの円状の回転に加え、円柱状に隙間を埋めてきたのだ。
伊織が攻撃するための隙間が減った。
それでも伊織が矢を放つのをやめないせいで、剣人が伊織に近づくことができなくなった。
つまり、必中の矢と不可侵の盾の泥臭い戦いクソゲーになった。
ニャル
伊織…一つ忘れていることがないか?
ニャルの心を読んだところ、伊織は武者震いが止まらなくなった。
こんな時ニャルは恐ろしい発想をする。
伊織
轟ぃ!
近くで逃げを追っていた轟は足を止めた。
ったくなんだよ…
空気読めや
しかし、伊織が轟に触れた瞬間話すのをやめた。ボウガンと化したニャルを持ち、剣人に向ける。轟の妖気で作られた矢がつがえられ、放たれた。
剣人の周りを囲う剣に矢が当たる。
そして…爆ぜた。

轟の能力は自身の妖気を爆ぜさせる。
ニャルのボウガンの形態「シーカー」は使用者の妖気を矢に変換し、追尾させる。
両者の能力が合わさり、「回避不能の爆発矢」が出来上がるというわけだ。
剣人
クソがぁ…
自身を守る能力になっているだけあり、本体の身体能力は低かった。
伊織は近づき、タッチした。
哲也
今年は豊作だなぁ
まさかここまでとは
笑理
えぇ…
自慢の教え子たちですよ
哲也
特に本間とかいうの強そうじゃないか?
笑理
あれは思いました
なぜか報告書に制限がかかっていましたね
哲也
何か裏がありそうだな
鬼ごっこでも実力を隠している気がした
笑理
まぁ轟さんがほとんど捕まえちゃってましたけどね
哲也
轟といえば仲悪そうにしてた伊織の言いなりになってなかったか?
笑理
そうですね…
あれは本当に不思議です
哲也
まぁなんにせよ結果は勝利だ
おめでとう
そう言って哲也と笑理は乾杯した。

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