第11話

第九話 4限
9
2026/07/29 03:00 更新
伊織
プロテクター…
伊織がそう唱えた時、ニャルは伊織の前へ体を伸ばし、薄く平らになっていった。
ニャル
これが次の形態!
盾形態のプロテクターだ!
攻撃能力の一時的な放棄と伊織の両手が塞がるという条件で取得した「絶対防御」の形態である。
盾ね…ちょっと厄介だ
でもエネルギーは消せない!
轟は小石を次々と投げた。爆発した小石のせいで砂煙が発生し、視界は格段に悪くなった。それにより、防御も格段に難しくなる。
砂煙を利用し、轟は机を投げた。そして轟は机を爆ぜさせた。
しかし、伊織は瞬時に防御し、ダメージを最小限に抑えた。
伊織
かっ…
爆風で伊織は柱へと突き飛ばされ、激突した。
…!
なんで生きてやがる
轟は衝撃に顔を歪めた。
ニャルは通常形態へと体を戻し、こう話した。
ニャル
伊織と我が背中を合わせ、僅かな煙の動きを観察し、飛来する爆弾の方向を察知
そして爆弾が来た方向に対して盾形態に変化させた我を向ける…簡単だろ?
伊織
ったく…俺にも言わせてくれよ
ニャル
すまんすまん!
新形態に興が乗ってしまったわ
伊織
ったく…
伊織とニャルがそんな言葉を交わしていた時だ。
うわ゛ぁぁ
轟は狂ったように、まわりの壁に小石を投げて爆発させていた。配線が露出した。
この瞬間伊織は思考が停止したが、瞬時に轟の意図を理解した。そして、死の気配を感じた。
気づくの早すぎね?
伊織は露出した配線に向かい、駆け寄る。
しかし轟も足元の塵を爆発させ、推進力を得て配線の元へ向かう。
伊織から配線までは遠く、爆発による加速をした轟には負けてしまった。 
轟は露出した壁にある管に触れ、こう言った。
能力の発動条件も…
気づいてんじゃねーか?
その通り、伊織は気づいていた。
机の足には鉄が使われていた。鉄は塊の状態では基本的に爆発はしない。しかし、その机の足の鉄は爆発していた。
これから得られる答えは、「物体ではなく妖気が爆発している」ということだ。
通常は爆発し得ない物も爆発できる。つまり…
この管は水道管だ
火災報知器作動!
轟は燃えていた木の破片を拾い、天井へ投げた。
火災報知器が作動し、スプリンクラーが放たれる。
伊織
水道管に触れて水に妖気を込め、スプリンクラーで散布し爆発
擬似サーモバリックってことか
じゃあね伊織君…
轟は去った。そして降ってくる水滴が爆発しようと威圧感を放つ。
伊織
ニャル!
伊織はニャルを盾へ変化させつつ、紅太の元へ向かった。
咄嗟に庇うものの、限界が来てしまった。落ちてくる水滴をカバーできない。このままでは死んでしまう。
だが、伊織の灰色の脳細胞は新たなる閃きを創り出した。
伊織
プロテクター・スフィア!
ニャルは逆にドーム状となり、伊織達を守った。
笑理
なるほど…
10人脱落、確かに確認した
笑理は脱落者の名前を読み上げた。
その中には紅太の名前もあった。
紅太の顔は崩壊しかけていたものの、S.P.E.C.T.R.E.の治療なら回復できるそう。
笑理
はぁ…これでテストを終わる
各自解散だ
テストが終わり、伊織は轟を睨む。どうやら轟単独で8人も脱落させたようだ。
スプリンクラーによる擬似サーモバリック爆発はしばらく続いた。どうやら開始直後から、水道管の場所の確認をしていたようだ。
そこを紅太に見られ、戦いへ発展したのだろう。
伊織
なんでだよ…
伊織は紅太のことを弟のように思っていた。
迫害された過去をもつ紅太が自分のことを慕ってくれている。
それだけで紅太に対して保護欲が生まれた。
しかしこの時は、轟に対する憎しみが、ニャルを新たな形態へと進化させることをまだ誰も知らなかった。
ついに本番。
クラス対抗のトーナメントが始まった。
笑理
さて、休めたか?
選ばれし15人よ、クラス対抗トーナメントを始めるぞ
うちのクラスはシードが適用され、午後からトーナメントだった。
どうやら最初の相手はAクラス。

くじで決められた戦いの内容は「鬼ごっこ」。
片方のチームが鬼でもう片方が逃げをやる。
制限時間は15分で、逃げが一人でも残っていれば逃げの勝ち。逃げが全滅すれば鬼の勝ちだ。
グラウンドでAクラスの人たちと出会い、鬼ごっこが始まった。Aクラスが逃げでこっちが鬼だ。
逃げが四方へ離れて1分ほどした。
笑理
それでは鬼ごっこスタートッ!

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