第12話

頑張れる理由
917
2020/03/25 16:31 更新
あなたside
体育大会当日

私は、実行委員長としての仕事が忙しく校内を走り回っていた。
京極竜
京極竜
おっ、あなた!
竜と廊下でばったり会う。
京極竜
京極竜
バスケの試合これから始まるからさ、見に来てよ。
椎野(なまえ)
椎野あなた
し、仕事全部終わったら行きます!
京極竜
京極竜
おう!
忙しすぎて頭が回らず、なんとなくそう返事をした。
仕事全部終わってから見に行くか、そう思ったがすぐに片付く仕事の量ではなかった。
椎野(なまえ)
椎野あなた
(…今日1日かかりそう)
気が遠くなりそうになりながら、足早に次の仕事へと向かった。
女子生徒
女子生徒
あなたちゃん、あとはやっとくから大丈夫!
同じ実行委員の子が私に声をかけてきた。
椎野(なまえ)
椎野あなた
…で、でもっ、
朝から放送での招集、各競技の準備・片付けなど…たくさんの仕事をしてきた。

だが、まだ少し仕事が残っていて、とてもじゃないけれど終われない。
女子生徒
女子生徒
そういえば、光輝先輩たちバスケの決勝残ってるみたいだね!
椎野(なまえ)
椎野あなた
…え?
女子生徒
女子生徒
行ってきなよ!応援待ってると思うよ!
何となく私に向けた言葉なのか、意図的に向けられた言葉なのかよく分からなかったが、その一言に甘えることにした。
椎野(なまえ)
椎野あなた
ありがと!行ってくる!
私は、頑張っているであろう"あの人"のことを思いながら体育館に向かい走った。
ーーーーーーー
残り10分
電子タイマーにかかれた数字を見て、焦る。

光輝先輩たちのチームは5点差で負けていた。
天堂光輝
天堂光輝
…っ、
光る汗を拭きながら走っている姿は、今までの優しい先輩とは違っていた。

わかる。バスケのルールをよく知らない私でもわかる。
光輝先輩や竜先輩は、本気でバスケを楽しんでる。

負けているこの状況でも、表情は生き生きしていた。
椎野(なまえ)
椎野あなた
あっ…!
光輝先輩は、上手く相手をかわしシュートをうった。

点差3点。
天堂光輝
天堂光輝
あっ…、
椎野(なまえ)
椎野あなた
え…嘘
シュートするために飛んだ足。相手チームに体を押され、その足がぐにゃと曲がり地面に着地した。

捻挫…したようだった。
私は、気にせずに走っている光輝先輩を見て、思わずサポーター席まで走った。
光輝先輩!そう、思わず叫ぼうとした瞬間、誰かに腕を強く引かれた。
京極竜
京極竜
あなた、そっとしておけ。
腕を強く引っ張っていたのは、休憩で選手交代していた竜先輩だった。
椎野(なまえ)
椎野あなた
で、でも…!
京極竜
京極竜
わかってる…。本当は助けなきゃいけないって。でも今俺が、あいつを止めても、…光輝は絶対にプレーを続ける。
そこまでして頑張れる理由は何?

私は何かに一生懸命になんてなれない。
椎野(なまえ)
椎野あなた
…わかりました。竜先輩がそこまで言うならあと10分見守ります。
竜先輩は、ありがとうの代わりに私の背中をトントンと優しく叩いた。
ーーー
残り1分
2点差まで縮めたが、残り1分ということもありさすがにチームのみんなも焦っていた。
刻々と時間が過ぎていく中、2点差の差は一向に縮まらない。
5
4
3
2
1
ピピッー
椎野(なまえ)
椎野あなた
…!
その瞬間私は何が起こったのか分からず、ただその場に立ち尽くしていた。
5秒の中で、光輝先輩はパスをうけ、ドリブルをし、シュートをした。
スリーポイント地点で。
京極竜
京極竜
やったぁぁぁ!
日浦海司
日浦海司
光輝さすが!
光輝先輩の周りは、一瞬にして人に埋めつくされていた。
54対55
圧巻のプレーを見せられ、その場に立ちつくすことしかできない。
天堂光輝
天堂光輝
あなた!
椎野(なまえ)
椎野あなた
え?
名前を呼ばれ、声の方を向くと光輝先輩はこちらに向かって走ってきた。
天堂光輝
天堂光輝
ありがとう。
光輝先輩は、私の前に立ちそう言った。
椎野(なまえ)
椎野あなた
なんで…ですか…?
天堂光輝
天堂光輝
俺、あなたのために頑張ったんだ。
最近なんか元気なさそうだったし、喜ばせたいと思って…。
椎野(なまえ)
椎野あなた
そうなんですか…?
こんな私のために頑張ってくれた…。
それだけで嬉しかった。
椎野(なまえ)
椎野あなた
バスケ、優勝おめでとうございます。
光輝先輩に笑顔を向ける。

すると、光輝先輩も私に笑顔を向けてくれた。
天堂光輝
天堂光輝
1つお願いなんだけど、
光輝先輩はそう言い、私の腕を掴んで胸に引き寄せた。
椎野(なまえ)
椎野あなた
(うわっ…)
光輝先輩の甘い匂いに一気に包まれる。

しばらくの間、抱き寄せられたままの状態で鼓動が早くなった。
椎野(なまえ)
椎野あなた
あ、あの…お願いって…?
私が聞いた途端、光輝先輩は私の耳元でこう言った。
天堂光輝
天堂光輝
…保健室連れてってくんない?
椎野(なまえ)
椎野あなた
その瞬間、光輝先輩は足首をおさえて崩れ落ちた。

プリ小説オーディオドラマ