3人ほどの警備員に
痛いほどに腕を掴まれて
引き摺られるように連れていかれる
けれど、痛いという声を上げる
意思が私に残っているとは思えない
……脱走…確かに、
普段この辺りの部屋で
呻いている奴隷たちが見当たらない
みんな…逃げられたのかな
そう思っていた時に…
筋骨隆々の…銃を構えた青年
拳銃を構えた青年の顔に、
警備員は見覚えがあったらしく…
青年…よざくらしんぞうは、
名前を聞いて、再び身構えた
そう叫ばれては、動かざるを得ない
そう、育てられたから
駆け出して、手を振り翳す
…私の四肢は、機械だ
昔、どこかの組織の身体改造に
体が耐えきれなくて、機械になった
だから…命を削る、その身体改造よりも
身体に馴染んだ、機械の手足を使う
変形した手は、見栄えの為にと
着させられた長袖を破り、
無数の刃物へと変形する
刃物を…総じて受け止められ、
一部はへし折られた
1人の警備員が、そう叫んだ時
一瞬、しんぞうの動きが鈍る
躊躇いのない、叫び
命を捨てる時は…そう
「自爆」の命令に等しい
弾かれて、床に這いつくばった直後に
勢いのまま立ち上がり、駆け出す
武器は出さず、ただ
情を誘って、懐に入り込む
…演じたつもりだったのに
今、口から出たのは、とうの昔に消された
自分の本心のような気がした
しんぞうは、驚いたような顔から
一転して、真剣な顔付きになる
その問いかけに、一瞬踏み留まりかけるが
一瞬の躊躇いは、すぐに掻き消される
腰に抱きつくように飛びつき、
自爆しようと、思考を集中させた瞬間
咄嗟に見上げた、彼の目と、視線が合う
先程まで、緑色だったその瞳は
花開いたような、美しい瞳になっていた











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。