俺は絶句していた。
想像以上に過酷だったなんて言ってはダメなのかもしれないけれど。
そんな幼少期に作った宝探し…一体何が奥深くに眠っているのか気になって仕方がない。
怖いもの見たさとでもいったらいいのだろうか、宝探しは続けるしあの少年との話だってまだついていない。
メモの謎も分からないままだし__
と、口に出してはみるもののどうしたらいいのかわからず首をかしげる。
追体験するような過去は終わってしまったしさながら映画のエンドロールを見ている感覚といったところだろうか。
これじゃあ出口のない映画館だ。
「みゃあっ!」
聞き覚えのある鳴き声。
ボクが来たから大丈夫とでも言いたげな自信のあるしっかりとした声。
「にゃぁ」
そうだよ、と今度は小さく鳴く。
俺が生きていることを確かめるみたいにルナは何度か指を舐めた。
「にゃっ」
さぁ、おいで。とルナは白飛びしている明るい方へと足を進める。
出口はもう知っているから、と。
「にゃーぁっ」
鳴き声がして後ろを振り向く。ルナは前にいるはずなのに、後ろから確かに猫の鳴き声がした。
振り向いた先に黒猫の影が見えた。寂しそうに鳴く、声とともに。
霞んだ霧に巻かれたようで一つ瞬きをする間に姿も形も消えた。
幻、そう呼ぶのが相応しいぐらいに。
「みゃうっにゃーっ」
早く行こうとルナが唸るように鳴いた。
「にゃんっ!」
ほんと、大変なんだから早く!と言わんばかりの大声だった。
子猫の身軽なステップを追っかけて、白く白く光が満ちる方向へと走る。
段々と現実に戻る感覚があった。
それは温かくて安心を覚える感覚だった。
夢が覚めるようにそっと景色が切り替わる。
次重い瞼を上げたとき、そこは現実だった。
焦ったように飛び起きる。まだ部屋から出れるわけじゃない、閉じ込められていたんだし__!
部屋のドアも窓も開いていて、二人が部屋に居た。
今日は予定がなかったはずなのに。
驚きを嚥下する暇は俺にはなかった。
視線を移動させる。
愛しい人は今、一言も言葉を放たず、目も合わなかった。
怒ってる、いや俺でも怒る。
心の底から湧き上がる罪悪感が体を肌を駆け巡った。
ぎゅっと触れたのは人肌だった。
じんわりと広がる暖かさで抱きしめられているのだと知った。
強く、強く抱きしめられていた。
顔が見えない表情が分からない。
途中で遮られた謝罪の言葉を口にする。
段々言葉が区切られる感覚が広くなった。
声は偶に裏返る、きっと泣いている。
ぎゅっと抱きしめ返す。
あーずかいの少し強すぎた力が緩まるのが分かった。
優しく頭を撫でると小さく泣き声が聞こえた。
空は青色の晴天に代わり、雷雨はもうあがっていた。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。