第50話

目覚めた先で抱きしめて
100
2025/09/06 12:23 更新
おっP
俺は絶句していた。

想像以上に過酷だったなんて言ってはダメなのかもしれないけれど。

そんな幼少期に作った宝探し…一体何が奥深くに眠っているのか気になって仕方がない。

怖いもの見たさとでもいったらいいのだろうか、宝探しは続けるしあの少年との話だってまだついていない。

メモの謎も分からないままだし__
おっP
そんなこと考えてる場合じゃない…目覚めなきゃ__
と、口に出してはみるもののどうしたらいいのかわからず首をかしげる。

追体験するような過去は終わってしまったしさながら映画のエンドロールを見ている感覚といったところだろうか。

これじゃあ出口のない映画館だ。

「みゃあっ!」
おっP
ルナ!
聞き覚えのある鳴き声。

ボクが来たから大丈夫とでも言いたげな自信のあるしっかりとした声。
おっP
俺がこうやって迷ってるから?
「にゃぁ」

そうだよ、と今度は小さく鳴く。

俺が生きていることを確かめるみたいにルナは何度か指を舐めた。
「にゃっ」

さぁ、おいで。とルナは白飛びしている明るい方へと足を進める。

出口はもう知っているから、と。
おっP
そうだね、行こ__
「にゃーぁっ」

鳴き声がして後ろを振り向く。ルナは前にいるはずなのに、後ろから確かに猫の鳴き声がした。
おっP
…!?
おっP
お前は_!
振り向いた先に黒猫の影が見えた。寂しそうに鳴く、声とともに。

霞んだ霧に巻かれたようで一つ瞬きをする間に姿も形も消えた。

幻、そう呼ぶのが相応しいぐらいに。

おっP
消えた…?
「みゃうっにゃーっ」

早く行こうとルナが唸るように鳴いた。
おっP
そうだよな、早く帰らないと
おっP
あーずかいが帰ってきてたら心配かけるし
「にゃんっ!」

ほんと、大変なんだから早く!と言わんばかりの大声だった。

子猫の身軽なステップを追っかけて、白く白く光が満ちる方向へと走る。

段々と現実に戻る感覚があった。

それは温かくて安心を覚える感覚だった。

夢が覚めるようにそっと景色が切り替わる。
おっP
あ…
次重い瞼を上げたとき、そこは現実だった。

焦ったように飛び起きる。まだ部屋から出れるわけじゃない、閉じ込められていたんだし__!
キムテス
あ、起きた
おっP
え、なんでキムテスが…?
毒ヶ衣ちなみ
私も居るけどね
おっP
先生も!?
部屋のドアも窓も開いていて、二人が部屋に居た。

今日は予定がなかったはずなのに。

驚きを嚥下する暇は俺にはなかった。

視線を移動させる。

愛しい人は今、一言も言葉を放たず、目も合わなかった。

怒ってる、いや俺でも怒る。

心の底から湧き上がる罪悪感が体を肌を駆け巡った。
おっP
あーずかい、ごめ__
おっP
__!
ぎゅっと触れたのは人肌だった。

じんわりと広がる暖かさで抱きしめられているのだと知った。
あーずかい
心配した、この部屋入ったらダメって言ってたのに
おっP
…ごめん、勝手に入って
強く、強く抱きしめられていた。

顔が見えない表情が分からない。

途中で遮られた謝罪の言葉を口にする。
あーずかい
帰ってきたらどこにもいないし、倒れてるし
あーずかい
中々起きないし、なんでこの部屋に居たのかもわかんないし
あーずかい
怖かった…起きて…よかった
段々言葉が区切られる感覚が広くなった。

声は偶に裏返る、きっと泣いている。
おっP
ごめん…ありがとう…見つけてくれて
ぎゅっと抱きしめ返す。

あーずかいの少し強すぎた力が緩まるのが分かった。

優しく頭を撫でると小さく泣き声が聞こえた。

空は青色の晴天に代わり、雷雨はもうあがっていた。

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