第3話

校門での出会い
12
2026/02/24 11:47 更新
門をくぐった瞬間、うす男はぴたりと立ち止まった。

校舎を見上げ、ゆっくりと瞬きをする。
塩味うす男
塩味うす男
「……重そうだな。」
視線の先は建物ではない。
生徒たちが抱えている大量の教科書だ。

眉間にしわが寄る。
塩味うす男
塩味うす男
「紙の暴力だ……」
そう呟いた直後、曲がり角から勢いよく誰かが飛び出してきた。

どん。

軽い衝撃。

小柄な女の子が尻もちをつき、うす男は細長い身体をふらりと揺らしながらも、まるで風に吹かれた電柱のようにゆっくりと元の角度へ戻る。

沈黙、三秒。

女の子が顔を上げる。
(なまえ)
あなた
「ご、ごめんなさい!」
うす男は無表情のまま彼女を見下ろした。

そして真顔で言う。
塩味うす男
塩味うす男
「今、枝豆の薄皮何枚分か分かる?」
(なまえ)
あなた
「……え?」
塩味うす男
塩味うす男
「今の衝撃は、だいたい三枚分だ。」
そう言うと、自分の制服のポケットを探る。
何も入っていない。
塩味うす男
塩味うす男
「……くっ。」
悔しそうに奥歯を噛む。
塩味うす男
塩味うす男
「今日は手持ちがない。君、運がいい。」
女の子は完全に固まっている。
うす男はゆっくりしゃがみ込み、彼女の落とした教科書を一冊持ち上げた。

表紙を見た瞬間、顔が引きつる。
塩味うす男
塩味うす男
「うわ……増えてる。」
(なまえ)
あなた
「え?」
塩味うす男
塩味うす男
「去年より明らかに分厚い。進化している。」
真剣な顔でうなずく。

そして教科書を彼女に差し出しながら、静かに言った。
塩味うす男
塩味うす男
「気をつけた方がいい。そいつらは隙を見て増殖する。」
女の子は恐る恐る受け取る。
(なまえ)
あなた
「……あ、ありがとう?」
うす男は立ち上がり、風に揺れる桜を見上げる。
塩味うす男
塩味うす男
「もし今日友達がいなかったら、君に薄皮を渡すつもりだったのだが」
唐突にそう告げる。
塩味うす男
塩味うす男
「でも今は在庫がない。仮契約だ。」
(なまえ)
あなた
「仮契約?」
塩味うす男
塩味うす男
「入学式後、状況次第で正式に押し付ける。」
真顔。

桜がひらりと彼の肩に落ちる。

彼はそれをつまみ、じっと見つめる。
塩味うす男
塩味うす男
「……これは食べられないな。」
ぽいっと空に投げる。

そして何事もなかったかのように歩き出しながら、ぼそり。
塩味うす男
塩味うす男
「名前、聞いてないな。まあいいか。薄皮係候補その一。」
女の子はその背中を見送りながら、ぽつり。
(なまえ)
あなた
「……変な人。」
うす男は聞こえていないふりをしつつ、ほんの少しだけ口角を上げた。

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