はるてぃー 視点
タッタッタッ…
俺は走って校庭まで行く。
"ボタン"と言えばだったら思い当たるものがある。
それは…
"青拓高校の人狼ゲーム"だ。
人狼ゲームのマップは俺らの通う青拓高校をモチーフに作られている。
だったら人狼ゲームのボタンの位置とリンクしているのでは…?
と、言う訳だ!!
普段なら蜘蛛の巣やら伝説の剣やらアイテムが出るけど…
まぁ流石に出ないよな
カチッと、ボタンを強く押し込む。
俺は校庭のコートのボタンを押し終え、記憶を頼りに足を運ぶ。
カチッ
近くにあったスポーツ部の部室付近にあったボタンも押す。
時間制限も無いなら全然余裕!!
確か次に近かったのは…住宅街側の柵のとこか?
俺は余裕からか、欠伸を洩らしながら住宅街側へ向かう。
『───ジ…ジジ…』
『アバたぁ か"
すキャンされマしタ』
半分スキップ状態でボタンへ向かう。
ボタンを押そうとする。
だが、押そうと伸ばした手がボタンに触れる前にドゴッっと鈍い音をたてて空中から横腹を蹴られる。
ガシャンッ
受け身を取れなかった体は柵に叩き付けられる。
急に空中から攻撃されたのかと思っていた…
だが俺が見上げると1つの影。
警戒は薄かったとはいえ気配を全く感じさせない相手…
そして今この学校にいるはずなのは…
ヒュッ…
目の先には剣。
俺は腹を抱え、蹲っている状態なので相手からは見下されるような状態。
月の逆光ではっきり見えないが、姿は 怪盗P のぺいんとさんだ。
ヒュンッ…
俺は間一髪で地面に転がる。
体制を持ち直し、構えを取る。
すると、剣を振った風圧で雑面が浮く。
だが、その時にあった目はいつもの檸檬じゃなくて澄んだような紅だった。
俺は体を引き、剣を取り出そうとする。
俺の剣は某猫型ロボットのポケットのように想像すると手に入る仕組みになっている。
だから家などに置いてきてもこちらに引き寄せる事ができるということ。
しかし、それは所有者が俺だった時の場合で…
他の人が使用している場合、所有者権限が移り変わる仕組みだから…
今ぺいんとさんが持ってる剣は…
そう呟いた瞬間、
シュンッ
影と音が上から降ってくる。
俺はそのまま地面を強く蹴り、バックする。
スカッ…
剣は宙を斬り、圧のある風を生み出す。
とにかく今はここから逃げないと…っ
俺はボタンを押していない事も忘れて走り出した。
後ろを振り向くが人影は見えない。
取り敢えず目指すのは職員室。
職員室は窓から入ることが出来るし、なおかつボタンもある。
窓を飛び越え、教室の中に入る。
壁に固定されているボタンを押す。
確か体育館には ぺいんとさん が押しに行ってたはずだから…
後は校舎の中だけ…のはず
2-Eと1-Aだから取り敢えず2階に行くか
そう思い、階段に向かうと…
ドカンッ…!!
恐る恐る後ろを振り返るとダイナマイトのような物を持った ぺいんとさん 。
俺に攻撃したところを考えると偽物だろう。
俺は急いで南校舎の階段を駆け上がる。
ドカンッ!!
そう叫びながら走るが、止まる様子はない。
ダッダッダッ…と、俺は階段を2段ずつ飛ばしながら登ってく。
走りながら扉の前のプレートを見る。
ガララッ!!
荒々しく扉を開け、ボタンを押す。
カチッ…
ドカンッ…!!
まずい…このまま戻ろうとしても相手と対面しちゃう…
…だったら!!
窓の縁に手を付いて自分の体を外に投げる。
ヒュッ…
スタッ…
確か北校舎には中庭から行けたはず…
俺は北校舎の階段へ走る。
そんなの無視して2階に行こうかとも思ったけど俺の性格を利用したトラップの可能性もあるよな…
そう思い中庭に戻ろうとすると…
ガッシャーンッ
窓の割れる音がして振り返る。
すると今度は拳銃を持った ぺいんとさん が…
急いで踵を返し、外に出たところで能力を使う。
ダンッ…!!
強く地面を蹴って宙に浮き上がる。
ガッシャーンッ!!
そのまま北校舎の最上階の窓を豪快に割り、校舎に入る。
割れたガラスの破片が頬や腕を掠って血が垂れる。
その途端、ドクンっと心臓の音が大きく聞こえた。
幸いにもA組のプレートは目の前にあり、扉を開ける。
ガラガラ…
カチッ…
どうしてだ…?
ぺいんとさん は1つも押してないってこと…?
いやでも…分かれたときは確かに体育館の中を探しに行ってた…
じゃあどれかがダミーとか…?
いや…でも他に心当たりがないから…
そうだ…俺、住宅街側のボタン押せてない…
だとしたら後1個…
いや、 ぺいんとさん が押せてないことを考えると最低でも後2個か、
何故か自然と笑みが溢れてしまう。
そういや、前もこんな感じで学校中走り回ったときあったな…
そうだ。学校で迷子になった時だ。
学校で迷子になって…方向音痴にも程があるって うた に叱られて…
その後1ヶ月くらい実況部でネタにされたんだよなぁ…w
そう呟いた途端、
ブォンッ…
…カタッ
そんな音がした。
振り返ると、1つの机の上に弓と矢があった。
それも見覚えのある
俺はその机に近付き、それを恐る恐る手に取る。
机の横に掛かっているサブバッグ。
それには見える限りにはノーパソらしき物が入っていて、バック自体にも見覚えがあった。
そうだ。
このバックもノーパソも、メンバーである ゆーま が使っていた物だ。
俺は空中にそう話す。
ゆーま の能力は人の心を読む。
じゃんけんでは絶対に勝てる能力だ。
だから多分、今も読まれたんだろうな
そう思いながら俺はもう一度、ボタンを押しに行く為に外に出た。
バァンッ…!!
幸いにも当たりはしてないが当たるのも時間の問題だ。
ボタンまでは一直線。
後ちょっと…!!
…カチッ
そう言ったとき。
バンッ!!
腕にピリピリととてつもない痛みが走る。
俺は銃弾の飛んできた方向に弓を引く。
ギギギギィ…
それらしい音は鳴るが、撃つとなったらまた話は違う。
銃弾を埋め込まれた腕ではさほど威力は無いだろう。
相手もこちらに拳銃を向け、ジリジリと近付く。
その時、
ガクンッ…
体が急に沈む。
そして急に光に包まれる。
まるで吸い込まれるように俺の視界はシャットダウンする。
パァ…ッ
視界が明るくなる。
そこはとある教室のようだった。
在り来りな教室で、窓の外からするに南校舎の教室。
そして花壇も見えたから1階だろう。
そう思っていると、
キュイーンっ
耳を劈くような音と共に目の前に "ぺいんとさん"が現れる。
仕様は違うようだが恐らく俺らのゲームのエンドポータルをイメージした物だろう。
そして状況は最悪。
室内となれば逃げ場がない。
またしてもジリジリと迫られる。
エンドポータルの影響で今、俺は地面に座り込んでいる状態だ。
だから行動範囲も狭い。
完全に詰んだな
そう思いつつも弓を引く手を強める。
今俺が撃っても室内なら当たるだろう。
でも相手の銃弾も確実に当たる。
そもそも、この ぺいんとさん は本当に偽物なのか?
七不思議の時のように乗っ取られているんじゃ…?
だとしたら、俺は弓を撃つことは出来ない。
カチッ…
そうしているうちに、俺の背中は壁とくっつく。
もう逃げ場は確実に無い。
そう言って弓を下げようとした瞬間。
『ジジジ…ジジッ』
ノイズ音が鳴り響く。
『 はるてぃーくん !!』
『撃って!!』
そんな悲鳴のような声が聞こえた。
この声は…
でも目の前にいる ぺいんとさん は口を動かしていなかった。
つまり他の所から本物の ぺいんとさん が…?
そう考えている間に、体はもう動いていて、
ピュンッと軽快な音と共に弓が放たれていた。
バンッ!!
ブシャッと、銃弾の当たった腕から血が吹き出す。
俺は腕を抑えながら矢の刺さった相手を嘲笑う。
だが表情は1つ変えずにスッと、灰のように消えていってしまった。
俺はそのまま壁にもたれ掛かる。
さっき声がしたから生きてはいるはずだけど…
すると、
タッタッタッ
と、廊下から足音が聞こえた。
俺は急いで廊下に出ると、何やら小箱を抱えた ぺいんとさん がこちらに走ってきていた。
とか言ってるけどめっちゃ痛い。
凄く痛い。
そういえば壁とぶつかったとき何か押したような…
ぺいんとさん の顔には色々と切り傷や、ぶつけたような跡があった。
ドンッと、持っていた小箱を目の前に置く。
…ガシャンッ
ぺいんとさん がレバーを引くと、強い光と浮遊感に襲われる。
そんな中、俺は意識を手放した。
名前の呼び方からして、 しにがみさん は全員に全ての事を話したんだろう。
そんな言い合いをしていると、
周りを見渡すと、もう美術館の来る前の街に戻っていて、
きゅー が走ってくる方向にはPKST団の人達が何やら話していた。
そんないつもとあまり変わらない会話をしていると、
そう言って帰った夜道はどことなく不気味な雰囲気を感じた。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。