第2話

フェチズム 🐺🐥
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2025/08/16 10:01 更新

 学パロ(大学生)

 目線交代します

 僕の恋人は、僕の匂いを嗅ぐのが好きだ。つまり性癖とでも言うべきか。嗜虐趣味じゃない分だけマシかなとは思うようにはしてるけど、彼のストレスがあまり酷い時だと大学だろうがスーパーの中だろうが所構わず吸ってくる。なんとかならないですか、と何回か愚痴ってはみたけれど、治そうにも治す術が無いものだから、ほとほと困っていた。
 何が困るかというと、例えば汗をかいてる時。べとついて気持ち悪いから、さっさとシャワーで流してしまいたい時に限って、「ちょっと待て」と制止をかけてくるのが非常に困る。しかも、あの人は僕の羞恥心は丸っと無視。更には同棲を始めた頃からもっと酷くなった。
ドフン
ドフン
あっ…おかえりギョンミナ

 玄関まで飛んできたヒョンが、キラキラと期待に満ちた目で僕を見てくる。いつもこの調子だ。
ギョンミン
ギョンミン
ただいま
ドフン
ドフン
お疲れ様。なんだかしっとりしてるね。汗かいたの?
ギョンミン
ギョンミン
ははは…それなりに

 今日は昨日より3℃も気温が高く、襟の形が気に入って買った黒いワイシャツを着ていったせいもあり、かなり暑かった。まったく、このヒョンは変なとこで目敏い。
 ルーティンであるキスをさっさと済ませようとしたところ、いきなりガバッと抱き寄せられた。
ギョンミン
ギョンミン
ゔっ

 ぎゅうぎゅうと押し潰す勢いだった。ただでさえ暑かったのに、余計に暑くなっちゃうじゃないか。そもそもこの人、まったりと授業の課題をしていたのに、僕が帰ってくるなり汗の確認をするなんてどうかしてる。
ドフン
ドフン
(吸ぅーーーーーーーー)
ギョンミン
ギョンミン
ヒョン、ねぇっ…力強いな💢

 胸元に顔を埋められ、今日もまた思いっ切り吸われる。それはもう犬の如く、見事な鼻呼吸だ。押し返そうとすると、更に抱き締める腕に力が込められる。
ギョンミン
ギョンミン
離してください。僕お風呂に入るんです
ドフン
ドフン
もう?

 残念そうに問いかけて来た。その隙にヒョンの拘束から抜け出す。
ギョンミン
ギョンミン
ええ。今日は結構動きましたから

 短く答えてから、自室へ着替えを取りに行く為に身を翻す。
ドフン
ドフン
あ…待って待って

 すぐに腕を捕まえられた。今度は軽々と抱き上げられ、ヒョンが課題をするのに使っていたテーブルの上に乗っけられた。僕が抵抗する前に、ワイシャツのボタンを2つほど外されてしまった。
ギョンミン
ギョンミン
あぁ、もう…
ドフン
ドフン
すぐ終わるから

 更にもう2つのボタンを外され、僕の胸元が曝け出された。恥ずかしがる暇もなく、ヒョンの鼻を押し付けられた。ふすふすと鼻息が当たる。
 僕のにおいを嗅ぐヒョンの勢いが、どんどん余裕を失っていく。軽く身を捩っただけで、物凄い力で腕を押さえ込まれた。
ギョンミン
ギョンミン
っ…くすぐったいですよ

 ちょっとした反抗心で文句を言ってみると、かぷりと優しく噛まれた。そして柔らかいヒョンの唇が僕の肌の上を這う。浮き出た汗をちゅるりと舐め取られ、またにおいを嗅がれる。僕が何回呼びかけても返事もせず、ただひたすら僕で楽しんでいた。
 為すすべも無くされるがままになりながら、ヒョンに話しかけてみる。
ギョンミン
ギョンミン
ヒョン、いつ終わりますかね
ドフン
ドフン
………………
ギョンミン
ギョンミン
本当にお風呂入りたいんですけど
ドフン
ドフン
…あとちょっとだから
ギョンミン
ギョンミン
そういえばヒョン、僕達まだキスしてませんでしたね
ドフン
ドフン
!!!

 突然ガバッと顔を上げた。その顔はショックを受けたように目が見開かれている。僕の汗に気を取られてキスし忘れた事を忘れていたみたいだ。
ギョンミン
ギョンミン
キスしますか?
ドフン
ドフン
………ギョンミナ吸いが終わったらする
ギョンミン
ギョンミン
今離してくれれば、ヒョンの気の済むまで沢山してあげます
ドフン
ドフン
………………………
ギョンミン
ギョンミン
するなら今ですよ、ヒョン

 ドフニヒョンは数秒間考えたあと、僕の唇にかぶりついた。ちゅっ、ちゅっ、と何度も吸い付かれる。少し興奮した様子のヒョンの頭を撫でてあげると、ますます勢いよくキスされた。あごを掴まれて固定されながら、どちらのか分からない唾液で濡れた唇を擦れ合わせる。ぬるぬるとした感触に、こちらまで変な気分になってきた。
ギョンミン
ギョンミン
ん…ふっ…んうっ?

 ドフニヒョンの手が僕のシャツの上を這っている。それは残りのボタンを全て外そうとしてる動きだった。
ギョンミン
ギョンミン
?!…ひょんっ、んんっ//

 慌ててヒョンの手を捕まえたけど、キスのせいで力の入らない腕ではどうにも出来なかった。開けて丸出しになった僕の両肩をすりすりと撫でる動きが、どんどん妖しくなっていく。
 ヒョンの舌が僕の口の中に入って来る。びっくりして逃げようとした僕の舌を絡め取られ、そのままじゅっと音を立てて吸われた。思わず体が大げさに跳ねる。
ギョンミン
ギョンミン
んあっ?!// 

 ちゅ、と水音を残してヒョンの唇が離れた。

 腕の中のギョンミナが、ビクリと大きく震えた。ここまで深いキスに慣れてないせいだと思う。
 俺のされるがままになってる様子があまりに可愛いくて、意地悪しすぎたかもしれない。ちょっと残念に思いながら、渋々ギョンミナから唇を離す。
 抱き寄せていたギョンミナの体をまじまじと見つめると、可哀想なことに、きめ細やかな柔らかい肌の所々が汗の塩分にやられて赤くなってしまっていた。黒いシャツから白くて細い肩が剥き出しになって、ほのかに薄桃色に色づいているのでさえしっかり見えてしまう。無意識にするりと優しく撫でる。
 ふとギョンミナの顔を見ようとしたら、恥ずかしそうに俯いていた。目線を合わせてくれないギョンミナのほっぺを挟んで顔を上げさせると、まだキスを続けるのかと身構えたのか、少し涙目になった。
ドフン
ドフン
あぁギョンミナ、こんなに震えて…怖かったの?ごめんね
ギョンミン
ギョンミン
っ〜…お風呂入るって言ったのに…
ドフン
ドフン
ごめんごめん。そんな怖い顔しないでよ

 実際はただ可愛いだけなのだが。
 泣きかけのギョンミナを宥めようとして、形の良い鼻先に軽くキスをした。ムッとした顔のまま俺の拘束から逃れ、床に足を下ろす。
 たぶんこの様子では、本当に風呂に直行するだろう。
ドフン
ドフン
あとでお風呂上がりの匂い嗅ぎたいな
ギョンミン
ギョンミン
キモいですヒョン!

 顔を真っ赤にして拒否された。
ドフン
ドフン
ん〜だめか…

 少し残念に思いながら、何の気なくその場に棒立ちになる。
 しばらくすると、トタトタと可愛らしい足音と共にギョンミナがリビングに戻ってきた。両手に着替え一式持ってるので、そのまま風呂場に行けば良いのに。
 ぱっとギョンミナと目が合うと、ギョンミナの足が止まった。どうしたんだろう?
ドフン
ドフン
?…忘れ物?

 自分の着替えを抱き締めながら、ギョンミナがおずおずと口を開いた。 
ギョンミン
ギョンミン
…一緒に入っても良いですよ
ドフン
ドフン
入るッ!!!
ギョンミン
ギョンミン
うるさいですっ

 ギョンミナは身を翻して、リビングから出て行った。俺も慌ててその後を追う。
ドフン
ドフン
ね、ねぇ、あのさ…舐めても良い?
ギョンミン
ギョンミン
キモい!

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