婚姻済みフンジェランズ
スケベ注意
俺は数カ月ぶりのヒートに苦しめられていた。数時間前に抑制剤は飲んだ。しかし抑制剤も万能ではなく、この様に全く効かない時がある。その時は自身の番に慰めてもらう他、身体の疼きを抑える方法は無い。
恋人には先程連絡したばかり。用件を伝えれば焦ったように「今すぐ帰る」と言っていたが、なかなか帰って来ない。
その寂しさから、気が付けば俺は「巣作り」をしていた。近くにあった恋人の下着を手に取り、思いっ切り匂いを嗅ぐ。
顔に押し付けたまま、パンツに手を突っ込む。後ろの穴はすでにぐしょぐしょで、あとはもう番のものが入れば完璧な状態だった。そこに指を入れ、めちゃくちゃに掻き混ぜる。
何度も何度もイったというのに、体の熱は一向に収まる気配がない。
愛しい人の香りが染み付いた部屋の、脱ぎっぱなしのパジャマが放り投げられたベッドで、今にも消え入りそうな程にか細い声が漏れる。手の中にはあの人のパーカーに下着にバックパックに、彼の匂いのついた物ならなんでも。この熱い日にタートルネックのセーターなんかを着てるのも、そのせいだった。
恋人特有の気配が体中を包み込む。これが好きだ。こんなふうに、抑制剤を飲んでもなかなか効かないヒートの最中には、これが良く効く。
でもまだ足りない。匂いだけでは満足出来ない。
俺の恋人はどこ?
堪えきれずに涙が溢れ出す。俺が寂しい時は直ぐに駆け付けると約束したくせに、来てくれないじゃないか。ズズ、と鼻をすする。不規則になってきた呼吸と、どんどん熱くなる体を落ち着かせるため、腕の中に抱き込んだパーカーに顔を埋める。足を擦り合わせるだけで、下半身から愛蜜で濡れるのが分かってしまう。本当ならここにジフナのを挿れさせるのに。何やってるんだジフナは。
ぼやける意識の中で、ドタドタと大きな足音が聞こえる。
暗かった部屋に光が差し込む。やっと帰って来た。我慢していた涙が、今度こそ堪えきれずに溢れ出した。震える腕を、たった今帰ってきたばかりのジフナに向かって伸ばす。
早くこっちに来て、ジフナで俺をいっぱいにして。
ジフナに触れて欲しくて身を乗り出したら、ベッドから落ちそうになり、ぐらりとした浮遊感が体を襲った。
ジフナの焦った声。ガッシリと強く抱き締められる感覚。心地良い拘束感に、頭がふわふわしてくる。それと同時に、俺の鼻腔が良い匂で満たされた。柑橘系の果物のように甘酸っぱくて、爽やかで、朝日を目一杯浴びた布団よりも優しくて温かい。そこに混じったジフナの汗の匂いが、更に愛おしさを感じさせる。俺の為に急いで来てくれたんだ。嬉しい。
喜びのまま、ずっと握りしめていたジフナのパーカーごと、ジフナに抱き着いた。
ジフナは落ちそうだった俺を抱きかかえたまま、寝室の床に崩れ落ちた。優しいジフナのことだから、「自分が早く帰って来れなかったせいで」とか考えてるんだろうな。
心配そうなジフナに手を伸ばし、ほっぺを何度か撫でた。
へら、と自分の顔が情けなく緩んだのが分かった。安堵から悪態をつくジフナが可愛くて、それでいて最高に格好良くて、もう我慢出来なくなってしまった。
一番濃い匂いのする首筋にすりすりと鼻先を擦り付け、小さく歯を立てた。肌の表面にじんわり浮き出た汗を、丁寧に舐め取る。エサを一週間禁じられた後の犬のようにジフナに貪りつく。ずっと求めていた香りに包まれ、寂しさが消え失せて、みるみる内に心が穏やかになっていった。
するすると優しく頭を撫でられた。思わずほうっと息を吐きながら、ジフナの首筋から唇を離す。
ちゅ、と小さな水音が響いた。
遅くなる思考回路。体中がとろとろとした心地良さで満たされる。
ジフナの腕の中から、うっとりと見上げた。いつもニコニコと上機嫌に笑ってるジフナが、今は苦しそうな、困ったような笑みを浮かべている。珍しい表情だ。
俺を怖がらせないように笑ってはいるけど、いつもの優しい目はじわりと劣情を孕んでいる。無理矢理組み敷くのを我慢してる代わりに、俺を抱き締める腕の力が強くなっているのがわかった。
アルファなんだからオメガの俺なんか好き勝手しちゃえば良いのに、敢えてそうしない。そんな様子を見てると、つい被虐心と加虐心の両方がきゅんっと疼いてしまう。
わざと誘惑するようにジフナの唇に吸い付いた。柔らかな下唇に歯を立ててむぐむぐと食み、そのままおしゃぶりの様に弄んだ。微かに肩を震わせて唇を離そうとするのを、頭を両手で抱えることでしっかりと防ぐ。癖のある髪を梳かすように撫でると、ジフナが甘い吐息を漏らした。
一頻り満足して、ゆっくりと離れる。一際大きなリップ音が鳴った。そのまま甘えていたくてジフナの肩に頭を預けると、俺のおでこに小さなキスが降りた。
不意にジフナが俺を抱きかかえたまま立ち上がり、ベッドの上に降ろされた。俺が「巣」を作っていたベッドだ。当然、ジフナの私物が沢山置いてある。
いきなり番の匂いの染み付いた物たちの中に押し倒され、危うく幸せで意識を失うところだった。慌てて上半身を起こすが、今度はジフナがキスをしてきた事でまたもや気絶しそうな羽目に陥っていた。
背中をガッシリとした腕で支えられ、ぎゅうと強く抱き締められながら、何度も何度もキスをされる。耳に残るような水音が何度も響く。どちらの唾液か分からないくらいに濡れた唇同士が離れると、俺は腰が砕けてベッドに倒れ込んでしまった。
ジフナは俺を仰向けにさせると、足の間に入り込んで覆いかぶさってきた。完全に逃げられない状態のまま、あの熱くて甘い目でじっと見つめられる。
一際大きく体が跳ねた。出すつもりの無かった嬌声が勝手に口から出てくる。眼の前が白ずんでいく気がした。
掠れた声が笑いを含みながら問いかけてきた。それだけでまたイっちゃいそうになってしまう。蕩けた表情のまま、きょとんとジフナを見上げると、一瞬だけ堪えるように眉を顰めたのが見えた。
ジフナは体を離して、俺の下半身からズボンも下着も脱がされる。さっきから愛蜜の溢れる蜜壺も、すっかり固くなった性器も丸出しになる。そこに顔を寄せられると、ジフナに抑えつけられた腰が跳ねた。亀頭にキスをされたかと思ったら、次の瞬間にはすでに口淫されていた。
口を抑えていても、どうしても声が漏れてしまう。せめてもの思いでぎゅっと目を瞑って快感に耐えた。さっきイったにも関わらず、射精感はまたすぐに襲ってきた。
強く吸われると、呆気なく果ててしまった。飛びそうになる意識を保とうとして、肩で大きく息をする。
恍惚とした笑顔のジフナが思いっ切り顔を近付けながらそう言った。その間にもゴツゴツとした手が射精したばかりの俺の性器を擦り上げている。もう萎えたはずなのに、ヒート真っ最中の俺の身体は簡単に反応してしまう。とても気持ちいいけど、今欲しい刺激はそれじゃない。
力の入らない手でジフナの手を退かし、目の前でうつ伏せになって腰を上げてみせた。少し動くだけでグチュリといやらしい音がなり、愛液が溢れ出した。ジフナの雄を受け入れる為の蜜。手を伸ばして生温かい体液を掬い取り、ジフナによく見えるように穴に擦り付ける。
後ろからベルトを緩める音が聞こえた。それと同時に、後ろから抑えつけられる。勝手に着ていたジフナのタートルネックセーターの襟をずり下げられ、噛み跡の残る項を曝け出された。
今日はチョーカーは着けてない。早くジフナに項を噛んでもらうことしか考えていなかったから。
その瞬間、項に鋭い痛みが走った。
ジフナの犬歯が食い込む感覚と、ぷつりと皮膚が破れる感覚。目の前でパチパチと火花が飛び散る。じわりと体中に甘い熱と痺れが広がった。腰の奥がどんどん濡れていく。
そのまま伸し掛かられ、ジフナのもので秘口を貫かれた。アルファ特有の、番を孕ませる為の大きくて立派な男性器。ジフナから何度も抱かれてる俺の身体は、すんなりと受け入れた。
腰を掴まれ、何度も最奥を突かれる。頭がおかしくなる程の快感を強制的に与えられ、俺の口からは甲高い喘ぎ声が発せられる。なんとか自分で口を塞ごうとしたら、その手を取られてベッドに押し付けられた。
こんな獣のようなエッチは、ジフナと番になってから初めてのヒート以来だった。普段優しくしてくれるジフナにめちゃくちゃにされてると思うと、とてつもなく興奮した。離してと言っても離してくれない、止まってと言っても止まってくれない。こんなふうに乱暴なジフナを見ると、俺の腹の奥は益々熱くなる。
ジフナは俺のお腹の中に沢山出した。夜通し犯されて、終わったのは朝日が昇るギリギリ前。薄いと言われた俺のお腹は膨れて、足腰も立たなくなっていた。
ルンルンな様子で部屋から出ていった。
全く…「僕がパパ?」なんて白々しい。完璧に子供産ませる気だったくせに。














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!