第3話

第壱話 鎮魂
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2020/07/19 04:03 更新
新門紅丸
俺が呼んだらすぐに来い
_珠華日下部@ジュカクサカベ_(通常)
珠華日下部ジュカクサカベ(通常)
……御意
紅丸は、周りの若い衆達とともに纏を持つ。
_珠華日下部@ジュカクサカベ_(通常)
珠華日下部ジュカクサカベ(通常)
……まるでお祭りですね
新門紅丸
珠華!!
その時、紅丸が珠華の名を叫んだ。

名を呼ばれた珠華は、地面を蹴って飛び上がった。

その瞬間、辺り一面に彼岸花が咲き誇り、時が止まった。

その間に、珠華は紅丸の傍へ向かう。
_珠華日下部@ジュカクサカベ_(通常)
珠華日下部ジュカクサカベ(通常)
お呼びですか
_珠華日下部@ジュカクサカベ_(通常)
珠華日下部ジュカクサカベ(通常)
新門大隊長
そして、紅丸に近づいた瞬間に、時の流れを元に戻した。
新門紅丸
!?
先程までいなかったはずの珠華が目の前にいたため、紅丸は目を丸くする。
そんな紅丸を気にする事もなく、珠華は目の前の“焔ビト”を見据える。
_珠華日下部@ジュカクサカベ_(通常)
珠華日下部ジュカクサカベ(通常)
……あなたの魂が、無事に彼岸へ行きますように
そう言って、珠華は再び、あの不可思議な空間を生み出した。
そして、“焔ビト”にゆっくりと歩み寄り、“焔ビト”の胸元にそっと手を添える。
すると、炎が彼岸花の形になり始めた――正しくは、珠華が炎を生成し、更に炎を彼岸花の形に変えた。
_珠華日下部@ジュカクサカベ_(通常)
珠華日下部ジュカクサカベ(通常)
……おやすみなさい
そう呟くとともに、時が動き出し、珠華が手を添えている“焔ビト”の胸元に、炎でできた彼岸花が咲いた。
その彼岸花はすうっと“焔ビト”に溶け込み、次の瞬間、“焔ビト”は地面に倒れ、灰になり始めていた。
新門紅丸
……
あまりに一瞬の出来事で、紅丸は声を出す事もできなかった。
_珠華日下部@ジュカクサカベ_(通常)
珠華日下部ジュカクサカベ(通常)
……終わりました。新門大隊長
珠華は紅丸の方を向いて、感情を感じさせない平坦な声で告げた。
新門紅丸
お前は……
何者なんだ。そう言おうとした紅丸だったが、すぐに口を噤んだ。
_珠華日下部@ジュカクサカベ_(通常)
珠華日下部ジュカクサカベ(通常)
……此岸は、この方の魂のお見送りを
_珠華日下部@ジュカクサカベ_(通常)
珠華日下部ジュカクサカベ(通常)
彼岸は、閻魔様の元へ案内をなさい
珠華がそう言うと、どこからともなく彼岸と此岸が現れた。
彼岸
彼岸
わかった
此岸
此岸
行ってきます
そして、二人はそう言って、また消え去った。
紅丸はそのやり取りを見て、本能的に感じたのだ。
この三人は、完全な人間ではないと。少なくとも、あの双子が人ではないのは明らかだった。
_珠華日下部@ジュカクサカベ_(通常)
珠華日下部ジュカクサカベ(通常)
……新門大隊長は、人ならざるものが嫌いですか?
珠華は、口元を苦しそうに歪ませた。
新門紅丸
……俺は
_珠華日下部@ジュカクサカベ_(通常)
珠華日下部ジュカクサカベ(通常)
……愚問でしたね
_珠華日下部@ジュカクサカベ_(通常)
珠華日下部ジュカクサカベ(通常)
化け物を好きな人なんて、この世にいるはずがありません
忘れてください、と、珠華は歩き去ってしまった。
新門紅丸
化け物って、なんなんだよ……
その場に取り残された紅丸はふと、“焔ビト”の灰があった場所に目をやった。
そこには、一輪の真っ赤な彼岸花が落ちていた。
新門紅丸
これは……
なぜかその彼岸花から目が離せなくなった紅丸は、それをそっと手に取った。
珠華の記憶の声
嫌……嫌……!!お母さん!!シンラ!!ショウ!!
その時、まだ幼い珠華の声が、紅丸の脳裏に響いた。
新門紅丸
ッ……!?
新門紅丸
(なんだ……今のは……!?)
紅丸がそう思って手元を見ると、確かに握っていたはずの彼岸花が、なくなっていた。
新門紅丸
アイツは……
彼岸
彼岸
新門大隊長は知らなくていい
此岸
此岸
おひいさまは、人に介入されるのを嫌ってるから
紅丸の背後に、彼岸と此岸が現れた。
彼岸
彼岸
珍しいね、此岸
彼岸
彼岸
おひいさまは、彼岸花を拾うのを忘れたみたいだよ
此岸
此岸
そうだね、彼岸
此岸
此岸
おひいさま、どうしたのかな
瓜二つの二人はそう言って、紅丸を見つめる。
新門紅丸
お前ら、どこから……
彼岸
彼岸
冥府から帰ってきたんだよ
彼岸
彼岸
僕は閻魔様の所に、あの人の魂を案内してきたんだよ
此岸
此岸
うん
此岸
此岸
僕は、彼岸があの人の魂を送り届けるのを待ってたんだ
二人は、手を重ね合わせて言った。
彼岸
彼岸
僕達は、彼岸と此岸の管理をしている、冥府の案内人
此岸
此岸
そして、おひいさまの『守リ人』
新門紅丸
は……?
紅丸は、二人をじっと見つめた。
彼岸
彼岸
おひいさまは特別
彼岸
彼岸
他の人とは違う
此岸
此岸
だから、自分で自分を嫌ってる
彼岸
彼岸
新門大隊長は、おひいさまが嫌い?
此岸
此岸
気持ち悪いと思う?
新門紅丸
……わからねェよ、そんな事
紅丸は、頭を抱えてそう言った。
彼岸
彼岸
……そっか
此岸
此岸
嫌いには、ならないであげてね
彼岸/此岸
おひいさまの居場所は、もう、ここしか残っていないから
二人が声を揃えて言った。
そんな二人を、紅丸は見つめた。
そしてその背後に、九つの狐の尾が見えた気がした――。

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