第16話

•*¨*•.¸¸
111
2025/01/26 11:59 更新
平重衡
行くよ。ついてきて
あなた
…はい
…やはり、あまり口は挟まないでおこうか













あからさまに不機嫌そうな重衡さんのあとを着いていく。
…知ってる。ここで喋ったら五月蝿いって思われる。
歩きながら私はこの屋敷の地形を見える限り頭に入れる。
しばらく歩いていると、重衡さんは一つの扉の前で足を止めた。
平重衡
ここが君の部屋
平重衡
用事があったら女中に言いつけて。朝餉と夕餉は部屋に運ぶように言っておく。
平重衡
御所の中のどこをほっつき歩いても構わないけど、面倒だけは起こさないでよ。迷惑だから
あなた
…お心に。
重衡さんにとって、私はなんでもない。
武士でもない。
今日知り合ったばかりの普通の女。
そして主がもう居るからと頼朝さんに条件を付けた。
…信用なんて、微塵もないだろう。
…そちらの方が、生活面は都合がいいが、正直、剣…じゃない、刀の実力は見ておきたい。
…あばよくば、扱ってみたい。
新しい武器の使い方や弱点を押えておくに越したことはないし、使いやすいなら帰っても作って普及出来るようにしたらいい。
それに…幕府に身を置く以上、認めてもらう方が動きやすい。
情報を集めて、帰る方法を探さなきゃなんだから。

そんなことを考えながら重衡さんに頭を下げる
あなた
ご迷惑をおかけしないよう、尽力致します。
あなた
これから、努力を重ねていきますので、改めて、よろしくお願いします。
平重衡
……


平重衡
努力って、なにを
あなた
…雑用でも、なんでも。戦が起こるまで私だけぼんやりと待っている訳にもいきませんので、私に出来ることなら
平重衡
はぁ……。あなたの偽名さんって、しっかりしてそうな言動と行動するけど、意外と脳天気な人だね。
あなた
…前向きに考えたいだけで御座います。駄目でしょうか
平重衡
だめ
…来る。
分かっていても抵抗はせず、手を掴まれて引き寄せられる
平重衡
分からないなら教えてあげるよ
長い睫毛に縁取られたら瞳が、真冬の星のように冷たくきらめいて、私に迫る
…ここで抵抗してもいいけど、怪しまれちゃうかな?
あなた
平重衡
抵抗してみれば
平重衡
俺の手を振り解いて、突き飛ばせばいい
…女性の力では、鍛えても、相手が鍛えた男性なら敵うはずも無い。
女性の強みの体の柔らかさだって、正直な力の前では意味もない。
この人は分かって言っている。…私だって、ぶるーく様たちの前で、痛いほど思い知った。
だから、私は。疑われるリスクなんて、侵さない。
平重衡
……抵抗すらしないの?…何、その目。する気もないって?
平重衡
話にならないね
月の光にしなやかな髪がさらりと揺れ落ちた。
作り物のような顔が、吐息の触れそうな距離まで__
平重衡
君は弱い。…いや、抵抗しようともしないなんて。弱い、どころの話じゃないんだけど





プリ小説オーディオドラマ