第120話

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2024/03/21 12:00 更新
店長
そうそう、あなたちゃん
あなた
はい?
店長
この店が今度10周年を迎えるんだけどさ、常連さん達と内々でささやかなパーティーをしようと思って
あなた
パーティー!いいですねそれ!
店長
でしょー?そしたらその日は出勤にしてもらっても大丈夫かな?
あなた
もちろんです!
店長
ありがとう。常連さんもあなたちゃんがいないと寂しがるから良かったよ〜
店長
じゃあ買い出し行ってくるからお店よろしくね!
あなた
はーい、行ってらっしゃい!


パタン、と裏口のドアが閉められて

私は一人お店に立った


この時間帯は基本的に

ほとんどお客さんは来ない





窓ガラスから差し込む

春の暖かい陽気が

たまらずあくびを誘う…



あなた
ふぁぁ……眠…
ジン
ジン
ヤー…あなた、暇そうだな?
あなた
っふぇ?!ジン!な、んで…
ジン
ジン
あくびしてて気付かなかったんだろㅋㅋ
ジン
ジン
ところで、店長さんいる?



突然目の前に現れたジンが

何故か店長さんを訪ねて来た

あなた
今買い出し行ってるけど…なんで?
ジン
ジン
そっか…じゃあこれ渡しておいてくれる?


手渡されたのは、一枚の……封筒


何だろう

手紙、ではないか…
あなた
うん、分かった…これ何?
ジン
ジン
あーそれ…注文書!うちの会社で今度ケータリングお願いしようと思ってね
ジン
ジン
機密事項書いてあるからあなたも中見ないようにな?
あなた
わぁ、ケータリング!
店長さん張り切るだろうな〜!
ジン
ジン
じゃ、俺仕事あるから行くわ
あなた
あ、もう行くんだね?
ジン
ジン
ヤーごめんな!本当はコーヒーくらい飲んで行きたいんだけど…
あなた
ううん、忙しいもんね
分かってるよ
あなた
今度はコーヒー飲みに来てね!
ジン
ジン
もちろん!じゃあな〜




そう言ってジンが去った後も

お客さんは一人も来る事はなく


しばらくして買い出しから戻って来た店長さんに

先程の封筒を渡した






あなた
すごいですね!
ケータリングの注文なんて!
店長
え、ケータリング…?
あなた
あ、聞いてなかったですか?
その注文書らしいですよ!
店長
……あ、あぁ!
そうだったソレソレ!
店長
パーティーの事で頭いっぱいで忘れていたよㅎ
 


店長さんの様子に

少しだけ、ん?と違和感を感じたけど


まぁ…きっと気のせいかな、なんて












・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







帰ってくるとユンギの姿は見当たらなかった





靴もあったし

リビングのソファに上着がかかってたから

多分、帰って来てはいるみたいだけど…



おそらくこういう時は、大抵作業室にいる


最近はこんな日が多い

 





私は基本的に自分からその部屋には

足を踏み入れないようにしているが



同じ家に居ても会えない時間が長くて

あまりのもどかしさに

何度もその扉をノックしたくなった













そして今日も


夜遅くになってから

やっと作業室から出て来たユンギは

疲れ果てて倒れ込むように

私のいるベッドに勢いよく沈んだ






あなた
っユンギ、大丈夫?!
ユンギ
ユンギ
ん、…ごめん起こした
あなた
最近すごい詰め込んでない?心配だよ…
ユンギ
ユンギ
頼まれてるものが多くてな
でも…大丈夫


大丈夫、なんて

嘘だよ…





私は布団をかけ直して

ベッドの中でそっとユンギを抱き締めた


ユンギ
ユンギ
あぁ…あなた…


いつもより弱々しく抱き返してくれたユンギが

私の名前を呼ぶ


あなた
ん?なぁに


ユンギ
ユンギ
好きだよ…
あなた
…っ//


それだけ言って瞼を下ろしたユンギは

やがてすぐに規則正しい寝息を立て始めた




あなた
私も大好きだよ…ユンギ



せめてこのベッドの中にいる時だけでも

仕事のことを忘れてゆっくり眠れますように





そう祈りながら

愛しい人の大きな手を握って


私も再び眠りについた







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