パタン、と裏口のドアが閉められて
私は一人お店に立った
この時間帯は基本的に
ほとんどお客さんは来ない
窓ガラスから差し込む
春の暖かい陽気が
たまらずあくびを誘う…
突然目の前に現れたジンが
何故か店長さんを訪ねて来た
手渡されたのは、一枚の……封筒
何だろう
手紙、ではないか…
そう言ってジンが去った後も
お客さんは一人も来る事はなく
しばらくして買い出しから戻って来た店長さんに
先程の封筒を渡した
店長さんの様子に
少しだけ、ん?と違和感を感じたけど
まぁ…きっと気のせいかな、なんて
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
帰ってくるとユンギの姿は見当たらなかった
靴もあったし
リビングのソファに上着がかかってたから
多分、帰って来てはいるみたいだけど…
おそらくこういう時は、大抵作業室にいる
最近はこんな日が多い
私は基本的に自分からその部屋には
足を踏み入れないようにしているが
同じ家に居ても会えない時間が長くて
あまりのもどかしさに
何度もその扉をノックしたくなった
そして今日も
夜遅くになってから
やっと作業室から出て来たユンギは
疲れ果てて倒れ込むように
私のいるベッドに勢いよく沈んだ
大丈夫、なんて
嘘だよ…
私は布団をかけ直して
ベッドの中でそっとユンギを抱き締めた
いつもより弱々しく抱き返してくれたユンギが
私の名前を呼ぶ
それだけ言って瞼を下ろしたユンギは
やがてすぐに規則正しい寝息を立て始めた
せめてこのベッドの中にいる時だけでも
仕事のことを忘れてゆっくり眠れますように
そう祈りながら
愛しい人の大きな手を握って
私も再び眠りについた














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!