第3話

episode 3
188
2018/05/02 12:40
「どうしようどうしよう有紗!」
わたしは学校に着くさま、有紗という親友とやらを探して声をかけた。
昨日は全然眠れない…と思っていたらあっさり眠れて、ぱっちり元気な状態で朝を迎えた。
わたしはまだ胸の高鳴りが抑えきれない。
「どうした麻白。騒がしいなあ。」
宮日 有紗(みやび ありさ)はわたしの親友。
めちゃクールで、よく「うざい」とか言う。
でもそれが有紗なりの愛情表現だということを忘れないようにしているつもり。
「あの、単刀直入にいうと後野にコクられた。」
わたしが照れながらそう言うと、
「は?夢でも見たんじゃない。」
と有紗が鼻で笑った。ふんって感じで。
……うざ。
まあそれはいいとして、
「やっぱ外見で選んだのかな。中身で選んでほしいのに。」
「いや自分可愛いこと前提かよ。」
正論のツッコミを入れられた。
まぁわたし自身可愛いけれどそれを言ったらまた怒られそうだしやめておこう。
「なんて返事したらいいんだろ…」
あたしはうつむきながら爪をいじった。
思い出すだけで顔が赤くなりそう。
「てゆか、麻白って後野のこと好きなの?」
「あ、え、あ、うん。言ってなかったっけ」
「聞いてねーよ、もっと早く言えよ。」
ごめんごめんと、わたしは言った。
有紗は「じゃあおっけーしたら」と全く役に立たない返事をした。
「でも、緊張するし。」
「LINEで言えばいーじゃん」
「絶対いや!LINEでコクるなんて小心者のすること!」
「なら後野も小心者だね」
「っ!好きな人だからいいのー!」
「じゃああんたもそーじゃない」
ハッとした。たしかに…
なら____勇気。出せるかな…
「わたし直接言う」
「だと思った」
有紗は微笑んだ。
やっぱりやっぱりわたし、有紗が好きだ!
「ありさすき〜」
「麻白きもいって」
わたしが抱きつくと、ちょうど予鈴がなった。
ラッキーとばかりに有紗が逃げる。
クラスが違うから、有紗ってばずるい。
「あーもーまたねー」
「二度と来んな!」
わたし、いつの間にかかまちょになりそう…
有紗のおかげで、少しだけ勇気がでたかも知んない。
ありがとう。
あ、ございます。も付けておこう。

その数秒後、先生に「天羽、早く席につけ」と言われた。
後野がいるのに!!サイテー!!

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