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第1話

第壱話 願いが叶うと言う樹木
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2024/03/31 07:40
ここは、私立東地区中等・高等学校

この学校では七不思議や怪談、噂話がとても人気であり、学校では日々絶え間なくそんな話がされているようだ。

そして、その七不思議や怪談などを検証しようとする輩が居るのはまた然り__________

如月零
如月零
『うっし………みんなー!今日は一つ目の七不思議、流星群の樹木の検証だ!』
彼はそう言った。

彼の名前は如月零、中学2年生・B組である。

この学校では色んな異能力者がおり、彼も例外ではない。

彼の能力はまだ誰一人として明かされていないが

きっとその能力はいつかどこかで"開花"するであろう
紅井瞬
紅井瞬
『へいへいへい、にしてもお前はやっぱり

好きだよなぁ、七不思議。』
また誰がそう言う

彼の名前は紅井瞬、中学二年生・C組である

彼は少し周りとは異なる種族、異族と呼ばれるものであり

彼はその異族の一種、捕食種である

彼自体は自分が捕食種であることが嫌で隠しているのだが

彼ともう一人の人にはこのことを公開しているようだ。
白﨑風斗
白﨑風斗
『まったく…こういうのは嫌いなんだけどね…

零とお前が言うならついていくしか無いだろう…』
紅井瞬
紅井瞬
『いやいや、俺は言ってねぇよ?』
少し面倒くさそうにしている彼の名前は白﨑風斗

中学二年生・B組である

この三人の中での常識人であり、頭もそこそこ良い。

そして彼には紅井と同じ様に秘密があり

彼は超能力者である。

この学校には異能力者がたくさん居るが、

何故か超能力者だけは存在を否定されているらしい。

この学校では楽しく暮らすために

超能力者と言うことを隠して居るらしい。

紅井同様、この秘密はほか二人も知っている
如月零
如月零
『今日は俺の待ちに待った一つ目の七不思議、流星群の樹木の検証なんだから!

お前ら、絶ッ対に協力しろよ〜?』
紅井瞬
紅井瞬
『もちろん、協力くらいはするさ。』
白﨑風斗
白﨑風斗
『まぁ、ここまで来てやらずに帰るのは寂しいからね~…』
流星群の樹木の検証手順はこうだ

①夜中、学校の中を通って西校門を使い、裏山の頂上に登る

②登ったその裏山の山頂では夜中にしか現れない大樹を探す

③その大樹に何人でもいいが、必ず二人以上の大切な人と手を握りながら木に触れる

④そうすると樹木が光り、頭に謎の声が響いてその謎の声に従うと願いを叶えてくれる。
如月零
如月零
『………とまぁこんな感じだ。』
白﨑風斗
白﨑風斗
『なんで男三人でそんなとこ行くんだよ…

明らかにそんなの女と行くもんだろ…』
紅井瞬
紅井瞬
『でもよ、こいつにとって俺らは大切な"友達"なんだ。
性別なんて関係ない…そうだろう?』
白﨑風斗
白﨑風斗
『………まぁ…そうだな…』
白﨑は少し微笑んではそう彼に言い返す。

そうだ、性別なんて関係ない、一緒に行く人が大事なのだ。

ご飯を食べるときだってそうだ。

何を食べるかじゃない、誰と食べるかだ。

大切なのは"お互いに想い合う人同士"だ。

そんな雑談をしながら彼らは山へと登るのであった_____





あれからどれくらい経ったのだろう

周りはまだ暗く、夜空に浮かぶ星が光り輝いている。

かれこれ1時間は登っただろう、そろそろついてもおかしくはないはずだが………
如月零
如月零
『…………ふぅ………ま、まだか…?いくらなんでも疲れるぞ…』
彼は疲れて重い体を紅井の背中に寄らせ、

おんぶしてもらおうとする

もちろん、紅井も疲れているためそれを拒否しようとするが

彼は無論、嫌だと言うだろう
紅井瞬
紅井瞬
『俺も流石に疲れてんだぞ…風斗にでも運んでもらえ…』
白﨑風斗
白﨑風斗
『なんでお前ら二人が疲れて俺が疲れてないって思うんだ、バカか。俺も疲れてるぞ………』
そんな雑談を繰り返している間に、三人は山頂についた。

山頂につくと一目でわかった。

昼にはなかった、

星空を背景にし、キラキラと輝いている樹木がそこにはあった。

三人はとても興奮していた

探し求めていたものがついに見つかるほど、嬉しいことはない

各々が色々と感じている中、如月は駆け出していた

如月零
如月零
『………やった…やった………ついに…ついに見つかった…!』
如月は大きな樹木に触れてはとても感動しているようだ。

他の二人も如月が樹木に触れると

自分達も近づこうと顔を合わせ、如月に近づいていった。

如月が振り向き、二人を手招くと早く来てほしいそうに待っていて



紅井瞬
紅井瞬
『………さて、ここからが本題だな…』
白﨑風斗
白﨑風斗
『そうだな…見つけたとは言え、これが本当とは限らない。七不思議通り、検証しよう。』
如月零
如月零
『あぁ、もちろんだ。ところで…願いは何をにするんだ?』
そうだ、彼らはこの樹木を見に来ただけではない。

彼らは七不思議が本当か検証をしにきたのだ。

彼らは改まったようにすると山に登る前に確認した手順をしていく

彼らは手を繋ぐ

彼らは見つめ合う

ゆっくり、ゆっくりと樹木に手を近づける

ここに居る者達は緊張しているであろう

三人とも自分の心臓がドクドクと鼓動するのが

よく聞こえるだろう

そうして、三人は大きな樹木に触れる

数秒後、さっきとは比べ物にならないほど樹木が神々しく光りだす。

そうして、彼らの頭には謎の声が響きだす。
謎の声
謎の声
『あーあー、マイクテスト、マイクテスト』
少し幼そうな、そんな声が聞こえる
如月零
如月零
心〘なんだ………ガキの声…?一体何なんだ…?幽霊…?〙
白﨑風斗
白﨑風斗
心〘…………なんだ女のガキか…〙
紅井瞬
紅井瞬
心〘………子供…?〙
三人はやはり女の声だと聞こえる

そしてその謎の声は少し低くうぅんと怒ったような声を出して三人にこう言う
謎の声
謎の声
『あの〜…普通に三人とも聞こえてるからね?

語りかけれることが出来れば聞くことも出来るから…』
三人は驚いたような顔をして顔を合わせる

そしてさらに謎の声は三人に語りかける
謎の声
謎の声
『んで、私の事を呼んだって事は願いがあるんでしょ?

ほら、言ってみなさい?』
三人に緊張が走る

しかし、謎の声は答えないのに対して何か少し不思議を感じているようだ

白﨑風斗
白﨑風斗
『………すまない、少し考えさせてくれないか?』
謎の声
謎の声
『いいけど…そんな考えるものかしら?』
紅井瞬
紅井瞬
『俺ら三人に願いがあるんだ。

願いは一つだけしか叶えられないなら、

それはきっと争いになりそうだしな。』
紅井瞬
紅井瞬
『出来るだけ争いたくない、だから相談する。

なにもおかしい事はないだろう?』
謎の声
謎の声
『…………何いってんの?願いを叶える数は人数分。

つまりあんた達の場合は三回よ?』
三人は驚く

だって願いが何回も叶えられるはずがないと思っていたからだ。

何回も叶えられてしまえばきっと悪事等に

活用されてしまうとそこは考えられていると思ったから

如月零
如月零
『な、なんだ………よかった…じゃあ一人ずつ叶えていくか…!』
謎の声
謎の声
『あ〜、でも一つ注意なんだけど………

一度決められた願いはあとで願いを変えられないよ?』
紅井瞬
紅井瞬
『………?ど、どういうことだ…?』
謎の声
謎の声
『まぁ簡単に説明すると、もしそこの赤髪が彼女が欲しいという願いをするとする』
謎の声
謎の声
『その後に、そこのメガネが赤髪の彼女を欲しいという願いをしても

先にした赤髪の彼女が欲しいという願いがあるためメガネの願いは無効化される。』
白﨑風斗
白﨑風斗
『………なるほど、先に叶えた願いが優先されるということか…』
しかし、きっと彼らには問題がないだろう。

彼らが叶えたいのは自分の夢だ。

白﨑は自分の存在が認められる世界に_____

紅井は差別がない世界に___________

そして如月は________________

"過去に約束したあの娘に会いたい"______

各々、しっかりとした願いがあるのだ

そして彼らは一息の飲み、一人ずつ願いを叶えていく
白﨑風斗
白﨑風斗
『じゃ、じゃあまず俺からな…………』
白﨑風斗
白﨑風斗
『………………え、えーっと…超能力者…俺の存在が認められる世界が欲しい!』
謎の声
謎の声
『…………ふむ……良かろう………先に他の二人の願いを聞かせてもらおう…』
紅井瞬
紅井瞬
『お、俺は差別がない世界が欲しい…!』
如月零
如月零
『俺は………過去に約束したあいつに会いてぇ…』
謎の声
謎の声
『………ふむ…なるほどね………じゃあまずはそこの赤髪と超能力者の願いを叶えてあげよう。』
そうして、白﨑と紅井は眩しい光に包まれる

如月はその二人を見守っているようで

二人が望む世界が出来るのを虎視眈々と待っているようだ
そして、眩しい光が徐々に消えていく

しかし、そこには______________

紅 井 と 白 﨑 は 居 な か っ た

如月はもちろん困惑する

彼は二人をどこへやったと謎の声に怒鳴りつける
謎の声
謎の声
『あれぇ…?聞いてなかったのかい?彼らは自分が望む世界を欲しがっていたんだよ?』
謎の声
謎の声
『だから、その世界に連れて行ってあげたんだよ。
この世界はその望む世界ではないからね…』
如月は絶望していた

小さく震えていた

大切な二人がいなくなってしまったからだ

そんな絶望している如月を気にしないように

謎の声はそのまま語りかける
謎の声
謎の声
『さて…それでは…君の願いを叶えてあげよう…』
謎の声
謎の声
『………と、言いたいところだけど…実はその娘には会えない………というより、その娘は居ないほうが正しいね…』
如月零
如月零
『………どういうことだよ…』
謎の声
謎の声
『つまり…この場合はその娘は死んでいるか…

もしくはさっきの二人みたいに別の世界にいるか…』
如月は思考する

ずっと約束していたあの娘に会えない

どうにかして会えないのか考えていた
如月零
如月零
『願いは………なんでも良いんだな…?』
謎の声
謎の声
『もちろん。あっ、だけど今までの願いをなくしてくれはダメだよ?処理がめんどくさくなるし〜』
如月零
如月零
『分かっている…』
願いは取り消せない

ならばどうするか

考えはある。しかし、それはどうなのだろうか

彼はよく考える

この願いはしてもいいものなのか

この願いをして、この先の未来はどうなってしまうんだろうか

彼は思考する

そして数分後、悩みに悩んだ結果

"その願い"を叶えることにした
如月零
如月零
『………よし、決めた……』
如月零
如月零
『紅井、白﨑の世界をこちらの世界と繫ぎ合わせる。』
謎の声
謎の声
『………それは…どういうことかな…?』
如月零
如月零
『簡単だ。白﨑の世界と紅井の世界、
そしてこちらの世界を自由に行き来できるようにする。』
謎の声
謎の声
『………なるほど、そういうことか………賢いね。』
謎の声は少し黙った後、何か納得したようにそう言う

しかし、謎の声は一つひっかかることがあるようだ
謎の声
謎の声
『………しかし、さっき言ってた約束していた娘はどうするんだい?』
如月零
如月零
『…フッ…死んでいるか、他の世界に居るのか分からないのに言えるはずがない………そうだろ?』
謎の声
謎の声
『なんか腹立つが…まぁ………そうだな…』
如月が言いたいことは謎の声にはわからないようだ

そして、謎の声は如月の願いを叶えるために

大きな樹木に手をかざす

そうすると、大きな樹木が神々しく光りだす。

数秒後、徐々に光が消えて行くと謎のポータルが二つ見え始めるだろう。

それは紅井の世界、そして白﨑の世界を繋ぐポータルだ。

如月はそのポータルを見ると一つ質問をする
如月零
如月零
『…すまない、一つ質問だが………このポータルを使って紅井の世界と白﨑の世界に行くことは可能なのか?』
謎の声
謎の声
『ん〜…まぁ一応行けるね』
如月零
如月零
『じゃあもう一つ質問、紅井と白﨑、そして俺はまた三人で一緒に会うことは出来るのか?』
謎の声
謎の声
『………いやー、そうだなぁ………正確に言うと、
今はまだ出来ない。』
如月零
如月零
『…………今は?』
謎の声
謎の声
『あぁ、今は………だな…』
謎の声
謎の声
『………実はね…七不思議にも役職?みたいなのがあってね………』
謎の声
謎の声
『私は一つ目だから役職っていうか階級は一番下だから詳しいことは知らないんだけど………』
謎の声
謎の声
『どうやら七不思議を全部解決すると………七不思議の全てがリセットされるらしい…』
如月零
如月零
『………?ど、どういうことだ…?』
謎の声
謎の声
『まぁ簡単に言うと僕の七不思議、流星群の樹木の願いが全て消えてリセットされる………ってことかな…?』
如月零
如月零
『………………!それってまさか…!』
謎の声
謎の声
『あぁ………君の望む、三人でまた会うことができる…』
如月は歓喜する

また三人で会えるのだから

そして、如月は決心する

また三人で会うために

また三人で楽しく笑える生活を取り戻すために

彼は、全ての七不思議を解決すると

心に刻んだのである_____________
謎の声
謎の声
『…………ところで、七不思議については流星群の樹木以外のことは知っているんだよね?』
如月零
如月零
『………い、いやぁ…実はあいつに会いたくて
流星群の樹木しか調べてなくて………何も知らないんだ…』
謎の声
謎の声
『…………ば、バカだね………本当に…』
謎の声
謎の声
『…………いや、そうだな………良い事思いついた…』
謎の声
謎の声
『よし、君は七不思議を全て解決したいんだろう?
特別に、僕も協力してあげよう!』
如月は混乱する

だって、七不思議の奴が七不思議の解決に協力する?

意味がわからない

しかも、七不思議はリセットされるらしい

本当に意味がわからない

しかし、彼にとっては好都合だろう

だって自分の願いに協力してくれるのだから
謎の声
謎の声
『そういえば………約束していた娘はどうするんだい?』
如月零
如月零
『………そいつのことも調べながら七不思議を解決していくよ………死んでいるのかすらわからないらしいし…』
謎の声
謎の声
『ふ〜ん…………まっ、いいでしょう………』
如月零
如月零
『………んじゃあ、これからよろしくな。相棒』
謎の声
謎の声
『…………調子乗るんじゃないよ、相棒』
如月はフフっと小さく笑う

謎の声は顔は見えないが、何か小さく笑い声が聞こえる。

きっと謎の声も嬉しいのだろう
そして、一方二人は_____________
白﨑風斗
白﨑風斗
『…………あれ…?如月と紅井は…?』
紅井瞬
紅井瞬
『…………あのバカと白﨑居ねぇぞ…』











第壱話・完_________________

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