俺が仕事帰りにふと立ち寄った花屋でヌナに似合いそうな花を買った。
何でもない日だけどそれでも贈りたくなったんだ。
形があるものはいつか壊れる。無くなる。
そしていつか誰の記憶からも忘れられる。
それを理解しているようなヌナの儚さに惹かれた。
そう言いながら手を進めるヌナの横顔を見る。
絵の具とほんのり花の匂いがする。
ずっとこうならいいのに。
ヌナはいつか自分の前からいなくなってしまうような気がする。
そのいつかが怖い。
愛してるって伝えても
必ず愛してるよとは返ってこない。
掴みどころがない。
掴めないヌナ。
愛しい人。
俺の前からいなくならないで。
気がつくとヌナを後ろから抱きしめていた。
ヌナはきっと気づいている。
俺がかけて欲しい言葉はかけてくれない。
"ずっとヒョンジンのそばにいるよ"
そう言ってよ。
微笑むだけのヌナ。
せめて今だけは俺でいっぱいになってよ。
〜Next〜
ヒョンジンってクズも、儚いも、可愛い幸せ!も何でも想像できてすごい。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。