不覚にも、一瞬だけ
ほんの一瞬だけ、ときめいてしまったのは
わたしだけの秘密。笑
先輩のこういうところ、本当に男前だ。
「はいよー!」
先輩の幼馴染さんの名前が出てこなくて
口ごもっていると。
「へい!ビールと枝豆、シュウマイお待ちどう!」
先輩はビールをグビグビ飲み始める。
先輩の背中をさすりながら、そう聞いた。
いや、ほんとに苦しそう…。
「お客さん!大丈夫っすか!!」
店員さんがおしぼりとお水をくれた。
わたしがそう聞くと
と言いながら、眉間にシワを寄せた顔をして
わたしを見た。
わたしがそう言うと、先輩はピクっと
シュウマイを食べていた箸が止まった。
先輩の顔が少し赤いような気がするのは…
お酒のせいなのか…それとも…☺️
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ガラガラガラ
「ありがとございしたぁー!!」
わたしと先輩の向こう側の方に車を端に止めて
男女が一緒に乗っていた。
助席はすごく若そうな女の子。と…運転席は…
2人は見つめ合った後
かなり、しっとりとしたキスをしていた。
な、な、な…なんてこったぁ〜!!!
わたしは、恐る恐る横にいる先輩の方を見ると
…なんの感情もない、怒りも悲しみもないような
真顔になっていた。
ガシ
先輩に手を掴まれた。
そう言うと、先輩は
わたしの手を引いて車とは違う方面へ歩き出した。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!