「宮原さん!遅くなっちゃってごめんなさい!」
「いえいえ。」
打ち合わせも終わり、帰ろうとしたとき
「七瀬先生、お話ししたいことがあるのですが………」
何だろ。
「先生と大樹さんはどいゆう関係ですか?」
「どいゆう関係って、どいゆう意味?」
「だから、私がライバルだと思っていいのかってことです。」
「やめて。確かに私と大樹は付き合ってる。でも、私と宮原さんは作家と編集者だから険悪な感じで仕事をするのはお互イヤでしょ?」
「………分かりました。諦めます。もうやれることは全部やったけど、大樹さんは振り向いてくれなかったんで。では、失礼します。」
なんかよく分からないけど、諦めてくれたんなら良かった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!