第21話

自分のため
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2022/04/19 12:08



見慣れた保健室。

でも、そこに寝てるのは僕じゃない。



嗚呼、僕はいつも、先輩たちをこんな気持ちにさせてたのかな。








site デク




あれ……?

ここは、どこだ…………?






たしか僕は、寮に来たお客さんのためにドアを開けて………。










あなた
デク先輩…、早くおきて……


あぁ、この右手のぬくもりはあなた君のか。


そっかぁ、僕、あのまま倒れて……



じゃあきっとここは保健室だな。






…。







だめだ、体が動かない。


あのあと、みんな無事だったのかなぁ…

あいざわ先生
まぁでも良かったよ。
あいざわ先生
今回のことに関して、来るはずもない来客に対応しようとしたことは褒められるものじゃないが、
あいざわ先生
きちんと俺に連絡したことは良かったよ


…そうか。

あのあと、相澤先生が来て…
あなた
ホントは、僕が守らなきゃいけなかった。
あなた
アイツの個性を知ってるのは僕だけだったから。
あなた
傷つけることしかできないコレ個性が、嫌いだ……っ
あなた
僕がみんなを守れたら……っ!
あいざわ先生
それは違うぞ、あなたの下の名前
あいざわ先生
お前はあの場でうまく対応していた
あいざわ先生
個性を知っていたからこそ、クラスメイトを奴らから遠ざけるという選択肢があった
あいざわ先生
それは賞賛に値する
あいざわ先生
むしろ、今ここでウジウジ行っていることのほうが問題だと思うぞ、俺は。


あなたくん、…

別に君のせいで僕が傷ついたわけじゃないのに。

君は優しいんだね。



あなた
……。
あいざわ先生
それで、だが。
あいざわ先生
そのアイツラの個性・・・・・・・、とやらを、教えてくれないか




…。


あなた
…男の方、
あなた
キヌタと名乗ったやつは、『彫刻腕』
あなた
体の一部を彫刻刀のような形に変化させ、腕を鞭のようにして操ります
あなた
ミコトと名乗ったやつは『瞬間移動』
あなた
自分が一度足を踏んだ場所に瞬間移動することができます。
あいざわ先生
そうか、それは…

あいざわ先生
厄介だな。


そうか、そのミコトとか言う人はもうUAの敷地を踏んでるから、いつでも来ることができる。


キヌタと言う人は、僕がやられたようにえぐるような傷を、しかもムチのようにして操るのだから、対応しにくいな…。




あいざわ先生
話してくれてありがとう。
あいざわ先生
このことは、今後職員たちと話し合って、
あなた
別に先生のためじゃないです。
あなた
これは、僕が片付ける。








どうして、そんなことを言うんだ…

君はひとりじゃないだろう…?



僕たち仲間がいるのに……。







そうやって、一人で抱え込むと、












本当に君が、孤独になってしまう………



自分のために、戦うんだ、。



周りの人を巻き込まないように。

周りの人を傷つけないように。








そうやることしか、しらないから…。










孤独の王様になっていいから、

みんなを、守らせて……。

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