第12話

第九話 悪夢の日の出
7
2026/08/02 06:00 更新
___1945年、7月。
今日はとうとう実験兼軍事行動の日。
つまるところ、戦争が終結するか、それか核分裂できず不発に終わり、又一ヶ月ぐらい消耗戦をするか、

はたまた核分裂反応が大気や海まで周り、
生物の滅亡という形で本当に永遠の戦争終了という形になるかもしれない、最初の核投下日となった。


と、言っても別に操縦士も搭乗員もごく一般的なホモサピエンスの男性達である。
イギリス、アメリカ、カナダや他の連合国もその自治体も、
当日やることと言えば操縦士や搭乗員からの報告を待つのみである。
ベルリンの教会
ベルリン
牧師様!!ありがとうね!!
ぼくの曲練習のために教会朝早くから開けてくれて!
ニコニコの笑顔を意識して朝早くに準備してくれた牧師さんに感謝を伝える。
牧師様
こちらこそ、ねずみちゃんが毎朝来てくれるおかげて、健康体に成れたよ!
ベルリン
ねずみ…じゃなくて…それは良かった!
ねずみちゃんとは、ドイツにおいて子供に使う愛称である。
ぼくは立派な首都なんだけど!
………仕事は最近してないけど…ガウの大ベルリンの所為で…
ベルリン
それじゃあ配給受け取りに行ってくるね!じゃあ!
牧師様
はいよ!
少し早足で教会から外に出る。

それにしても、練習して大分弾けるようになった。
もう楽譜を見なくても99%は弾ける。
戦後に弾くなんて、宣言しない方が良かっただろうか。
そう思いながら配給がされている場所に向けて歩いていた。


着いた頃、唐突に空襲警報が空気を切り裂いた。
慣れた恐怖に体が突き動かされつつ、防空壕に走る。

何とか着弾する前に避難を終える。
怖くて震えている子供たちを慰めながら空襲警報が終わるまで中で籠る。


暫くして警報が止む。
外へ飛び出してみれば、がれきは増えておらず、特に変化なしと言ったところだった。
とりあえず、一応周辺の探索は必要だろうが何もしなくても大丈夫そうだ。

隣町の方に集中していることによる誤報だったのだろうか、
それとも嵐の前の静けさなのかは、良く分からないけど。
とにかく、配給取りに行かないと…お腹空きすぎて倒れちゃう
牧師様
おお、戻ったか!
ベルリン
はい!無事です!
牧師様と一緒に互いに何事もなかった喜びを分かち合い、
配給を食べるためにまた別の部屋に移動する。
本がある部屋で、もう少し経ったら子供が少し集まって勉強する部屋になる。
机の上に配給を並べる。
牧師様
うーん…やっぱり、少ないねえ…
ベルリン
そうだね…戦争終わったらお腹にいっぱい食べ物詰め込められるね!
牧師様
ははは、ベルントは変わらないねえ…やっぱりねずみちゃんだな
ベルリン
むぅ…
牧師様
すまないすまない、あまり機嫌を損ねた肝臓のソーセージにならないでへそを曲げないでおくれ……
からかってきた牧師様に宥められつつ、席に座る。
牧師様
じゃぁ、食べようか
ベルリン
はい!
そう言って、牧師様が食前の祈りをし始めた時だった。
いきなり凄い風圧が背中を押して、何だろうと振り返ったら、がれきが目のま
凄い花吹雪だ、これからドイツという国は始ま__
もう止まらない、みんな民主主義を望んでる、ぼくは__
???
ベルリンベルリン!こっち来て!凄いもの来た__
???
なぁ、イングランド、ふざけてるのか?ローマ教会を離れ__
???
危ない!!
ぼくの体は咄嗟に動い__
 
ベルリン
ねえ!どうだった?
ぼくは興奮が冷めないまま振り向いてそう叫ぶ。
ザクセン
うーん、なんだか凄い嫌な懐かしい感じがしたな
プロイセン
本当にな
ザクゼンはぼくの感情とは反対に、少し嫌な顔をしつつ素直に感想を伝えて来る。
更にプロイセンは苦い顔をして、ザクゼンの感想に付け加えた。

ぼくはもっと何かを弾きたくて、教会内で許されそうな走りで二人の元に走って、
ダンボールの中をまたガサゴソと漁り始めた__
 
ベルリン
ぼく、この曲弾きたい!!
戦争がどんな形であれ、終わったら弾く!!
ベルリン
………
からだが、いうこと、きいてくれない。
そうだ、がれき、目の前………

まった、瓦礫が目の前だって?
そうか、やっと状況が掴めてきた。
きっと、空襲警報が間に合う前に、ぼくは空爆に巻き込まれたんだ。
それで瓦礫が降ってきて、走馬灯を見た。
そして擬人化特有の緊急回復のせいで今は体がいう事を聞かないどころか、気を失ってたんだ。
どうりで目の前もあまり見えないし、異常に喉が渇くわけだ。




……


………


………………待ってよ、喉が渇くって何だよ。
喉渇かす爆弾なんて普通ある?あるにしても開発した経緯も、
使用用途も分からなすぎて怖いんだけど。
待ってよ、落ち着いて考えよう。

事態はもっと複雑かも、何が、何があったか思い出せ、記憶できるギリギリの範囲まで。
風圧がすごく強くて、そういえばガラスが割れる音も聞こえた気がする。


後は………そう、とっても熱かった。それも、凄く短時間。
あつ………くて………それで
駄目だ、考え事、してたら、また気を失っちゃう。
何時間経っただろう。
緊急回復はそこまで時間はかからない事は分かっているのに、そんな事を思った。
考え事も不自由なくできるようになり、視界も聴覚も大分ハッキリしてきた。

狼狽える声、助けを求める声、泣き叫ぶ声、耐えるように促す声、神に慈悲を願う声。
ボロボロでも倒れるか倒れないかの瀬戸際で耐えていた、
そこら辺にある筈の廃墟化した建物は遠くまで見渡しても見当たらない。
砕けたらしく、鋭利な石と化しているレンガとか、
何処からやってきたか分からない濁ったガラスの塊らしき物も転がっている。

雲一つない素晴らしい朝だった筈なのに、真っ暗だし。

夏でも感じたことの無い暑さを感じるし、
そのせいで息をするのも苦痛だし、

事態は大分、大事、いや深刻でも全てを言い表わせることができない状況だという事が分かる。

周りの状況掴むのに時間は割と使ったし、とりあえずは動けるはず。
熱いのは気にせず息を吐いて吸う。
体全体に力を入れて何とか体を起こす、ギリギリで足で地を踏みしめて何とか起き上がる。
まずは何が起こったのか、調べなきゃ。
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