第3話

Episode2 鼓翼
1,425
2024/03/20 09:00 更新








レイラー
(大丈夫……大丈夫………!)
レイラー
(飛べる…飛べる飛べる飛べる飛べるッ!)





レイラー
わああああああッッ!!
────地面を蹴った、足が離れた。
瞬間、圧倒的な浮遊感に襲われる……ツインテールの髪は生き物のように揺れ、帽子は風に翻って今にも飛んでいきそうだ。


そして、遅れてやって来る“落下”の感覚。
当然だ────今私は、小さな丘からジャンプし、空中で箒に跨っているんだから。

眼に視えない下向きの力が働く。
己の身体がどんどんと……重力加速度の原理により、凄まじい速度で落下し続けている。
レイラー
(ヤバ…魔法で、箒を浮かせないと…!!)
レイラー
…う、ぐぐ……
歯を食いしばり、必死で魔法を使おうと試みるが────全く意味を成さない。
このままじゃ、地面にぶつかる……もし、当たり所が悪かったら………
レイラー
(駄目……だ………私には…)





『…澪織、箒に乗って宙を舞う時大切なのは………魔力の消費量と、その安定化』


『多からず少なからず、中途半端なくらいの魔力が、鳥が飛ぶような高さ……つまり、標高150メートル以下の飛行には丁度いい───』


『そして、中途半端な量の魔力の一定供給に成功すること…一分間に大体どのくらいの量か、とかは魔法使いの技量にもるけど……とにかく、安定が大事』



『大丈夫……今は出来なくても、いつか必ず可能になるよ…………』









『“約束”する』











レイラー
………!!
レイラー
(一定供給………そして、消費ッ…!)
多からず、少なからず────中途半端な量の魔力を、体内から外界に放出する。
言うだけなら簡単だけど、実践するのは難しいんだよ………


でも……大丈夫───できる、私ならできる……
だって───師匠が、“約束”してくれたんだから……


肺の中の空気を全て吐き出した途端───全身に紫色の霊気が滲み……心無しか、脳が冷やされる。

今の………私なら──────





レイラー
(……これだ!!)
完全に感覚を摑んだ。

自分の中で3秒間に消費する魔力量を決めて───何があってもそれを継続させる。
3秒が経ったら、また3秒間同じ量の魔力を使う……その繰り返し。
魔力と思考は全て───箒を浮かせることに集中させる。



やがて、今度は身体が強烈な浮遊感に包まれる。
箒の柄頭がグイッと持ち上がり───視界も、徐々に上昇していく……その証拠に、茜色の羊雲が見えてきた。
レイラー
(やった……乗れてる………飛んでる!)
成長して巣を離れた雛鳥が、持つことを許された翼で精一杯羽ばたくように……木々を突っ切って、一人の魔法使いが空を舞った。
レイラー
はあ………はあッ…………
レイラー
…で……できましたよ…………
こうやって呟いている今現在も、魔力の調整・安定放出に成功している───箒が、風にびくともせずに滞空を続けていた。

今すぐこの進展を報告しようと───私は、師匠がいるであろう背後を振り向いた。





レイラー
………あ…………………

─────────そっか。

そうだったな………師匠は……………………………






───それでも木製彗星は、人一人を乗せたまま浮かんでいる。
彼女が教えてくれたことが……時を超え、私を助けてくれたんだ。
レイラー
(…ありがとうございます……師匠………)





レイラー
(今度は……私があなたを助ける番です………!)
未だに何もかも、見当すらつかないけれど────黄昏時の天は、憎たらしい程に澄み渡っていた。


───さて、ここからどうしよう……
眼下には、深い森が苔のように大地を覆い尽くしている。
レイラー
(私たちはこの森の中に小屋を構えていた……まだこの森にいるかもしれない……)
それに、今の私は本当に無防備だ。
鳥の“魔物”に襲われたら、普通の魔法使いじゃ生命が幾つあっても足りない……
レイラー
…とにかく、上空から探してみよう……
恩人が、まだこの緑の中に紛れ込んでいないかと───ふわふわと浮遊しながら、点のような木々一本一本にも眼を凝らす。
その中に、漆で染めたような純黒が混ざっていることを願いながら。


レイラー
…仕方ない、下りよう……
上からじゃよく解らない。
私はリスクを覚悟し、箒の高度を下げ始めた。




ここは、“リンフェンの肺”と呼ばれる…魔法の森だ。

魔力を多く含んだ土壌から成っており───苗木の時から、栄養分の代わりに魔力を吸収・成長してきた木々に囲まれている。
レイラー
(ここの一部の木々たちは、呼吸や光合成を行う時に魔力も放出すると聞いたけど……)
実際、“リンフェンの肺”の樹木から蒸散された水露は集められ、瓶に詰められて売られている……なんて噂もある。
だからこそ───師匠は、ここに小屋を構えたのだ。
魔力を外部から何時でも補給することのできる────この、雑木林を。
レイラー
……ひッ………
背後で、草元がガサガサと声を上げる。
驚いて振り返ってみても──そこには、何もない。

今の時間帯は“逢魔刻おうまがとき”とも呼ばれている……黄昏が彼岸と此岸の境界線を狂わせ、魔物に出会いやすい。
レイラー
(師匠と来た時は平気だったのに……一人になるとなんで……)
心許ない杖を握り、ゆっくりと地面を踏み締めて歩く。
一歩ずつ一歩ずつ……小さな生命を踏み潰しながら、私は前進して行く。


既に日は暮れ、夜闇が辺りをカサブタのように覆った。
でも────今から帰るわけにもいかない。
こうなったら、師匠を見つけだすことの方がまだ安全なのだ。


レイラー
(魔法…いざという時使えるかなぁ……)
不安や恐怖、己の未熟さに対する悔しさなどの辛酸が───ミックスジュースの如く混ざりあって……もう、何味か覚束ない。
───それを飲み干した奥には……一体何が、沈んでいるんだろう。


用語解説
・魔物
人々を襲う化生。
魔力を与えられて魔物になった存在と、魔力を持たない存在がいる。
・リンフェンの肺
伝説の魔法使いが生活をしていたと言う、魔法の森。
魔力を多く含む土壌から成り立っているため、この森の木から採れる樹液は薬として使われている。


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抗争! 抗争!(戦闘大好きリンゴ)
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3つのチームに分かれたmmmr様が、抗争を繰り返すってお話なんですけど…
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うん、設定から面白くないわけがないよね。
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まーじでバトル系好きな人にはお勧めです〜
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神作品確定。
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今まで家系に縛られてきたmmさんが、仲間と一緒に抜け出して新しい世界を……ふおぉ↑
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しかもこの作品、アモアスの役職とかからなってるから……原作(?)リスペクトですよ。
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まじで結構本当に読んだ方がいい。
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ieルカが好きな人は確実に読んで。そうじゃない人は絶対に読んで。
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設定が本当にしっかりしている…そして表現力も高い、最高です。
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二人が心中をするだけ……それだけなんですけど、そこに至るまでの過程とか、iemonさんの気持ちとかが本当に好きなんですよ…!
代りんご
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私の作品捨ててこの人の作品読んでください(贔屓じゃないよ? お返しなだけ)。
代りんご
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言ってませんでしたっけ? 私奇病とか大好物なんです。
代りんご
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mmmr様が奇病にかかり治療を受ける…いや、もう好き。
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この人の作品めちゃ面白いんよ……
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まじで、読んでください〜
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以上!
代りんご
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誰か参加して泣いちゃう。

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