彰人side
現在、俺と杏が学校で自習中。
珍しいって?冬弥待ってんだよ。
いつもはスマホ弄ったりしてるけど、冬弥に冷たい目で「少しは隙間時間で勉強しろ」って言われて、仕方なく…
再提出になった数学の課題を嘆きながらやってるところだ。
やっときた。救世主。
ひょっこり扉から顔覗かせてんの。可愛い。
ピロリン♪
誰かのスマホの通知音が。
意気揚々とスマホを開いた次の瞬間、杏の顔が落胆に包まれた。
そう言って、スマホの画面を俺たちに見せてくる。
確かに、そう書いてある。
不味い。嫌な予感がする。
終わった…
自分にも被害が及ぶと察した杏は、すぐに帰って行った。
今は、教室で冬弥と二人きり。これはこれで悪くない。課題のことを除けば。
どうしても進まなくて、ペンを持ったまま天を仰ぐ。
そして、次の瞬間。
冬弥と唇が重なった。
純粋無垢な冬弥のグレーの瞳と目が合う。
マジかよ。
本気で言ってんのか、これ。いや、本気だな。冬弥だし。
誰から吹き込まれたんだよ。
反応がないことを不思議に思ったのか、こてんと首をかしげる。
可愛い。
さっきまで白くて綺麗だった顔が、一気に恥ずかしさで真っ赤に染まる。
勉強も、こんなんだったら悪くねぇかもな。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!