狙われてるなんて、考えたこともなかった
だって私を狙う必要が無い
狙う意味すらないってのに……
デルキラ様が話してくれたのは
まぁ簡単に言うと「デルキラ調子乗ってるよね☆あいつデルキラのお気にぽいし嫌がらせになるんじゃね?」
的なノリで私に攻撃したらしい
攻撃と言っても色々あるらしく
精神や肉体的な操作をできる悪魔もいるらしい
いやチートじゃね?
まぁ要するに、
デルキラ様にちょっとピキっちゃった雑魚どもが
お気に(仮)の私にちょっかいかけにきた
的な状況らしい
デルキラ様の話によると
魔界は広い
その魔界を魔王という悪魔1人でまとめあげる
それはデルキラ様にだって不可能に等しい
だから13冠というものがある
魔王がまとめるはずの魔界を13に分け、
その領地をそれぞれが管理する
その13冠をまとめあげるのが魔王の役割なのだ
魔王の下につく者が13冠なら
当然魔王の隣につく者だっている
まぁ要するにクウィン家ブチ切れ案件である
長い歴史の中、クウィン家に生まれたのなら
長男は魔王の側近、長女は魔王の婚約者
そう相場が決まっていると言うほどに
クウィン家は魔王の隣に君臨し続けていた
だがそれを1人の魔王は「やだぁ」の一言で断った
サリバンというクウィン家以外の悪魔を側近にし、
おまけに婚約を断ったというのに婚約者以外の女性を隣に置くという始末
「魔王の隣に立つ」という絶対的な地位を誇りに生きてきたクウィン家にとって
それは最大の屈辱
側近ならまだしも、婚約を断られたにもかかわらず
なんのちんけもない小娘にその場を奪われたのだから
花嫁はもちろん、クウィン家プッチン状態☆
元々がたたの一般人なのだから仕方がない
特別なにかスポーツをやっていた訳でもないから体力もない
戦うと言ってもこう、しっくりくるものが私には無い
魔術ってあの、火とか水とか操れる的なの?
そう言ってデルキラ様に渡されたのは
小さな輝く金色の指輪
「ポロちゃんとこに弟子入りしてきな」
魔王は静かに企むように笑う
正直に言うとあなたへのあの攻撃は防げた
それでも魔王は防せがなかった
悪魔にとって欲とは力の源
あぁしたい、こうしたい
自分が描く未来が上手く築くようにしたい
悪魔はそうやって力をつけ、己の欲を満たす
でもあなたには欲がない
2人の大悪魔は一人の人間を見つめて
向かい合い笑う
これから先に起こる事を想像しながら
まだ何も知らぬあなたは寝息を立てる
そもそも魔王に召喚された時点で
この人間に安堵がもたらされる未来など
無にも等しいのだ
デルちゃんの隣に立たせても大丈夫なほどに
徹底的にしごいてやるんだから
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。