第7話

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2024/05/20 15:23
魔王 デルキラ
あなたは今誰かに狙われてる
あなた
狙われてる……?
狙われてるなんて、考えたこともなかった
だって私を狙う必要が無い
あなた
(私は人間だし、悪魔でもないし……)
狙う意味すらないってのに……
魔王 デルキラ
一応の時のために弱いけどね、あなたには守りの呪いをかけておいてたんだけど
魔王 デルキラ
それがあの時は外されてた
あなた
っ、てことは……
魔王 デルキラ
つまり、あれは確実に
人為的に行われたものってこと



魔王 デルキラ
ポロちゃんと話しててねー、
可能性がある原因は2つ
魔王 デルキラ
1つは俺への嫌がらせ
あなた
デルキラ様への嫌がらせ?
魔王 デルキラ
そ、てかあなたが周りからなんて言われてるか
知ってる?
あなた
いえ……




デルキラ様が話してくれたのは
まぁ簡単に言うと「デルキラ調子乗ってるよね☆あいつあなたデルキラのお気にぽいし嫌がらせになるんじゃね?」
的なノリで私に攻撃したらしい

攻撃と言っても色々あるらしく

精神や肉体的な操作をできる悪魔もいるらしい
いやチートじゃね?

まぁ要するに、

デルキラ様にちょっとピキっちゃった雑魚どもが

お気に(仮)の私にちょっかいかけにきた
的な状況らしい
あなた
で、もう1つは……
魔王 デルキラ
クウィン家の可能性が高い
あなた
クウィン家?
デルキラ様の話によると
魔王 デルキラ
長きに渡り、魔王の隣に君臨し続けた
“絶対に王になれない”家系
魔王 デルキラ
主に魔王の側近、婚約者を担う家系だね
あなた
婚約者!?



魔界は広い

その魔界を魔王という悪魔1人でまとめあげる




それはデルキラ様にだって不可能に等しい




だから13冠というものがある
魔王がまとめるはずの魔界を13に分け、

その領地をそれぞれが管理する






その13冠をまとめあげるのが魔王の役割なのだ




魔王の下につく者が13冠なら

当然魔王の隣につく者だっている

魔王 デルキラ
それがクウィン家、長い歴史の中で
代々魔王の側近、婚約者として名を馳せてきた家系
魔王 デルキラ
でもさ、俺嫌いなんだよね、縛られるの。
元々そこの長女?が俺の婚約者になる予定だったらしいけど
魔王 デルキラ
めんどくさいから断っちゃった☆
あなた
はぁ!?



まぁ要するにクウィン家ブチ切れ案件である



長い歴史の中、クウィン家に生まれたのなら

長男は魔王の側近、長女は魔王の婚約者


そう相場が決まっていると言うほどに

クウィン家は魔王の隣に君臨し続けていた


だがそれを1人の魔王は「やだぁ」の一言で断った


サリバンというクウィン家以外の悪魔を側近にし、

おまけに婚約を断ったというのに婚約者以外の女性あなたを隣に置くという始末









「魔王の隣に立つ」という絶対的な地位を誇りに生きてきたクウィン家にとって




それは最大の屈辱




側近ならまだしも、婚約を断られたにもかかわらず

なんのちんけもない小娘にその場を奪われたのだから


花嫁はもちろん、クウィン家プッチン状態☆
魔王 デルキラ
ってな訳
あなた
それ絶対デルキラ様が原因じゃないですか!
あなた
てことはクウィン家は婚約を断ったのに、
なぜ私を隣に置いてるんだって言ってキレてるってことですか?
魔王 デルキラ
そ、だからあなたに相談
魔王 デルキラ
これから先、あなたには自分の身を
自分で守れるようになって欲しい
あなた
自分で自分を……?



魔王 デルキラ
今回みたいに身体に異常を出してくるのもあれば直接ダメージを与えてくることもあるかもしれない
魔王 デルキラ
俺一人じゃ多分防ぎきれない
魔王 デルキラ
だからあなたには最低限力をつけて欲しい
あなた
っ……でもそれってどうやってですか?
あなた
私、体術とかは使えませんよ?
元々がたたの一般人なのだから仕方がない

特別なにかスポーツをやっていた訳でもないから体力もない
戦うと言ってもこう、しっくりくるものが私には無い
魔王 デルキラ
だからあなたには魔術を教える
あなた
魔術……ですか?
魔術ってあの、火とか水とか操れる的なの?
あなた
でもそれ、私できるんでしょうか……?
あなた
魔力……的なのとか
必要だったりしません?
魔王 デルキラ
うん
あなた
無理ゲーじゃないですか……
魔王 デルキラ
だからこれ

















そう言ってデルキラ様に渡されたのは

小さな輝く金色の指輪
あなた
指輪?
魔王 デルキラ
そ、魔力貯める専用の魔具
魔王 デルキラ
魔蔵石っていう魔力を貯めれる石
を埋め込んだ指輪
魔王 デルキラ
これをつけてればあなたにも魔力がやどるし、
魔術を使える
あなた
へー……
魔王 デルキラ
これから先
魔術があなたの生き抜く術になる
魔王 デルキラ
ひとまず………
あなた
へ?




「ポロちゃんとこに弟子入りしてきな」






















































アムドゥスキアス・ポロ
「俺一人じゃ多分防ぎきれない」……ねぇ?
魔王 デルキラ
なぁにポロちゃん、探ってるの?
アムドゥスキアス・ポロ
いえ、デルちゃんもわざとらしいことするわね
アムドゥスキアス・ポロ
別にあなたが魔術使えなくても、あなたの実力なら守り切れるでしょう?
魔王 デルキラ
まぁね


魔王は静かに企むように笑う
正直に言うとあなたへのあの攻撃は防げた
それでも魔王は
魔王 デルキラ
だって面白いじゃん、
魔術を使う人間なんて前代未聞
魔王 デルキラ
新しいことはどんどんやりたいし
アムドゥスキアス・ポロ
でもどうするの?あの子には欲がなさそうに見えるけど
悪魔にとって欲とは力の源
あぁしたい、こうしたい
自分が描く未来が上手く築くようにしたい

悪魔はそうやって力をつけ、己の欲を満たす
でもあなたには欲がない
アムドゥスキアス・ポロ
あの子の音、なんか変なのよね。
魔王 デルキラ
変?
アムドゥスキアス・ポロ
自由になることを望んでるのに、
それを自分で縛りあげてる
アムドゥスキアス・ポロ
欲をさらけだすことを
拒んでるみたいに見えるわ
魔王 デルキラ
ふーん……



魔王 デルキラ
待てばいつか欲は出るでしょ
魔王 デルキラ
もしあなたが欲まみれになって
ダメ人間になって堕ちても、
魔王 デルキラ
おれが引っ張り出してあげるしね
アムドゥスキアス・ポロ
あなたが堕ちるには時間がかかりそうよね、
お供するわよデルちゃん♡
魔王 デルキラ
ポロちゃんもなかなかに性格悪いよね
アムドゥスキアス・ポロ
あらそう♡?
2人の大悪魔は一人の人間を見つめて


向かい合い笑う


これから先に起こる事を想像しながら


まだ何も知らぬあなたは寝息を立てる




そもそも魔王に召喚された時点で


この人間に安堵がもたらされる未来など


無にも等しいのだ










アムドゥスキアス・ポロ
(呑気なものよね、こいつも)
デルちゃんの隣に立たせても大丈夫なほどに
徹底的にしごいてやるんだから

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