第9話

第8話 「逃げないで、」
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2024/07/08 14:07
佐野side


大学でこの格好をするのは初めてかもしれへん、、

やけに周りの反応がうるさい、

……今日は特別だ、誠也くんと話をしたくてばっちりとした誠也くん好みの俺にした


きょろきょろと周りを見渡しながら3年生の教室を見渡す

女の人が駆け寄って来て「誰か探してるの?」と声をかけてくれる、


「……末澤誠也、って人いますか?」と聞くと
「あーあいつ、?」と言った後、誠也くんを引っ張り、連れてくる
「なんかこいつ朝から元気ないし励ましてやって、」と言われ誠也くんを渡される

「……誠也くん、」

声を掛けた瞬間、誠也くんは逃げ出そうとする

「あ、っ」と思い、思わず「まって、」と言い誠也くんを後ろから抱きしめる

「、っ!!さ、の、っ」

「お願い、逃げんとって…?」

「む、っむり、なんか今日の佐野いつもよりきらきらしてて見れへんもん…」

え、何それ可愛い……、っ

なんだか少し意地悪したくなった俺は
「いつもの芋の方が良かったですか?」
と拗ねた風に誠也くんに聞く

「ちゃっちゃう、、!!いつもかっこいいんやけど、!!
なっ、今日の佐野俺好みというかなんというか……っ」

慌てとる、笑
当たり前やん、誠也くん好みにしたんやから、

「笑笑いじわるしてごめんなさい、
……この前の話、したいからちょっと来てくれませんか、」

誠也くんの顔つきが少し変わる

「……うん、俺も聞きたいことある、」






ふぅ、と深呼吸をした後誠也くんに話し掛ける

「……俺、小島くんとは」

「…まって、
……もうちょっと、心の準備…ほしい、かも、」

「あ、っそうですよね、ごめんなさい…、」

「いや、俺がびびっとるだけ、ごめん、」



「……ごめん、もう大丈夫、」


「じゃあ、……はなします、」



俺は誠也くんに小島くんと付き合っていた事、小島くんに浮気をされたこと、それで別れたこと、それから俺が小島くんに依存していたから体の関係も何度か重ねたこと


俺が小島くんに 最低な事を考えていたこと、
俺がクズな事



全てさらけだした




「……て感じです、」


「そ、そう…」


「ごめんなさい、俺、こんなやつで、笑
……全然いい人じゃなくって…笑」


不意に誠也くんに頭を撫でられる、


「……俺はしょうがないと思うけどな、」


「え、?」


「小島さんの事それだけ好きやった、って事やろ?
依存するのもなんも悪いことちゃうやん、
それに浮気されたら誰でもそんなん思うやろ、
…佐野なりに辛いことあったんやろ、
頑張ったな、」

何だか今までの辛いことが込み上げてきて涙が溢れる


「おれぇ、っ小島くんのことちゃんと好きやったのに…っ、
なんで浮気されたんっ……っ、ほんま最悪っ、、」

周りの人に俺が泣いているのを見られないように誠也くんは俺を優しく抱きしめる、


「ん、……俺の前では遠慮せず泣け、」


「ん、、っありがとう……誠也くん、っ…」






「ごめ、っ…もう、大丈夫、…
ありがと、誠也くん、」

「んーん、声ちょっと枯れちゃったな、
……今日のバンドどうする、?」

俺の髪を掻き分け優しく俺に問いかける

「…このくらいなら、平気……やけど、」

「?」

「今日は誠也くんと一緒におりたい、
……駄目、?」

誠也くんの胸元の服をきゅ、っと握り誠也くんを見る、


「…、笑
ええよぉ、今日は甘えん坊や、笑
バンドのみんなにはちゃんと言っとき、」


「うん、ありがと、っ…」


俺はそう言い、バンドのグループLINEに「今日だけちょっと休ませてください」と連絡をするとみんなから心配されたり、と返事がどんどん来る、


「……今日、月1のミィーティングの日にするらしいのでとことん休め、って言われました、笑」


「そっか、良かったな、笑」



わしゃわしゃと誠也くんに髪を撫でられる


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